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推しが突然消える時(推し活って何だろう③)

中居正広さんが芸能界から引退した。
経緯については既報の通り。その件でどうこう言うつもりは無い。
ただ、つい先月までは国民的スターでいた方がこのような末路を迎える事に、私は驚きを禁じ得ない所である。

犯罪や不祥事をきっかけに芸能人がその職を辞する。それ自体は前々から幾度も起きている。私的に未だ立ち直れていないのは、毎週の放送を楽しみにしていたFMラジオ番組のナビゲーター(誰なのかは読み進めれば察せる様に書いているが、今となってはこの時点で名前を書くことがはばかられる状況である事をご理解いただきたい)放送局主催のフリーマーケットに幾度かお邪魔してナビゲーターともご挨拶したこと、生放送で進路相談的なお悩みにも応えていただいたのはとても良い思い出。
彼が平日夜のTV番組でメイン司会に抜擢されると決まった矢先、経歴詐称疑惑を伝える文春砲が炸裂。TV番組はおろか当のFMラジオ番組含む全ての活動を自粛するに至る。ラジオから聴こえる涙声での謝罪、強烈だった。。。
私が何よりつらかったのは、文春砲の前後でナビゲーターの評価が180度変わったことだ。15年以上も続いたFMラジオ番組ゆえナビゲーターへの信頼は確かなもの。だからこそ他の番組でコメンテーターを務めたり先の大抜擢につながる訳だが、文春砲で周囲の耳目は「ホラッチョ川上」に注がれる事に。今ここでナビゲーターとの思い出を語ろうもんなら「誰?あぁホラッチョ川上の事か。どーしてあんな嘘つきにハマるのかねぇ」とかなじられる。もはや語ることすら難しいと言うか、語る事にリスクしか無い。その結果、ナビゲーターの存在は忌まわしき悪名にアップデートされたまま、人々の記憶に残り、そして忘れ去られていくのだ。

閑話休題。中居正広さんのように35年以上も芸能界の第一線で活躍していた方でさえ(今報じられている限りは)ただ1度の過ちでこの様な事態になる。
「国民的スター」から一瞬で「国民的タブー」への転落。件の過ちで被害を受けた女性は9000万円の示談金を受け取られたそうだが、このようになった事で心苦しい思いをしている大多数のファンはどうなるのか。そりゃ中居さんにとっては謝罪と引退しか取る手段が無い。金銭的な賠償でどうこうする問題でもない。中居さんはこの様な最悪な事態を回避すべくゴシップ誌からの被弾から上手く立ち回るべきだったとは思うが、それについては不祥事対応の専門家に譲るとして(フジテレビもそうだが昨今の不祥事対応が杜撰過ぎるのも気になる所)

つまるところ私が思うのは、主に芸能人を応援する時(推し活)は、直近では中居さんに代表される様なリスクをはらんでいると言うことだ。どれだけ好感度の高い方であろうとも、犯罪・不祥事・疑惑の一つでその方の芸能人生が吹っ飛ぶばかりか、ファンの方においては好感を抱いていたことすら丸ごと否定され良い思い出を無かった事にされる。胸の内にしまっていようとも最後の一撃が全てを悪い思い出に変えてしまう。そして、その様にさせる社会の雰囲気がある。キャンセルカルチャーとでも言うのだろうか。その雰囲気の醸成に国民一丸となって関わってきた現実は、直視しなければならない。

なんだか、窮屈な世界になっちまったな。

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