「幸せの閾値」が下がった日。
コロナ禍になってより一層低くなった気がする。
特に目立ったものがあるわけではない。豪華な部屋に住んでいるわけでもない。6畳の部屋にはピアノと机、あとは本と楽譜くらい。
ピアノを弾きたいと経験ゼロから弾き始めた当時19歳のかねこ少年は今年で39歳になっている。
結婚したいわけではないし、恋人がいるわけでもない。お金持ちでもないし、資産もない。
結婚してる人は素敵だなあと考えてるし、世の中にいろんな価値観があることも楽しんでるようにみえる。
天気が良いと機嫌が良いし、雨がひどいと少し残念に思ったりもする。
そんな毎日が好きで、最近はルールくらいしか知らない将棋に興味を持っている。
棋士は持ち駒を全て使って詰ますと「すごい」と表現する。勝つことが目的の将棋に美学のような戦い方があることを知ってびっくりした。
なぜそこに興味を持ったか。
彼は最後にはすっからかんで死にたいようだからだ。
なぜそうなったかといえば幼少の時のありふれた母の教育だろう。
小さい頃から母に「残さず綺麗に」と言われていた。そのため彼は食べ残しは嫌いだ。
しかしそれを「人生も」と拡大解釈したのは彼の勘違いだろうが、それは現在幸いしているのかもしれない。
そんなすっからかんが好きな彼が唯一人生で欲を出したタイミングといえばあの大学一年生のピアノを始める前の日か。
「卒業してもピアノを弾き続けれたら良いなぁ」
経験もないのにそんな大それたことを思うなんて馬鹿げた欲だ。
とはいえ、20年後から言えば「今のところ弾けてるぞ」と。ただし、、、
世界最高のピアニストにはなれていない。日本でトップになれていない。東京でトップにもなってない。音大でトップにもなっていない。初めて弾く人に比べれば「うまいですね」と言われるだろう。
個人の情報発信できる時代にもなっても特に有名になってはいない。SNSを使ってない人から見ると「すごいですね」と言われるかもしれない。
仕事にするならかねこくらいに弾ける人は弾けない人より多いだろう。
それでもどうやらピアノを弾いてる。
それでもなんだか楽しいみたいだ。
ジャズが好きでジャズの歴史を勉強していたら、アメリカの歴史も知ることになった。そしたらアフリカの歴史も知ることになりヨーロッパの歴史を知ることになった。
そんなに流れで同じ時代に日本はどうだったろうと日本の歴史も調べたりしていた。特に西洋音楽が尋常小学校の教科書に使われ始めた19世紀後半、明治時代からはとても興味深かった。
農業を手伝うより学校へ通う、という意味がすぐには理解できなかった時代に、19歳の彼がいたらどうなっていただろうか。
考えても答えが出ない。でも推測だとしてもきっとこう思う。
今の時代の方が昔よりは始めやすい環境が整っている。
20年後の現在はもっと始めやすい。そんな時代に生まれたと思っている彼は、ピアノを弾けていること自体がありがたいと思っている。そんな時代を作ってくれた先輩方に感謝している。
あなたの肩に乗っています。
彼は豪華な部屋に住んでいるわけでもない。6畳の部屋にはピアノと机、あとは本と楽譜くらい。結婚したいわけではないし、恋人がいるわけでもない。お金持ちでもないし、資産もない。モデルの仕事もできないし、アイドルの仕事もできない。
この時代に生まれてありがたいと思っている。ピアノ弾けていることがありがたいと思っている。天気が良いとそれだけで幸せに思う。
今日は曇り。ちょっと雨が降ったりもする。
百人一首には雨が降った情景を詠んだ和歌がある。葉っぱにのっている水滴を真珠に例えて表現する詩だ。
彼はその和歌が百人一首の中で一番好きだ。
そうか、今日は曇りで雨がパラつく。
うん、幸せかもな。
「ただジャズが好きなだけ」な毎日ばジャズピアニストの金子将昭。見てるだけで音楽やジャズや文化が詳しくなる動画を投稿しています。
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毎日ジャズピアニストかねこ
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