web3サービス設計の考え方
web3のサービス開発が活況です。
2024年現在、金融とゲームの分野を中心に、色々なweb3のサービスが生まれています。
これは現在のクリプト市場の好調に加えて、DAppsが誕生してから5年以上が経過し、様々なノウハウが溜まってきていることも要因でしょう。
さらに幸運なのは、クリプト市場はまだまだ黎明期なので、まだ個人にも企業にも大きなチャンスが転がっていることです。
世の中には、暗号通貨の価格が何十倍・何百倍にも高騰することを夢見て、暗号通貨の購入を考えてる人が大勢います。
しかし
暗号通貨の売買の成功で辿り着けるのはせいぜい億り人程度
です。
クリプト市場のポテンシャルを考えると、これは夢のない考え方です。
FTXのサム・バンクマン=フリードやバイナンスのチャンポン・ジャオがあっという間に兆を超える資産を築いたように、クリプト市場では多くの人が億万長者になれるチャンスが開かれています。
例えば、バイナンスのチャンポン・ジャオの2024年時点での資産額は約5兆1348億円です。
バイナンスの創業は2017年7月なので、資産を築くのにかかった期間はわずか7年です。
これは日本であれば、小学生に入学した子供が中学生になる程度の期間に過ぎません。
クリプト市場がこれだけ効率的に稼げるのは
小資本・少人数でサービス開発を進めることができる上、ゼロからお金(トークン)を生み出して、金融市場に参入することができる
という資本主義における究極のビジネスモデルだからです。
もちろん、ほとんどの人はサム・バンクマン=フリードやチャンポン・ジャオの域に到達することはできないでしょう。
しかし、web3のサービスを作成・運用する中で身につけることができるクリプトに関する知識は、あなたがクリプト市場で資産を築くのに大いに役立ちます。
というわけで今回は
web3サービス設計の考え方
について説明します。
具体的には
2024年時点でのweb3サービスの基本
サービスの発表とトークンの販売
マネタイズ手法
について記載します。
2024年時点でのweb3サービスの基本
まずは
2024年時点でのweb3サービスの基本
について見ていきましょう。
2024年のweb3アプリケーションでは
サービスのコアな部分をL3(レイヤー3)にして構築する
取り組みが目立ってきています。
L3とは
レイヤー2ソリューションの上で動作するDappsとして、各種機能に特化した問題を解決するブロックチェーン
です。
L3を知らない人は、以下の記事を読んでL3を理解してください。
例えば、2024年になってから分散型ソーシャルネットワークのFarcasterが注目されていますが、2024年3月にFarcasterはレイヤー3(L3)プラットフォーム「Degenチェーン」を立ち上げました。
わざわざL3を立ち上げた理由は、DEGENトークンを使ってより多くのユースケースに対応できるようにすることで、サービスのネットワークを広げていきたいという考えがあったからでしょう。
他に、FarcasterのライバルであるLensもレイヤー3(L3)プラットフォームMomokaを立ち上げました。
Farcaster・Lens以外のサービスでも、レイヤー3(L3)プラットフォームを立ち上げるプラットフォームが増えてきています。
理由は
サービスが提供するトークンをメインにするチェーンを提供することで、サービスの影響を広範囲に展開していくことができる
からです。
これは
国が自国で発行する通貨を世界中で流通させたいのと同じ
ことです。
なのでグローバルに展開したいサービスを運用する組織であれば、このように考えるのは自然なことです。
しかし、L3には現在、賛否両論があります。
なので個人的には、まだL3を導入するフェーズではないと考えています。
なぜなら
L3を導入すると業務量が一気に多くなるので、重要なコアサービスを運用・改善するのに割く時間が減るから
です。
web3サービスをグローバルに展開する手段は、L3の導入だけではなく他にもあります。
ネットワークを広げることは、サービスを運営していく上で確かに重要な要素ですが、運用コストと価値を天秤にかけて導入を考慮すべきでしょう。
L3を構築するL2プラットフォームには
Polygon
Arbitrum
がよく選ばれています。
個人的にも現在オススメのL2プラットフォームは、PolygonとArbitrumなので、これに関してはどちらかを使っておけば間違いないでしょう。
またweb3アプリケーションを作成する場合は
小さく始めるのをオススメ
します。
選択するジャンルは
自分が興味を持てて、サービスが回る程度に需要があることであれば何でも良い
です。
次に現在web3で最も利益が出るサービスを紹介しましょう。
それは
中央集権型の暗号通貨取引所
ブロックチェーンL1(レイヤー1)
です。
これらがどれくらいの富を築けるかは
中央集権型の暗号通貨取引所はバイナンスのチャンポン・ジャオ
ブロックチェーンL1ではイーサリアムのヴィタリック・ブテリン
彼らの現状を見れば明白です。
成功すれば数千億から数兆円の資産を手に入れることができます。
しかし、当たり前ですが
このレベルで成功できる可能性は相当に低い
です。
特に、中央集権型の暗号通貨取引所の運営は、事業を始めるハードルが高いので、ほとんどの人には現実的でありません。
また、ブロックチェーンL1の開発では、今からイーサリアムの牙城を崩すのはかなり難しいでしょう。
さらに厳しいことを言うと、ブロックチェーンL1のネットワークは
ビットコイン
イーサリアム
ソラナ
の3つで席が埋まっている状態です。
もちろんイーサリアムを超えられる可能性もゼロではありませんが、難易度は高いです。
中央集権型の暗号通貨取引所、ブロックチェーンL1の開発は、web2で例えると
