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【見た】J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル【BBC】

話題のドキュメンタリー番組、拝見しました。

ジャニー喜多川氏が創設した男性のみのタレント事務所「ジャニーズ事務所」は、日本の芸能界を圧倒的な影響力で支配してきた。事務所は日本でスーパースターになるための登竜門であり、若い少年たちを訓練する「工場」として、日本のポップ・アイドル文化の中心に君臨している。

一方で、喜多川氏には、所属する少年たちに対する性的搾取の疑惑がつきまとってきた。しかも、密室でささやかれていただけではない。全国的な報道機関が取り上げ、その一部は民事裁判で認定された。それでも、喜多川氏は晩年まで国の宝とされ、2019年に87歳で亡くなった後も、今なお崇拝されている。

この番組では、ジャーナリストのモビーン・アザーが日本を訪れ、喜多川氏から性的虐待を受けたという人たちに話を聞く。そして、疑惑は長きに渡り噂されてきたにもかかわらず、ファン、メディア業界、そして日本社会が彼を英雄視し続け、その遺産が今も繁栄している驚愕の現実を知る。

番組は、日本のポップカルチャーの大物、ジャニー喜多川氏の性的虐待の事実と、メディアに与えた強い影響力を調査し、社会が見て見ぬふりをすることの残酷な結果を明らかにする。

https://www.bbcworldnews-japan.com/programs/predator-the-secret-scandal-of-j-pop/
(ヘッダー画像も同URLより引用)

映像作品として喜多川氏の性加害疑惑を真正面から取り上げる番組はこれが初めてということらしい。しかも日本ではなくイギリスのメディアで。本国BBC Twoで放送された後にBBCワールドニュースで全世界向け放送、私はHulu経由で拝見しました。
内容についてはBBCのWebサイトに記事が上がっているので、番組をご覧いただけない方はこちらを参照されたし。番組内容はほぼ全て記載されている。

拝見した第一印象は、日本人ならゴシップ記事で幾度か目にした内容ばかりという感じか。性被害者たる元ジュニアの証言からゴシップの言質を取っていく様子は圧倒されるものの新しい事実は提示されない。まぁ新しい事実にたどり着けない理由も、我々日本人は薄々気付いている訳で、その一部始終をイギリス経由で全世界に発信されてしまった次第だ。取材した記者からしてみれば、喜多川氏は史上稀に見る性犯罪者と言った所か。

さて番組を拝見して私がモヤッとした所は、以下の3点。

モヤッと(1)男性が未成年男性を性虐待する


性虐待・セクシャルハラスメントで想起される状況といえば、
加害者:男性→被害者:女性
が大半と認識されているのではなかろうか。もちろん男女逆のケースもあるけれど、喜多川氏のように同性しかも未成年を相手に性虐待するケースはあまりにスキャンダラスで私の理解が追いついていないというのが正直な所。
読者の皆さんは、理解追いついてますか?追いつけずに事実を受け入れられないんじゃありませんか?
日本人の多くがこの状況を受け入れていない、黙殺してきたからこそ後述する大問題が起きているのだ。

週刊文春の報道を担当した記者の1人、中村竜太郎氏は、自分たちの記事が「つぶされた」ことを今も憤っている。「23年間、私はずっと絶望したままです」と中村記者は言う。他方で中村記者は、報道や判決を世間が受け入れなかったことには、偏見も関係すると考えている。「日本の中では男性と男性が恋愛するとか、性交渉を結ぶことについては、はなから信じていないというか、そういう見方、偏見があったと思います」。日本は、礼儀正しさを誇りとする国だ。無作法な振る舞いは迷惑あるいは失礼とみなされるだけでなく、社会的にも許されない。多くの日本人は、他人に迷惑をかけることは何としても避けなくてはならないと、そう考えている。こうした考えは、性的加害への懸念について声を上げれば他の人に負担をかけるという空気につながりかねない

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64832492

モヤッと(2)喜多川氏は性加害者だけど、性犯罪者じゃない

性犯罪は親告罪だ。被害者が告訴して初めて犯罪が成立する。
これ、加害者側の論理からすれば
被害者を黙らせておけば、罪に問われないよね?
ということになる。
そこで喜多川氏のグルーミング(性犯罪における懐柔)だ。ジュニアたちに一流アイドルへの道を半ば担保しながら喜多川氏の一角「合宿所」に隔離して夜な夜な性加害に及ぶ。ジュニアも事務所の社長に抗ったらアイドルの道を閉ざされかねないから我慢するしかない。ジュニアの親御さんも性被害の事実は把握している。把握した上で口外することを止めさせる。全てはアイドルの道を突き進ませる為に。

さらに言えば喜多川氏のナニがお盛んだった頃、男性は性犯罪の被害者と認められていなかった。つまりジュニアは喜多川氏の性犯罪を告訴する事すら出来なかったのだ。救いの手を差し出す相手は誰もいない。これほど酷なことがあろうか!

