The sky is the limit! YoiiシリーズA 8億円調達振り返り
FintechスタートアップYoiiの共同創業者兼CEO、宇野です。私たちはレベニュー・ベースド・ファイナンス（RBF）を提供しています。
RBFは、株式や融資とは異なる形の第3の資金調達手段で、株式のような希薄化や、融資のような担保/保証を求めない成長企業のための新しいタイプの資金調達手段です。Yoii ブログ5分でわかる「RBF」 で詳しく説明しております。
本日、シリーズAの資金調達リリースを出しました！
起業家の野心によりそい、企業の成長をサポートすることを目指すYoiiですが弊社自身もスタートアップとして成長のための資金調達が欠かせません。今回のnoteでは、シリーズA調達の振り返りを行います。これから資金調達を行う起業家の参考に少しでもなれば嬉しいなと思ってます。
想定読者
シリーズA付近の起業家
Yoiiメンバーとしてコミットしたい方
YoiiシリーズAの目的と経緯
今回のシリーズAでは、一定のトラクションとビジネス実証ができましたが、需要を満たすだけのRBF資金が足らず、次なる成長のために資金調達を実施することにいたしました。
どういうことかというと弊社はこれまで、2021年10月にシード調達、2022年9月にプレシリーズAの資金調達を実施しています。私たちはこれまでの資金調達で約6億円ほど調達しています。ですが、実は調達した資金の半分以上は残した状態で今回の調達に臨みました。通常スタートアップ企業は調達したお金を成長（顧客開拓、人材獲得）に投資し、PMFならびに売上拡大を目指します。弊社の場合は、ビジネスの特性上調達した資金をRBFの資金に使う必要がありました。もちろんこれは資本コストの観点から考えると、調達コストと運用収益が逆ザヤになり合理的ではありません。合理的には、運用収益をよりコストの低いお金を銀行から借り入れる、または別の手段で調達するが基本です。この調達と運用のスプレッドから、運転資金を引いたものが利益になります。
ではなぜ上記のような方法を取らなかったのでしょうか。それは、RBFという誰もやったことのないビジネスを実証する必要があるからです。ビジネス実証という不確実性の高いつまりリスクの大きい（その反面リターンが高い）ことを実施するにあたっては、やはりVC資金の親和性が高いためYoiiのビジネスに賛同いただける投資家からの資金を使いこれまでRBFを実施してきました。
YoiiシリーズA振り返り
資金調達、私の場合は全シリーズを通して決して楽に終わったということは一度もなくて毎回苦労してます。「余裕で終わりましたよ！」っていう人の話を聞くとほんとすごいなと思ってます。私も資金調達に関しては、関連記事や書籍から学びましたし、色んな方からアドバイスを受けて来ました。今回はそのような観点ではなく、Yoiiの固有事情による苦労みたいなことは省き、少し違う括り方で振り返りを行ってみたいと思います！
鉄則: 資金調達は素早く終わらせる
資金調達を長くやっていても何もいいことはありません。起業家がやらなくてはいけないことは事業成長であって、資金調達はそのための手段です。では、振り返りとして◯◯◯をやっていたらもっと資金調達早く終わっただろうなということを挙げていきます。
資金調達の市場環境を理解して適切なバリュエーションを設定する
現在の環境を見極めて、自社と投資家にとっての適正値を設定します。高すぎると長期化します。
未上場企業とはいえ、シリーズAくらいになるとバリュエーションは公開市場に影響されます。2021年と比較して資金調達が厳しいのは投資家からも聞いておりました。売上は2倍以上に伸びているがほぼフラットラウンドという話も他のスタートアップからも聞いています。
状況を認識していたつもりが、当初走り出した時のバリュエーションは高すぎたため一度修正をしています。その時の調達環境、投資家のセンチメントなどをしっかり事前に調べた上で動くべきでした。また、市況が悪い時にはなぜそのバリュエーションが適正値なのかは、相当クリアに説明できる必要があると思います。
前回のラウンドからの達成事項レビューと事業計画の作り込みは入念に
過去を振り返り、現状を理解し差分を分析します。そして計画に落とし込むということをおろそかにすると長期化します。
上記1にも繋がる事前準備の話です。もちろん私もやっていたのですが、もっとやっておくべきでしたし既存株主とも資金調達前に詰めておくべきところでした。
これに対しては、一度納得のいくものを作った上で既存投資家や経営陣とクロスレビューを時間をかけてするべきです。投資家のフィードバックを受けて資金調達しながらアップデートしていくのもいいのですが、起業家のやっていることが革新的であればあるほど投資家も正解を持っているわけではありません。辻斬りみたいなフィードバックを真正面から受けて修正すると事業がブレます。修正はよく考えて微修正の範囲に留めるべきかと思います。
