2017年に新卒で飛び込んだインド、これまでとこれから。 #2024
こんにちは。インド・グルガオン在住の山本(Masa Yamamoto)です。
2022年に「2017年に新卒で飛び込んだインド、これまでとこれから。 #2022」を書いてから早くも2年が経ちました。ありがたいことに、こちらの記事を読んでくださった方が想像以上に多く、色んなところで「読みました」と声をかけていただきました。
2017年8月末からインドに住み始め、気付けばインドに来てから丸7年が経ち、8年目に突入しています。前回のnoteを書いてから今日まで(2022年~2024年秋)の間に私自身にも大きな変化がありました。そこで改めて、振り返りや整理も兼ねて、これまでのこと、そしてこれからのことを少し書こうと思います。
■ 略歴
1994年3月、静岡県生まれ。
立命館大学在学中、2015年に米国ロサンゼルス、2016年にシンガポールにて、それぞれ半年間のインターンを経験。
大学卒業後、新卒でインド就職。2017年8月から4年半、インドで市場調査や事業開発支援サービス等を提供するInfobridgeにて勤務。
2022年4月、インド最大級のテックアクセラレーターGSFに転職。チーム唯一の日本人として勤務。
2024年より独立。SGgrowのパートナーに就任。インドテック・スタートアップ専門メディア「Plus91 Times」立上げ、編集長に就任(詳細は後述)
引き続き、インドでTA仲間を探しています。7年間見つかりません…泣笑
生い立ちや、米国やシンガポールでのインターン、インドを選択した背景や新卒入社したInfobridgeでの経験、インドの地方都市(AP州Vizag)に住んでいた時のドタバタメモリーは前回の記事(↓)に書いてありますので、ご興味ある方はお時間ある際にご覧ください。
■ インド最大級のテックアクセラレーターGSFでの2年間
2017年8月に新卒入社し、4年半在籍したInfobridgeでは、主に日系企業様がクライアントで、市場調査や事業開発支援、ハッカソン運営等々の仕事に関わらせていただきました。それ以外にも、業務の一環で、インドの食農テック(Agri/FoodTech)スタートアップを支援する組織「Gastrotope」のアクセラレーションプログラムの企画・運営にも携わらせていただきました。
このGastrotopeでの活動を通じて、インドのスタートアップ業界との関わりを持つようになり、仕事をしていく中で「本格的にこの業界で働きたい」と思うようになりました。
テクノロジー x ビジネスの勉強がしたいと思っていた時期で、尚且つ成長市場で社会課題も多く、イノベーションが起こりやすい「インド」という国のスタートアップの世界で働きたい。そんなことを考えている中、様々な経緯があり、2022年4月からインド最大級のテックアクセラレーターとして知られるGSFで働き始めました。
GSFでの2年間は、本当に色々な仕事をさせていただきました。
例えば、
シニアアソシエイトとして、2年間で計2,500社超のピッチデックを読み、その中からスクリーニングした会社に会ったり、ピッチを聞いたり、時にはイベントに出席してスタートアップを発掘
運営責任者としてアクセラレーションプログラムを遂行(計3回コホートを担当、応募社数は合計1,200社超)
インドの著名投資家や起業家が国内外から150名超集まるカンファレンスの企画・運営、そして司会(計3回)
その他、様々なピッチイベントの企画・運営・司会(複数回)
不定期に実施するパネルイベントやミートアップ・交流会の運営(多数)
デザイン(SNS投稿用画像とかイベントの看板とか色々作りました笑)
その他にも色々ありますが、多岐に渡る業務をさせていただき、多くのことを学ばせていただきました。
GSFならではのスタートアップの選び方や着眼点を学ぶだけでなく、インド流の交渉術や仕事の進め方等々、チーム内で唯一の日本人として働いたからこそ得られた経験がいっぱいありました。
■ 日本人としてインドでどのようにバリューを出すか考えた日々
GSFで働いた約2年間で、様々なことを考えました。一番考えたことは「日本人としてインドでどのようにバリューを出すか」です。
残念ながら、今日では日本人であることが有利な時代でもなくなってきてしまいました。インドでも、日本人だから重宝されるかというと「答えはNO」だと思います。
そもそも多くのインド企業にとって、外国人の就労ビザ基準の給与は、日本的には安くてもインド的には高めなのが現状。例えば、エリートインド人以下の英語力で、会話の中での相槌や反応、言葉の表現一つひとつをとってもインド的な感覚が分からず、インドの常識を知らない日本人を採用するメリットは残念ながらあまりないと思います。
(※もちろん、日系企業のインド支社やジャパンデスク、日本語で仕事ができる人材を求めている企業の場合は例外です!)
