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Grok2.0って実際どうなのか?使えるのか?完全解説
Grokは今や「無料」で使える!最新情報まとめ
イーロン・マスク率いるxAI社が開発した対話型AI「Grok」は、もともとX(旧Twitter)の有料プラン「プレミアム+」加入者限定で提供されていました。しかし、現在ではすべてのXユーザーが無料で利用可能となり、多くの注目を集めています。
本記事では、無料化を含む最新情報を中心に、これまでのGrokのアップデート、ChatGPTなど他のLLMとの比較、そして実際の活用事例までをまとめてご紹介します。
1. Grokとは何か?
1-1. イーロン・マスク率いる新興AI「xAI社」の主力プロダクト
開発元:xAI社(CEO イーロン・マスク)
初公開:2023年11月に「Grok-1」をリリース
目的:「宇宙の理解」を最終目標としたAGI開発の一環
イーロン・マスク氏はOpenAIの共同設立者だった経緯もあり、生成AIへの造詣が深い一方で、現OpenAIを「ClosedAI」と揶揄するなど対抗心をむき出しにしてきました。Grokは、そんなマスク氏のビジョンが色濃く反映された対話型AIとなっています。
1-2. X(旧Twitter)との連携が強み
Grokの特徴のひとつとして、X(旧Twitter)の実時データにアクセス可能である点が挙げられます。既存のLLM(ChatGPTなど)は最新情報の参照に制限がある場合が多いのに対し、GrokはXを通じてリアルタイムなトレンドを把握できる設計になっています。
Youtubeでも解説しているので動画で見たい方は是非どうぞ
2. Grokは無料化でどう変わった?
2-1. Grok for Everyone
2024年12月12日、「Grok for Everyone」がリリースされ、Xユーザーであれば誰でも追加料金なく利用可能になりました。これにより、当初はXプレミアム+限定だったGrokが一気に大衆化へ向かいます。
料金体系
X無料ユーザー:Grokを無料で利用可能
Xプレミアム/プレミアム+:既存の特典(投稿上限やリプライ優先順位など)に加え、Grokへの優先アクセススロットなど拡張機能が付与される可能性あり(公式アナウンス次第)