検索エンジンの開発でgoogleを超える
のを目標にするようなものです。
なので
DAppsの開発
が現実的に最も成功する可能性が高い選択肢になります。
Dappsで利用するプラットフォームはイーサリアムをベースに、トランザクション処理にL2のPolygonかArbitrumを使う
のが良いでしょう。
日本国内で開発するなら、PolygonのMaticの方がArbitrumより入手しやすいので、Polygonを使う方が楽です。
ただし、日本国内で開発する場合でも、
なるべく日本国内だけでなく、グローバルでの利用も見据えて開発するべき
です。
なぜなら
DAppsが日本だけでビジネス展開できるほど一般的になるのは、かなり先のことだと考えられるからです。
資金繰りのことを考えても、日本国内だけでは苦しくなってしまいます。
また、web3といえばDaoでの運営が注目されていますが、必ずしもDaoにこだわる必要はありません。
むしろ最初からDaoにすると、プロジェクトがスピーディーに進まないリスクすらあります。
なぜなら
プロジェクトの初期はピボット(事業の方向性、また計画やプロダクトを変更すること)が発生するのが当たり前なので、 ある程度強い権限を持った人が事業を引っ張っていかないとプロジェクトはうまくいかないから
です。
それでも、将来的にDaoにすることを考えているなら、後のDao化を考慮しながら最初はDaoにはしないで組織運営をして、プロジェクトの方向性が安定してから徐々にDaoにしていくのが良いでしょう。
組織のDao化は、プロジェクトがうまく回るようになってからでも遅くはありません。
ただし例外的に
オープンソース、ボランティア、公共サービス等、金銭的な追求をしないプロジェクトであれば、最初からDaoの管理でも良いと思います。
サービスの発表とトークンの販売
次は
サービスの発表とトークンの販売
です。
web3のプロジェクトでありがちなのが
サービスが未完成状態でありながらプロジェクト概要をメディアで発表し、資金調達のために、サービストークンを投資家以外の一般人も含めて販売する
という資金調達手法です。
しかし、このやり方はオススメできません。
極力避けるべきです。
本来、トークンの販売で取るべき手順は
プロジェクトをリリース
メディアでサービスローンチを発表
トークンは資金調達としてではなく、ユーザーがサービス内で利用するリワードトークンとして販売・配布
になります。
このようにした方が良いのには理由があり
トークンで資金調達をしてしまうと、株式での資金調達とは異なり、事業投資経験のない人がギャンブル感覚でトークンを購入してしまうから
です。
このことは
幅広い人々から資金を集められるというメリットと同時に、事業投資に関する知識のない人や、生活資金を使って一発逆転を狙って投機する人までが参加してしまい、普通の投資家からは発生しないような理不尽なクレーム等が発生します。
また、彼らは気に入らないとすぐにsnsに批判を書き込んで拡散してしまうので、プロジェクトリリース前に評判を落としてしまうというデメリットが発生します。
これは仕方のないことで、一般的な投資家はプロの投資家とは異なり、スタートアップ事業のお金の流れを理解できていません。
彼らは良くも悪くも
なるべく早く自分が投資した資金を増やして回収したい
とだけ考えています。
中には、投資信託や大型株と同じような安定性まで求めている人もいます。
もし、あなたの事業が10年後の本格的な利益回収を考えていて、それを説明したとしても、そのような長期的な計画をトークンホルダー達は認めないでしょう。
成果を出すには、予想以上に時間が必要であることをわかっている人は少ないのです。
なので結局
共倒れ
になる可能性が高いです。
そして実際、多くのweb3プロジェクトがそうなってきました。
なので運転資金は
トークンを販売して集めるのでなく、ベンチャーキャピタルや金融機関などから調達するべき
です。
そして、サービスの発表は
サービスが公開できるタイミングで発表するべき
です。
重要なことは
web3だからといって、トークンを使った資金調達が必ずしも必要なわけではなく、トークンはあくまでプロジェクトを運営するためのツールである
ということを理解し、それを実践していくことです。
マネタイズ手法
最後は
マネタイズ手法
についてお話しします。
開発するサービスの内容が決まったら、マネタイズの方法を考える必要があります。
中にはマネタイズ手法を考えずに
「人が集まるサービスさえ作成できればお金はいつでも稼げる」
といって開発を進めてしまうプロジェクトがありますが、これは間違った考えです。
例えばSNSのXなどは、マネタイズの難しいサービスの代表例で、実際、創業時からほぼ赤字です。
こうなってしまうと立て直して黒字化するのは、並大抵のことではできません。
マネタイズ設計が必要ないのは個人サービスだけです。
web2以上にweb3は、マネタイズ設計が重要です。
基本的にweb3は、web2と同じマネタイズ手法が利用できますが
PVを稼いで広告料で儲けるという手法だけはweb3と相性が悪い
です。
暗号資産業界は、ビジネスモデルとして広告を使用することに消極的です。
現在でこそ広告枠NFTなどの実証実験が行われていますが、それらがweb3でうまく機能するかはまだ未知数です。
個人的には
今後もweb3では広告ビジネスはうまくいかないと思っています。
なので、すでに実績のあるマネタイズ手法を取るべきです。
web3ではこれまでのweb2までのマネタイズ手法に加えて
トークン手数料
ロイヤリティ
ステーキング
などで収益を得ることができるようになります。
では、これらについて具体的に説明していきます。
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