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これから韓日ゲーム翻訳に参入したい翻訳者さん向けの情報(分量、納期、単価の目安)

初めましての方は初めまして。マサケイという名義で活動している「きたやま・まさくに」というフリーランスのゲーム翻訳者です。


前置き

2023年秋頃から、ウェブ漫画を中心にお仕事をなさっている韓日翻訳者さんたちの間で、ゲーム翻訳の分野に参入したいという話が出ているのをお見かけしました。先日、ウェブ漫画の単価が……という話題をまた見かけて(今回は韓日ではなく中日の漫画翻訳から出た話だったかもしれませんが)、韓日のフリーランス翻訳者さん向けにこの記事を書くことにしました。

この記事は、韓国語から日本語に翻訳するゲーム翻訳が対象です。
韓国語(ko) -> 日本語(Ja)

私自身は、英日・韓日のプロジェクトどちらもやっている韓国の翻訳会社1社から翻訳やproofreading(検収、監修とも言う)の依頼を受けています。それ以外に、翻訳会社を通さずに、韓国のゲーム会社から個人で依頼を受けることもあります。大手ではない小規模開発のゲームをインディーゲームと言いますが、私はインディーゲームの展示会に足を運んで、ゲーム開発者たちに翻訳と日本市場向けPRをセットで提案するという、韓日では他に誰もやっていないことをしています。40代半ばなのに翻訳業を始めてまだ4年ですが、昔はゲーム開発の現場にいた企画職で、コーディネーター的な立場だった経験を活かしています。

韓国のゲームに関わっていることが多いのでよく間違われますけど、私の言語ペアは韓日ではなく英日でして、最近まで韓国の翻訳会社と取引していませんでした。この記事に書いた情報は知人から教えてもらったことが多いのですが、誰から聞いたのかは考えないようにしてください。「秘密保持義務に違反しないように」「情報提供者にご迷惑がかからないように」「単価の相場などに影響を与えないように」と配慮して情報を共有することはとても難しいのですが、今まで記事になっていないことをここに書きたいと思います。

【ご注意】韓日の具体的な単価については、この記事で触れません。あいまいな表現にします。

1日に翻訳可能な量と納期について

おそらく、新規参入したい方々が気になっている点は……
1日に翻訳可能な量、割り当てられる分量と納期、単価
- ゲーム用語にあまり詳しくないので不安(これに関しては次回の記事で)

ということだと思います。

先に大事な点を載せておきます。
一般的に、日本に拠点を持つ韓国のゲーム会社のローカライズ部門で、社内翻訳者がどう指導されるかというと、
1日に翻訳可能な量は2000ワードが目安 ※単語数基準
これは8時間作業して、残業なしという前提です。

フリーランス韓日翻訳者Aさんによると、
- 納期は「2万ワードに対して2~3週間後が納期」の場合が多い
フリーランス韓日翻訳者Bさんによると、
- 1日に翻訳可能な量は約6,000文字 ※文字数基準
- 希望納期は「3万ワードに対して約2か月」。希望が通ったことはなく、これより実際の納期は短い

2万ワード=2000ワード×10営業日
ここでは営業日(平日)以外の週末は休むものとしてスケジュールを立てます。2週間なら平日が10日あります。
翻訳を終えてからセルフチェックにかかる時間も考慮しましょう。

2万ワードに対して納期が2週間というのは、けっこうぎりぎりですよね。初めてゲーム翻訳の案件を受けるときは、1日に2000ワード翻訳できると安易に考えないほうがいいでしょう。2万ワードを2週間後というのは、すでにペースがつかめている方だからできることです。情報提供者の方から「2000ワードというのはCATツールを使って効率化できたときの話で、効率化できない会話文ばかりのときは2000ワードいかない日もある」と聞いています。ただ、CATツールが必須という意味ではありませんので、誤解のないようお願いします。

実は翻訳料金の目安を公開しているゲーム翻訳会社がある

韓国にある、とあるゲーム翻訳専門のローカライズスタジオのホームページに、ゲーム会社からその翻訳会社に支払われる料金の目安が掲載されています。

번역비용은 언어종류 및 번역을 검수하는 횟수에 따라서 단어당 100-150원 정도입니다.