2-2. API利用は別途クレジット制
無料でチャットできるのは、あくまでX上でのGrokとの対話に限られます。
プログラムから呼び出す「Grok API」を利用する場合は、従来どおり従量課金制(トークン数に応じて課金)が必要です。
入力$2 / 1Mトークン、出力$10 / 1Mトークンなどのレートが適用
claude3.5よりちょっぴり安い程度
https://docs.x.ai/docs/models?cluster=us-east-1
3. Grokの進化の歴史
2023年11月:Grok-1の公開
Xプレミアム+ユーザー限定で先行リリースされ、話題を集める。2024年3月:Grok-1.5へアップデート
コーディングと数学の性能向上、マルチモーダル(画像や表など)への対応。2024年夏〜秋:Grok-2リリース、オープンソース宣言
GPT-3.5を超えるベンチマークを目指すも、GPT-4には及ばないとの評価。
一部モデルをオープンソース化し、コミュニティによる改良が進む。2024年11月:Grok APIが正式リリース
開発者向けにプログラマブルアクセスが可能に。
無料化が大きなインパクトをもたらし、Xユーザー人口(5億人超)への一斉開放が完了。
4. GrokとChatGPTの違い:どこが強み?
4-1. リアルタイムなニュース・トレンドに強い
Grok機能としては、リアルタイムやニュースに強い側面はありますが、純粋なLLMとしての評価は、高度な論理推論が可能なモデル(たとえばGPT-4oやClaude3.5Sonnetなど) の方が優秀という指摘もあります。
4-2. ユーモア・人間味のある回答
公式が「Sometimes rebellious(時々反抗的)」と表現するほど、Grokはチャット中にジョークやウィットを交えた回答をするよう設計されています。ChatGPTは安全性や中立性を優先するあまりフォーマルになりがちですが、Grokはユーザーのトーンに合わせ、より砕けた対話ができる点が好評です。
4-3. オープンソースの取り組み
ChatGPTはクローズドソースで、コードや学習データを一般公開していません。一方、Grokは2024年3月にモデルの一部をオープンソース化しており、研究者や開発者が独自にチューニング・改変を行えるのが特徴です。ただし、オープンソースゆえの不正利用や品質管理の難しさが課題にもなっています。
4-4. 無料で誰でも使える利便性
2024年12月の無料化により、GrokはXユーザーなら誰でも気軽に試せるのが大きなメリットです。
ChatGPTも無料版は存在しますが、高性能なGPT-4oやプラグイン拡張などは有料のChatGPT Plus($20/月)が必要です。Grokも今後、性能向上版モデルを別途有料化する可能性は否定できませんが、現時点では最新モデルに無料で触れられる点がユーザーに歓迎されています。
5. Grok vs. 他のLLM(4o, Sonnetなど)の品質比較
「4o」や「Sonnet」は、それぞれ高度な推論力やコーディング能力で高い評価を得ています。これらと比べると、Grokはリアルタイム情報収集に特化している反面、厳密な論理や大規模コードの生成・分析といった分野では「まだ伸びしろが大きい」というユーザー評価が多いです。
6. Grokの利用事例:こんなことができる
6-1. リアルタイムニュースの要約
「今Xで話題になっているハッシュタグを教えて」「最新の選挙速報を要約して」など、SNS由来の最新ニュースを素早くまとめてくれる機能が魅力。ただし、深い要約能力や厳密なソース検証を伴う精度においては、4oやClaude3.5Sonnetの方が優れていると指摘されることもあります。
6-2. コーディング補助
Grok-1.5以降、コーディングや数理問題に対する性能が向上し、VS Codeとの連携事例も報告されています。しかし大規模プロジェクトや高度なアルゴリズム設計を要する場合は、4oやClaude Sonnetの方が正答率・品質ともに上回ると感じます。
Grokは短いコードの生成や初歩的なバグ修正のヒントには役立つでしょう。
6-3. 文章作成や翻訳
英語⇔日本語の翻訳やブログ記事の下書きなど、ChatGPTや他のLLMと同様に使えます。独特のユーモアやウィットのある文体が特徴ですが、語彙・表現の豊かさや文法の厳密性では、より高性能なモデル の方が総合力で良い体験を得られることが多いと筆者は感じています。
7. 実際に使ってみた感想と注意点
無料化のメリット
以前はXプレミアム+加入が必須でしたが、今は無料で試せるため導入ハードルが大幅に低下。SNSユーザーなら誰でも手軽にAIを活用できるようになりました。これは、何気にAIに興味のない人も興味を持つきっかけになるので大きな意味を持ちます。
API利用
プログラムから大量トークンを扱う場合は、従量課金制が割高に感じられることも。小規模実験なら問題ありませんが、本格運用では費用計算が必須です。
応答速度
ChatGPTに比べるとやや遅めと感じるユーザーもいますが、回線状況やトラフィックに左右されるため、一概には言い切れません。
倫理・安全性
GrokはChatGPTよりも寛容なポリシーであると公式が明言しており、不適切な内容に対しても回答する可能性があります。利用シーンによっては十分に注意し、最終チェックを行う必要があります。
8. 【応用編】無人島パズルで見るLLMの弱点
8-1. パズルの概要
登場人物:A(操縦可・2分)、B(操縦不可・5分)、C(操縦不可・10分)
船の制約:2人まで乗船可能、移動時は操縦者Aが必ず同乗
BとCだけを残すとケンカNG
移動時間:乗船者の最も遅いスピードに合わせる
目的:全員を最短時間で対岸へ渡す
8-2. LLMの誤答例
多くのLLMが下記ステップを挙げ、「合計24分」と答えるのが典型的な誤答です:
A+B渡る → 5分
A戻る → 2分
A+C渡る → 10分
A戻る → 2分
A+B渡る → 5分
合計 24分
しかし、このパズルにはより短縮できる解法があり、24分は最適解ではありません。
8-3. o1・deepseekr1・gemini2.0thinking vs. 4o・Sonnet
実は複数のLLMに同パズルを投げかけたところ、o1、deepseekr1、gemini2.0thinkingなどのモデルは正確な解法(17~19分程度)を導き出します。
一方、4o(GPT系)やSonnet(Claude3.5Sonnet) など高性能と言われるモデルであっても、設問の条件をうまく処理しきれずに「24分」と誤答するケースがありました。
これは、LLMの論理推論が「トレーニングデータ上で頻出するパターン」に引きずられる一例といえます。高性能モデルでも、特定のロジックパズルに対して完璧な解を出すとは限らないため、パズルや論理問題ではヒューマンチェックが欠かせないのです。
9. まとめ
Grok for Everyoneのリリースによって、多くのユーザーが最先端のLLM体験に手軽に触れられるようになったことは大きな一歩です。イーロン・マスクが掲げる「宇宙の理解」は壮大なゴールですが、X(旧Twitter)の膨大なリアルタイムデータと結びつくことで、新しいユーザー体験を実現している点は確かに興味深いところです。
一方で、4oやSonnet(Claude Sonnet)などの高精度LLMと比べると、コード生成や複雑な論理推論などで見劣りがあるのも事実。さらに言えば、無人島パズルのような特定の論理制約を伴う問題では、結構厳しい印象でした。