とはいえ「日本人は勤勉で優秀な人が多い。英語の壁さえ超えればいいのでは?」という声も聞こえてきそうなので補足すると、英語はもちろん必要です。そして、それ以外に例えば日本人にとっては至極当たり前なこと(時間厳守、期限を守る、きっちり細かいところまで確認する、報連相、必ず返信をする、やると言ったことはやる等々)は確かにインドでは多少バリューになるかもしれません。
しかしインドでも、エリート層で特にグローバルの第一線で働いた経験があるようなビジネスパーソンは結構当たり前にこれをするので、ぶっちゃけあまり差別化になりません。
では、日本人としてどのようにインドでバリューを出すのか?
私なりに行きついた答えは「日本人であることを活かす」ということです。
どう活かすのかは人それぞれ、所属する会社や業界、環境で異なると思いますが、インドのスタートアップ業界にいる身として、自分を活かせそうだと思ったことは以下の通りです。
日系企業、機関投資家、エンジェル投資家とインドのスタートアップの繋がりを強化する一助となる
日系企業とインドスタートアップの連携や事業を推進する(逆も然り)
日系企業や日本のスタートアップのためにインド市場への扉を開く
インドと日本の間に存在する数多の摩擦(常識、価値観、仕事の進め方、考え方等々)を軽減させ、橋渡し役になる等々
他にもありますが、このような考えを整理している時に、気づいたことがありました。それは「私は日本人でありながらあまりビジネスで日本との関わりがない」ということでした。
新卒でインドに来てからずっとインドで働いてきたので、日系企業の知り合いが正直少ないことに気づきました。
日印のブリッジ的な役割を果たすには、インドだけなく、日本との繋がりも同じくらい大切です。そこで、今後はインドのスタートアップ投資や支援をしながらも、より多くの日系企業や投資家と関わる機会が持てる仕事がしたいと考え始めました。
GSFを辞めるまでの間、とても有難いことに、数多くの企業様に声をかけていただきました。魅力的なオファーもたくさんいただきましたが、私の中でどうしても譲れない条件「インドに住んで仕事をすること」がネックとなったので、最終的に自らが使える法人を軸に、複数のお仕事をしていく道を選びました。
■ SGgrowのパートナーに就任
GSFを退職した後、2024年1月から、インド・ナイジェリア・日本を中心にベンチャー投資・支援事業を展開し、日系企業の海外展開や海外企業の日本進出を支援する「SGgrow」のパートナーに就任しました。
インドの地方Tier-2都市からキャリアをスタートさせ、念願のインドTier-1都市にも住み、政府機関から大企業、スタートアップまで幅広い業種の方々と仕事をさせていただく中で培ってきたインドでの経験を活かし、同社のパートナーとして、インドのスタートアップ投資・支援で貢献することはもちろん、もう一つの注力市場であるナイジェリアのスタートアップ投資・支援でも貢献できたらと思います。
これまでと変わらずインド・グルガオンを拠点にしながら、これまで以上に日系企業や投資家の方々との関わりを増やし、インド、ナイジェリア、そして日本のエコシステムに貢献していきたいと思っています。
■ インドテック・スタートアップ専門メディア「Plus91 Times」立上げ、編集長に就任
SGgrowのパートナーに就任するのと同時に、メディア立上げの準備も進めており、今年7月にローンチしました。それがPlus91 Times(読み: プラスナインワンタイムズ)です。私は、当メディアの編集長に就任しました。
Plus91 Timesは、インドのテック・スタートアップや最新テクノロジーの動向、それらに関連する市場のトレンド情報発信に特化したウェブメディアです。