言語の種類や、検収の回数によって変わるとも書いてあり、日本語翻訳の費用とは限らないのですが、仮に1ワードあたり100ウォン(現在のレートで約11円)でこの会社が引き受けたとして、翻訳会社の取り分と、フリーランス翻訳者の取り分を想像してみてください。あるいは、1ワード150ウォン(約16.5円)で引き受けたとして、翻訳会社の取り分、翻訳者の取り分、検収者の取り分をそれぞれ考えてみてください。

単価の相場を考えるヒントにしていただければと思います。翻訳会社を通した場合、1ワード100ウォンを翻訳者が受け取れることは無さそうですね。

まず英日ゲーム翻訳の単価相場を知ってください

この記事は韓日ゲーム翻訳の話をしていますが、具体的な単価相場を書いてしまうと、どこにどんな影響があるか分かりません。低めの単価を見て、発注者である翻訳会社やゲーム会社の人が「駆け出しの翻訳者にはこのぐらいの単価でいいんだろうな」と思ってしまうかもしれませんし、のちに相場が上下したときにこの記事を参考にした翻訳者さんが希望単価を言って、相場と合わなくて損をすることがあるかもしれません。

ですから、「ゲーム翻訳を始めたての頃にどのぐらいの単価だったか」ということは、誰でも読めるような記事には書かないほうがいいと思います。特に、韓日の場合は。
書けるのは「こんなに低い単価では絶対に食っていけない」という、中間搾取ではないかと疑ってしまうような単価だけです。後述しますが、1ワード30ウォン(約3.3円)という案件がもしあったとしたら、駆け出しでも初案件でも絶対に断ってください。ここまで低い例は聞いたことありませんけど、これに近い例は知っています。

韓日ではなく、まず英日翻訳の単価についてご説明したいと思います。

ーーー ↓ ここから英日ゲーム翻訳の話ーーー

ゲーム翻訳の分野に限りませんが、英日では相場が「1ワードあたり7円~14円程度」と、アメリアのサイトに書いてあります。

英日ゲーム翻訳の単価相場については、翻訳歴の長いフリーランス翻訳者さんたちがX(Twitter)で投稿なさったことがあります。引用するとご迷惑がかかるかと思い、いったん私の中で消化したうえで、自分の体験もふまえて、まとめ直したものを書かせていただきます。

英日ゲーム翻訳も1日で翻訳できる量は韓日とほぼ同じです。英日は1日1800~2000ワードが目安だと言われています。

英日ゲーム翻訳の1ワードあたりの単価
※日本国内のクライアントの案件
6円 英日では低いとされる単価。数年前は駆け出しなら6円が多かった?
7~8円 英日では最初から7円のことも。まだ頭打ちではない。
8~10円 範囲を広くしてぼかしてますが、この範囲の単価のどこかで「うちではこれ以上は出せません」と言われ始める。欧米ではなく、日本の会社の話です。

6円×2000ワード = 1万2000円
1か月に土日祝を除いた20日稼働するとして、1万2000円×20 = 24万円

単価が7円なら
7円×2000ワード = 1万4000円
1万4000円×20 = 28万円

健康保険や厚生年金などの社会保障が会社員のようにそろっていないことを考慮すると、フリーランスが1か月24万円の収入では足りないと考える方もいるでしょう。
1か月24万円というのは「韓日」の映像翻訳の相場と比べても少なく見えるはずです。映像翻訳や漫画翻訳はいったん作品を担当したら放送・連載が長く続くことが多いですが、それに比べてゲーム翻訳は……ということも念頭に置いてください。

この計算では月に4万ワードの受注を見込んでいますが、一年を通して依頼が途切れずに、手元に毎月4万ワード届くかというと、そんなに安定しません。月4万ワード×12か月=年間48万ワードという計算とはかなり差があるとお考えください。

英日ゲーム翻訳でも、日本国内の取引先は単価8円をいくらか超えたぐらいで頭打ちになってしまうので、そんなに儲かる仕事ではないようです。しかし、英日の場合、欧米のクライアントからドルで支払われる案件は、為替レートのおかげでもっと単価がいいということになります

