ワイマラナーという犬
先日、愛犬のシータ(メス)が2歳になりました。ワイマラナーという大型犬に分類される犬種です。
僕は小さな頃からずっと犬とともに暮らしてきました。
この子は一緒に暮らす犬としては5頭目。
はじめての大型犬ということもあるけれど、これまでの常識を覆す犬というか、今までの経験がまるで役に立たないというか、とにかく生活をガラリと変えたワンコです。今日はそんなワイマラナーについて書いていこうかなと思います。
ワイマラナーってどんな犬?
ワイマラナー(独: Weimaraner)は、ドイツ原産の大型の狩猟犬の犬種である。ヴァイマル地方で19世紀初めに作出され、シルバー・グレーの被毛を特徴とする。ポインターに分類されることもあるが、狩猟能力の高い、あらゆる用途に適した狩猟犬とされる。(Wikipediaより)
飼ってみてわかったんですが、まあとにかく器用な犬です。あっと驚くようなことも勝手にやってのけるし、訓練次第では本当に色んな場面で活躍する犬になるんじゃないかと思います。そうそう、うちのシータのブリーダーさんとこ子は警察犬になりました。関われば関わるほど奥深く興味深い犬です。
さて、なぜこの犬を飼おうと思ったのか。
結婚して間もない頃ですから、もう20年くらい前の話です。
当時飼っていたミニチュアダックスフントとドッグランに行った時、ワイマラナーがたまたま遊びに来ていました。凛とした佇まい、そして光り輝くシルバーグレーのコートに妻は「なんて美しいんだ」と一目惚れ。犬を「美しい」と感じたのはただ一回、このときだけだったそうです。
数年前、妻は乳がんを患い今も闘病中ですが、死を身近に感じてより一層、生きているうちにやりたいことをやろう、と思ったのでしょう。
「ワイマラナーと暮らしたい」とある日突然言いだしました。
飼うのはいいけどどうせ面倒を見るのは僕…と思いつつも、妻は言いだしたら聞かない人だし、ワイマラナーなんて珍しい犬種でなかなか見つからないし、見つかったとしてもどうせ手が届かないようなお値段だろうと好きに探させました。
しかし、妻の行動力を侮ってました…。
彼女はさっそく道内のブリーダーを見つけてメールと電話。お値段も予算内に折り合いをつけて早速見に行くことに。
そして片道5時間の道のりを帰りはこのシータを連れて帰ることになりました。
当時の写真ですが、不安な顔してますね。そして案外でかい。
そう、シータは親元でゆったり4ヶ月過ごしてから我が家に来ました。
彼女が赤ちゃんだった頃の可愛さを僕らは味わえなかったけど、今となってはある程度長い期間、親とそして群れの中で暮らせたのは本当によかったと思っています。
そしてこのブリーダーさんに言われたことがあります。
「家を一軒つぶすくらいの覚悟がないと飼えません」
普通に犬を飼うくらいの感覚だと痛い目を見るので覚悟が必要。それでも飼えないと思ったら引き取るから迷わず連絡してほしいとまでおっしゃいました。
そんなに大変なの?と、思いましたが…シータが家に来てからその意味がよくわかりました…。
長所と短所は表裏一体
短所というのは往々にして長所と表裏一体。
ワイマラナーという犬は飛び抜けた長所を持つ犬です。つまり飛び抜けた短所も持つ犬。かなりとんがった存在ですね。
健康面の短所をあげるとするなら、寒さに弱いです。北海道には不向き…。でも、出身地のドイツもそんなに暖かい地域ではないから大きな問題ではありません。
問題となるのは深い胸部をもつワイマラナーは死に直結する胃捻転のリスクが常につきまとうこと。これを避けるために食べ物は一気に与えず、食後の急な運動は避けなければいけません。だからシータは人間と同様、1日3回に分けて食事を与え、食後は30分はゆったり過ごさせてます。
こんな短所がありますが、だからこそのサラブレッドのような美しいスタイルでもあるわけです。
強い狩猟本能と排他性
シータはまだそんな問題行動を見せたことはありませんが、鳥に対しては異常なほどに執着します。散歩中にいきなり引っ張るときはだいたい鳥が原因。
我が家はダックスの「まれ」が先住犬として一緒に暮らしてるので問題ないですけど、小さな動物を見ると狩っちゃうんじゃないかと思うときがごくたまにあります。
この攻撃性と運動神経は、うまく訓練しないとただの問題行動になるのでうまく遊びにつなげてやる必要があります。どれくらいの運動神経があるかというと、目の前で足で蹴った小さなボールをノーバウンドでくわえてしまうくらいの運動神経…。遠くにいたら全力でボールを投げてもキャッチしてくれます。すごいです。
1日できれば1回、散歩じゃなくて広い場所でボール遊びなどをして思いっきり走ればあとは終日寝て過ごしています。とても幸せそうに熟睡します。それができない日が続くと家具をかじります。壁に穴もあけます。破壊力はすさまじいです。
あととても繊細で臆病なところもあり、群れとテリトリーに対する守りの意識も高いので排他的になりがちとのこと。うちのシータも基本的には僕ら家族以外には怯えています。でも、僕が「大丈夫だよ」とひとこと言えば大体問題なし。人間は好きだけど、知らない人間は怖いって感じです。
留守番は絶対にイヤ
犬はそもそも留守番は嫌いです。しかし、なんというか…レベルが違います。
家族と離れるのは寂しい、つらい…というのがいわゆる「分離不安」ですが、ワイマラナーは分離不安の権化です。
ワイマラナー=分離不安。分離不安を知りたければワイマラナーを飼うといいでしょう…。それくらいに寂しがり屋です。
犬のしつけでは、一緒の布団で寝ることはよくないこと、とされています。
僕もずっと別に寝て過ごしてきました。
最初は夜、寂しがって鳴きますが3日もすれば慣れるものでケージで静かに過ごすものです。
そう思ってシータが来たときもケージに入れました。
初日、彼女のために買ってきたケージを5分で破壊しました…。
新たに超頑丈なケージを用意してケージで過ごすこと、3週間…。
夜中じゅうずっと泣きわめきます。ずっと下痢もしてました。じんましんも出ていました。暴れて顔を擦り付けるものだから鼻もボロボロ…。
それがおよそ1ヶ月。
僕らもシータもやつれ果て、ついに根負けしました。
そして一緒のお布団で寝る生活がはじまりました。
するとどうでしょう。シータは僕らの言うことに耳を傾けるようになり、下痢も落ち着いて、肌の調子もよくなりました。良いことづくめ…。
シータは片時も僕らと離れたくないのです。
それを叶えてあげさえすれば満足だったのです。
また、きつく叱っても逆効果。常に人のことを見ているので傷つきやすいのです。
ただ傍に常に居て、悪いことをすれば落ち着いた口調でたしなめ、おだやかに過ごしていく。これがシータとの過ごし方なんだなぁと学びました。
現在のシータの留守番ができる最長時間は4時間。これを超えるとじんましんが出ちゃいます。少しずつ伸ばしていきたいですが、できるだけ家族の誰か彼かが一緒にいて、彼女の短い一生(寿命は10年ほどです)を共に有意義に過ごしていきたいなぁと暮らしています。
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