投資家像を明確にする
誰から、なぜその投資家から調達したいのかを明確にします。ローラー作戦的にやると長期化します。
弊社の場合でいうと今回は、リード投資家として日本投資家と海外投資家と話しておりました。両方とも「投資家」という意味でフラットに考えていたのですが、結果としては今回の資金調達中に話さなくてもよかったのかなと思います。得られるものはありますが、シリーズAが終わってからでよかったです。ミーティング、英語資料の作成、出資にあたってのQA対応に時間がかかりました。
資金調達と並行してあれこれやらない
資金調達だけで相当の時間とエネルギーを使うのに他のことをやると長期化します。
個人的には、とにかく資金調達を早く終わらせることに全精力を注いで他はやらないと決めるくらいでいいと思ってます。それでもどうしてもやらなくてはいけないことは出てきます。チームの体制や仕事の優先順位を整えて完全に資金調達モードに入ることが大切です。
経営チームを作る
強い経営チームを作らなくても長期化しないかもしれません。
ただ弊社を鑑みると私も共同創業者の大森も能力が偏っており、そこを相互補完する意味でも意識的に取り組む部分だったと反省しています。プレシリーズAの時から経営陣の陣容が変わっておりませんでした。
スタートアップにおいて、創業者の占める役割は大きくシリーズAくらいだとまだ一人でたくさんのことをやらなくてはいけないと思います。資金調達を早く終わらせ、事業と組織に向き合うということは常に意識したいですね。
Yoii今後の展開
今回のシリーズA調達を経て、Yoiiはどういったことをやっていくのでしょうか。
Yoii's Mission
RBF
もちろんこれまで通り、起業家の皆さんを後押しするために株式でも、融資でもない第3の資金調達手段としてRBFを提供をしていきます。Yoiiの提供サービスは、DDのプロセスをデータサイエンスを通じて軽減しているからこそ素早い資金提供を実現しています。さらなる自動化を通じてよりよい資金調達サービスにします。
RBF市場の拡大
弊社は現在、スタートアップを中心にRBFを提供しています。弊社の市場を大きくするには対象事業の拡大（中小企業や新しい業種）、対象市場の拡大（日本以外）といった方法が考えられます。対象の拡大を通じて成長を目指します。
Yoiiの資金調達手段の多様化
ありがたいことに現在、多くの需要をいただいております。しかし、Yoiiの資金制限によりご対応できない場合があります。こういった弊社側の都合による顧客の機会損失を無くすために弊社の増資によらない形の資金拡充を行います。
新しいこと
金融領域は産業特性上コモディティ化しやすい運命にあります。これまでのFintech企業の事業展開を見ても新しいサービスを立ち上げて大きくなってきています。Yoiiも中長期での事業軸としてRBFに閉じない事業展開を行っていきます。
すべて我々のミッション「資産の流動性を上げ、挑戦する起業家・企業の成長を後押しする。」達成のために進めていきます！
いつかYoiiに来るかも知れないあなたへ
私たちは、新しい資金調達手段を提供するスタートアップとして日々ミッション達成のために邁進しています。将来的には日本だけでなく海外の展開も目指しているために、社内では英語を第一言語としてコミュニケーションしており海外出身メンバーも多く在籍する多様性のある企業です。
2021年創業とはいえ、想像以上にカオスな部分も多いと思います。新しい事業、オペレーションを作り上げ、やったことのない仕事にチャレンジできることにワクワクする方にはピッタリです。金融に求められる堅さを意識しながら、風通しの良さと柔軟性の維持を試みています。
技術的発信をしていないためにビジネス偏重企業に見られることもありますが、私としてはテック企業であるべきだと思っていますし、技術投資もしっかり行っています。技術視点の話は、今後CTOの大森からの発信に期待しています。Yoiiの未来に可能性を感じ、足りないピースを埋めて拡大してくれる方をお待ちしています！
現在募集中のポジションはウェブサイトをご確認ください。
繰り返しですが資金調達はゴールではなく事業成長のための手段です。とはいえ、私一人では到底なし得なかったことであり、既存投資家の皆さんのご協力、相談させていただいた外部の方、そして何よりYoiiメンバーのがんばりのおかげです。関わった皆さんにとても感謝しておりもっとがんばらないといけないなと気持ちを新たにしています。
起業家の皆さん！
資金調達を進める際は、RBFという資金調達手段もあるということを知っていただきご相談いただけると嬉しいです！
注: たまにランウェイギリギリで来られる方もおられるのですが、資金調達は余裕のあるうちに動くのがベストですのでお早めにご相談ください。
Yoiiで働くことに興味がある方！
Yoiiでは、積極採用中です。今、オープンしていなくても今後オープンすることもあるのでぜひたまに覗いてみてください。