加えて日本では、性的行為について自分で意思決定ができるとみなす「性交同意年
齢」は13歳と定められている。さらには、最近まで男性や少年は法律上、強姦の被害者として認められていなかった。2017年の刑法改正まで、男性のレイプ被害はあり得ないと考えられていたのだ。これらのすべての要因が、男性や少年の性的搾取をタブー視するだけでなく、往々にしてその被害が見えない社会を作っている。
(略)
だとすると、10代の頃に喜多川氏から性的な誘いを受けた男性の多くが、いまだに、自分の身に起きたことは正しくない、間違ったことだったと認めるのが難しいのは、決して意外ではない。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-64832492

氏のナニがしょんぼりした頃合いで2017年の法改正になったのか、法改正のせいで氏の死期が早まったのかは知らんけど、種々の告発記事がもっと注目されていれば法改正は早まったのではないか、それで喜多川氏の暴走が止められたのではないかと思えてならない。

私が気にかけているのはジャニーズ事務所所属タレントのファン、通称ジャニオタだ。推しメンが性被害を受けているかもしれない(番組を見てたら仮名で登場した元ジュニアそれぞれの芸名も分かるんだろうな。だとしたら推しメンの性被害告白を聞いた事になる)状況をジャニオタはどう捉えているのか?ジャニオタの大勢たる女性こそ性被害は深刻な問題であろう。自身と似た被害を推しメンが受けている、この状況をジャニオタは直視出来ているのだろうか?
もし推しメンの性被害を黙殺しているのだとしたら・・・ジャニオタ自身に降り掛かる(というか日本人全般における)性被害撲滅の本気度も、高が知れているということだ。日本は欧米と比べ、周回遅れが過ぎる。
ついでに言えば、ジャニーズ事務所のタレントからも性加害者が出ましたよね。T◎KI◎の山□氏?性加害者として喜多川氏の様には守られなかったし(明らかに犯罪だから当然だ)もし当人が喜多川氏の洗礼を受けていたとしたら、性被害者としても孤独だったことは想像に難くない。

モヤッと(3)死してなお崇拝される喜多川氏


周知の通り喜多川氏は2019年に亡くなっている。性加害の当事者たる喜多川氏の話を聞けないのは何とも歯がゆいが、だからこそ遺されたジャニーズ事務所は喜多川氏の性加害について何らかの形で清算すべきではなかろうか。

現在の幹部が喜多川氏の性加害を認め今後の反省材料とするという形アリ、
逆に認めず事の真相を葬り去る形も、かなり非道だがアリ、
もはや喜多川氏の存在を跡形もなく抹消して再始動する形も、アリっちゃアリ。

しかし実際の現幹部は喜多川氏の性加害についてはノーコメントを貫く反面、
会社は加害者の名を冠したまま存続している。氏の威光だけは遺していこうという思惑か。そして負の遺産に関してだけ完膚なきまで揉み消すつもりか。それが出来るとでも考えているのか。
もし世界を見据えたショウビズを展開するなら社名くらい変えた方が良いのでは?・・・あ、元々国内のジャニオタが主たる顧客か。世界に打って出るタレントは次々と退所してましたね。。。

終わりに


今回こうやってBBCを通じて日本の恥部、喜多川氏の性加害自体にとどまらず、それを黙認し被害者の声を黙殺し続けた日本人全体の悪しき慣習が全世界に晒されたと私は思っている。同様にこの番組をご覧になられた諸外国の方々に「日本人って性犯罪への感覚がおかしいよね?」と問われた際、日本人としてどう答えるべきか。おかしいと認めた所で私は何か変わるか、何も変わらないか。日本人全体として意識は改まるのか、そのままなのか。。。
見過ごしてはいけない問題を見過ごしてきた、その一端を見せつけられ私は恐怖した。今のところ日本では見過ごし続けていきそうな気配だが、それが通用しない所まで差し迫っていることは確認しておきたい。

ありがとうございました。今日はこんな所です。

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