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せっかくの実証運行だったが

昨日書いたのはこちらに少し関連する話。まだ読んでない方は是非

2016年の一時期、茨城県稲敷市・美浦村・阿見町等が中心となって、成田空港へのバスを実証実験として運行していたことがあった。

経路はあみプレミアム・アウトレットを出て、稲敷美浦バスターミナルに停車。そこから圏央道に入って一旦神崎インターを降りて、道の駅発酵の里こうざきに停車。そこから再び圏央道に入って成田空港第1ターミナルを目指すものだった。片道運賃は1,000円・所要時間は55分で、発酵の里こうざきでは東京方面への高速バスにも乗り換え可能になっていた。『なりたちばらき高速バス』という愛称が付き、運行はJRバス関東と関東鉄道。2016年7月16日運行開始で、当初は半年間の期間限定運行の予定だった。

経路はこうだった。

あみプレミアムアウトレットから成田空港までの経路
あみプレミアムアウトレットー道の駅発酵の里こうざきまでの拡大図

こうしてスタートしたなりたちばらき高速バスだったが、結果から言えば当初予定より前倒しで2016年12月25日に終了となってしまった。どうしてこうなった?

簡単に言えば、近すぎたのである。空港行きゆえやむを得ない部分もあるが、所要時間55分に対し、運賃1,000円かかるというのは地元にとっては高すぎた。以前鹿島神宮駅ー成田空港のバスについて書いた事があるけど、理由はこれとほぼ同じでバス使うなら家族の車で送って行った方が早いし、いざ成田から飛行機となっても大抵は団体旅行だから、地元からバス出してもらった方が早いと考えるのが多かった。

しかし、鹿嶋から出てたのとは一つ違って神崎の道の駅で乗り換えができた。なのにこれもダメだった。なぜか?

ズバリ、常磐線の中電が無敵すぎたのである。2016年当時TXとの競争で常磐線中電が時速130km/hで走っていた頃で、これがあまりにも強すぎて東京から稲敷や龍ヶ崎等に走っていた高速バスが次々と廃止に追い込まれていた。他の高速バスですらこれだからこんなので太刀打ちできるわけがない

江戸崎や美浦・阿見からひたちの牛久や龍ヶ崎市駅まで車で行ってそこから乗れば東京や品川に行けてしまうんだから、神崎で乗換できますって言っても経路が遠回りな高速バスは敬遠されてしまうのも無理はない。

実証実験結果はそれを裏付けるようなものだった。14往復運行し、1便あたりの乗車人数は1人を切るのがほとんどで中には2人というのもあったが、49人定員だとしても多くて2人は空気輸送同然だったのである。

ちなみに、これ以降この辺りから成田空港へ行くバスは設定された事がない。ただ直接の関連ではないものの、新利根地区から江戸崎を経由して神崎へ行くバスがその後2020年頃に開通しており、稲敷から神崎へのバス自体は一応復活している。

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