発起人は、ソフトバンク出身で、2010年にインドに赴任して複数の新事業を立上げた経験を持ち、現在はThe EdgeofのCo-Founder & Chairmanを務める大蘿(たいら)淳司氏、インドビジネス歴18年のインフォブリッジ代表繁田奈歩氏、そして私の3名。
この3名がこれまでインドでビジネスに取り組んできた中で得た知見や経験、それらを通じて培われた独自の視点を盛り込んだ情報を発信しています。
インドのことが日本で取り上げられる頻度は以前よりは増えたと思いますが、まだまだカレーやヨガ、アーユルヴェーダ等の偏った固有名詞ばかりが有名で、インドの良い面やこれからのポテンシャル、経済成長やテクノロジーの凄さが日本ではあまり伝わっていないと感じています。
当メディアを通じて、その状況を少しでも変えたい。そして情報発信に留まらず、インドのスタートアップやテック企業と日系企業や日系投資家を繋げ、日印連携を加速させる役割も果たしていくことを目指しています。
ご興味ある方は是非Plus91 Timesをご覧になってください!
■ これから
長々と書きましたが、まとめます。私は今後も引き続き、しばらくインドに居たいと思います。
今はインドだけでなく、ナイジェリアのスタートアップ投資・支援業務にも携わらせていただいてます。そしてこれまで以上に日系企業や日本の投資家の方々と関わる機会も増やしたいと思っていますが、それでも拠点はしばらくインドに置いておきたいと考えています。
いくつか理由はありますが、まだまだ伸びるアジアの大国「インド」が果たしてどこまでいくのかをこの眼で見たいというのが大きな理由の一つとしてあります。
インドは若者を中心に変化が早く、成長スピードも速い。私は「若者がその国の時代を創る」という持論を持っていますが、インドはまさに若者が台頭し、次の時代を創っている。そんな国だと感じます。
新しいブランドが出てきては、若者に受け入れられ、成長していく。そんな様子をたくさん見てきました。そしてインドは大都市ですらまだまだ不便なところが多く、地方都市は言わずもがな。解決すべき社会課題は山のようにあります。そんなインドが、今後どのように成長し、発展を遂げるのかをこの眼で見て、体感したいと思っています。
中国を抜いて既に世界一の人口を誇るインド。2023年には議長国としてG20サミットを開催するなど、世界の次のリーダー国になろうとしています。まだまだ大きなポテンシャルを秘めているインドを拠点に、自分が貢献できる仕事を引き続きしていきたいと思っています。
■ 一見は百聞にしかず!インドを実際に体感しませんか?
さて、ここまで読んでいただき、インドに興味を持ってくださった方にご案内を一つ。今年2024年11月に、国内最大のスタートアップカンファレンス「IVS」が初の試みとなる海外ツアー「IVS EXTREME TOUR INDIA」を実施します。
私は、当ツアーで添乗員・通訳・解説として参加いたします。首都デリー、IT都市ベンガルール、金融都市ムンバイの主要3都市を訪問し、現地の有力スタートアップや著名投資家との交流を深める貴重な機会を提供します。
ご興味ある方はこちらから詳細確認と申込をお願いします。ご質問がある方は、私のX(旧Twitter)宛にDMいただいても構いませんので、ご興味ある方は是非ご検討ください!
長くなりましたが、ここらで締めたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
X(旧Twitter)でも日々情報発信をしていますのでPlus91 Timesのアカウントと共にフォローいただけると嬉しいです。