依存と中毒の間にて沈む
お越しいただきありがとうございます、雅子です。
今回は
「大丈夫!依存症」高部知子著 現代書館
について紹介してみます。
高部さんは昔、女優として活躍し、私も認識している「わらべ」として歌も出された方です。今は精神保健福祉士、認定心理士として活躍されているそうです。
その人が「依存症」についての脳のメカニズムから、回復までを噛み砕いて詳しく書いた本です。
流石に読むといくら分かりやすく書いているとはいえ、時間がかかりますので、そこのところはご容赦下さい。
依存症は病気です・・・自分は違う?のズレ
依存は薬物や行動学習によって、脳の構造が変わってしまったことから起こる病気、精神疾患だと言います。
依存症は、脳と身体の反応。例えば梅干しやレモンを目にした時を例にあげておられます。見ると唾液が出たり、しみてきたりしますよね?
いわゆる「パブロフの犬」って言うやつです。脳が経験から覚えてしまったことは、なかなか自分の意志では止められないと言うことです。
そこで高部さんは書きます。「依存症と中毒は違いますよ」と。
身近に使っている物の「便秘薬」を例に教えてくれています。
「使用」「乱用」「依存」「中毒」の違いわかりますか?と。
私も手術で開腹した時、傷が塞がるまでの間、痛みと傷が開くのを避けるため「なるべく踏ん張らないでください」と言われ、病院ならではの「強い便秘薬」的な薬をもらいました。もちろん何日も便が出ずにお腹が張ってきたときの緊急処置のような物です。
病院の処方ですから、きっと頑固な便秘で、短期間だから大丈夫な薬なのでしょう。副作用のリスクも書いてありました。
その代わり「びっくりするほどの物」が力を入れずに「ゴン!」と出ました。それ以来使っていませんが、効果にかえって引きましたね。
もっともっと軽いものが、市販で売られている「便秘薬」なのでしょう。
使用、乱用、依存、中毒の違い
女性の便秘は共通話題なことが多いですが、どうですか?順調無報ですか?
便秘薬が手放せない方は、自分の使用頻度がどうなのか感がてみて下さい。
まずは先ほどの私のような病気や手術などによって「一過性に飲む」ことは「使用」です。飲む原因や理由があるからです。
さしたる理由もなく、なんとなく便秘気味で、お腹が気持ち悪いからという理由で週に2回、3回と飲むようになると「乱用する」になります。
これは使った回数だけではなく、適切な使用場面以外での使用は、1回でも「乱用する」と呼ぶ場合があるそうで、難しいところなのですが・・・。
医者から見れば、「そのくらいは許容範囲の便秘」でも、出てないことでお腹がポッコリするからとか、「なんか気持ち悪い」で飲んでいると「乱用」になるのかもしれません。
ただ問題になってくるのは、耐性ができてきて、薬が以前のように効かず、量が1錠が2錠、3畳と増ているなんてことありませんか?
1錠が3錠飲まないと効かないのは、薬の耐性が出来てるのだといいます。実はこの「乱用」してしまっている?期間が一番長いらしく、長く続けていると最終的には自分の腸の力では、便を運ぶ「蠕動」が止まり、それを知らずに量を増やしてしまう。まさに乱用から「依存」の始まりです。
食べ物の効果に切り替えたり、日常生活の乱れなどの改善をせずして、薬の効果を利用することが日常になれば、それは「依存」になるそうです。
中毒は、少し前までは依存症と混合されがちだったそうです。例えば「アルコール依存症」のことを、「アルコール中毒」と言ったりしませんか?
しかし今は医学用語として、使い方が統一されているそうで、「中毒」は心身に毒性を持つ物質によって起こる一過性の症状と、化学物質を使った結果によって身体に起こってくる問題に限定されるそうです。
難しいですよね。そこで例に出されていたのは、「食中毒」「フグ中毒」です。両方「依存」とはいいません。
アルコールや薬物は飲みなれないうちに、大量摂取すると「急性アルコール中毒」になり、薬物も中毒症状をおこし、どちらも死に至る危険がありますよね?
私は依存が酷くなり、中毒になると勘違いしていました。「中毒」はもはや命の危険が迫っている状態だったんだとは、思っていませんでした。
結局のところ、少しずつの「アルコール」や「薬物」を摂取することにより耐性ができて、「中毒」を乗り越えた後の状態だったのです。
乗り越えて「依存」になると身体から「解毒」(体から物理的になくなっても)したとしても、脳はその時の快楽を覚えていますから、また欲しいと思うわけです。
例えばもっともっとと食べてしまう「過食症」や破産してもやめられない「ギャンブル依存症」などが分かりやすいかなと書いてありました。一過性の症状ではないものは、依存なのだと。
本の内容は「アルコール依存症」「薬物依存症」「ギャンブル依存症」の詳しい説明と原因、簡単な判断方法などを説明してくれます。
興味深いのは病的依存症に至るには、本人だけが原因ではないということでした。
依存を進ませる要因として、環境、が一番関係するのではと思いました。
環境といってもその人の「日常を取り巻く環境」「家庭、職場を含む人間環境」「育ってきた住環境」など色々あります。
人間の性格や性質は、環境の影響を受け、今の環境を見れば、自分の今の心も見れる気がします。これは私の私感です。
この本にも、依存症を「病気」として「決してあなただけの弱さだけではない」として、どうして依存に陥るのかを「脳」の仕組みとして重点的に説明してくれてあります。
少々難しいですが、簡単にいうと「自分の意思の弱さではなく、脳の仕組みによる誤作動」とまずは現実を受け入れてくれということではないでしょうか。熱中するのは素晴らしいことです。
でも生活を乱してまで追う何かは、人によっては「アルコール」「ギャンブル」「ネット環境」「ゲーム」何においても、行きすぎた場合、いずれ破綻をきたします。
身近な人の破綻の兆しと苦しい選択
兆しとしては「生活パターン」の乱れから始まり、本人に注意を促しても大きな音楽を流したりネットやゲームをするといった外部のコミニケーションを遮断するそうです。
人間良い夢はずっっと見てたいですから。
そこで例えば「ねーねー」と外部から邪魔されて、ひどい抵抗に出てしまったら、自分はヤバイと省みなければ、それこそやばいです。周りの家族も感じなければいけない。「破綻競争、位置について・・・」の状態だと。
悲しいけれど、依存症は自分で自分を客観視することが大事。
実は家族が依存の片棒を担いでい流ことがあります。
例えば「買い物依存」とか「薬物依存」になった場合始めは家族が知らぬうちに資金を出しています。出さなくなると暴力で出させるか、自分で借金をして、破綻するのですが、結局は世間体を考え、借金を家族が返してしまうとのこと。これではイタチごっこで、依存は治らないそうです。
そこで提案されているのが、近くの医療機関、専門団体のドアをたたいて、まずは正しい知識と情報を得ることだといいます。非常に苦しいことだと思いますが、客観的に見て、どうでしょう。正しい知識ありますか?
正直いって、私もこの1冊読んだだけでは、完全に答えられません。でも依存症とは、脳のいろんな複雑な段階を踏んでなってしまうことで、自分を俯瞰できなければ、簡単には抜け出せないんだなとは理解しました。
長いお休みが続くこの時期、ぜひこんな書籍を手に取って、自分を振り返ってみるのもいいかもしれません。
家族に置き換えてみて、自分を俯瞰してみて、「依存症」とはなんぞや?と勉強してみて、気になることがあれば、近くの医療機関や専門機関などを調べてみて下さい。いよいよになった時、最悪の結果を選択する前に、きっとブレーキの一つになると思います。
詳しいことは
高部知子著「だいじょうぶ!依存症」現代書簡
をきっかけに、ぜひ「依存症とは何か?」「どういう脳の仕組みで、ドンドン落ちていくのか?」などを知識として読んでいただき、依存の正しい知識と理解を深めて欲しいです。
身近に「もしかして?」と思う方がいたり、「そうかも?」と悩んでいる方がいたら、周りの支える一人として、読んでみて下さい。
高部さんはいいます。
「知識が最大の予防」だと。
知ってるつもりは、知らないことと変わりません。私ももう一度、読み返してみるつもりです。
今回も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。