1ドル=150円なら
1ワードあたり0.07USD(米ドル)=10.5円
1ドル=140円だとしても
1ワードあたり0.07USD(米ドル)=9.8円

この0.07USDという単価は、日本で言う7~8円のようにありふれた単価なのですが、最近ではそれが10円前後になります。先日、私のところに英語ネイティブから来た依頼も、「経験に応じてワード単価10~14円で引き受けてくれる人を探している」とのことで、10円が下限でした。
ベテランじゃなくても1ワード0.07~0.08USDの案件を受けることができて、約10~11円になると考えてよさそうです。

ベテランは12円以上と考えていいでしょう。15円や16円という領域もあるようです。「ちょっと気を緩めると年収500万を切ってしまう」というような投稿を見たことがありますが、うまく仕事を詰め込めたときは500万を超えたということでしょうね。ゲーム翻訳だけなく、他分野のお仕事もなさっている方の話です。

ーーー ↑ ここまで英日ゲーム翻訳ーーー

韓日ゲーム翻訳のクライアントは韓国か日本か、二択?

さて、本題の韓日ゲーム翻訳です。まず、英日と違って、欧米からドル払いの案件を受けるという道がなさそうです。韓日翻訳者さんたちからは、欧米や、あるいは中国からの案件を受けて稼いでいるという話が聞こえてきません。私にも隠している、というわけではないようです。

中国の翻訳会社が、いい単価で募集していたのは一度見かけました。翻訳者さんにとって、英語でやりとりするのが負担になるという事情もあるようです。一方、英語でのやりとりが苦にならなければ選択肢が広がるという可能性も感じます。

今まで韓日翻訳者さんたちにお聞きした範囲では、韓国国内か、日本の翻訳会社かという二択になっています。取引先は韓国の会社だけという方も、韓国と日本両方に取引先があるという方もおられます。

日本の翻訳会社から韓日ゲーム翻訳の案件を受けた場合も、先述の英日ゲーム翻訳の相場のように、8~10円のうちのどこかで頭打ちになるだろうと思います。おそらく。

韓国の翻訳会社からの案件の単価については、ここには書けません。新規参入者の方々は、実際に案件を受けながら、日本の翻訳会社の相場と比べて、同じような単価で契約できるのかということを検証していただければと思います。

再掲
ーーー英日ゲーム翻訳の相場(日本のクライアント)ーーー
6円 英日では低いとされる単価
7~8円 英日では最初から7円のことも。まだ頭打ちではない
韓国の翻訳会社からの韓日案件でも同じようにもらえる?もらえない?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
韓国の翻訳会社にゲーム会社が支払う料金の目安(一例)
번역비용은 언어종류 및 번역을 검수하는 횟수에 따라서 단어당 100-150원 정도입니다.(現在のレートで100ウォンが約11円、150ウォンが約16.5円)

韓国の翻訳会社との契約で「ちゃんとした単価で契約している」「希望の単価が通った」という翻訳者さんは実際にいることはここでお伝えしておきます。納得できる単価で契約してくださる翻訳会社は、探せば存在します。

新規参入者におすすめの取引先はどんな翻訳会社?

まずは単価のことはともかく、一緒にお仕事しやすい翻訳会社がいいだろうと思います。
納期が短すぎる無茶な仕事を振ってこない。翻訳用のスプレッドシートに、必要な情報がそろっている。言わなくても、設定集のような資料を取り寄せてくれている。あるいは、最初は資料が足りなくても(ゲーム会社が出し渋っているわけではなく、発注に不慣れで資料がまだ作成されていない場合もあります)、リクエストしたらゲーム会社に働きかけてくれて、資料が届いた。質問しやすくて、レスポンスが速い。何度かに分けた、分割での納品になっていてペースがつかみやすい。PMさんとの相性。ゲームショウなどのイベントで代表の方やPMさんに会ってお話を聞くことができて、コミュニケーションがとりやすくなった。
このような良い評判を翻訳者さんたちから聞くと、たしかに協力的で、翻訳の作業への理解度が高く、仕事しやすい環境を作ってくださっている会社があるんだなと感じます。

ところが、単価の面で言うと、一番いい単価を出してくれる会社ではないかもしれません。もちろん、フリーランスの立場では、単価の実態を把握することは不可能です。同じ翻訳会社と仕事をしていても、自分以外に、高単価でどんどん案件をまわしてもらっている翻訳者がいるかもしれないので。
しかし、理屈の上では、下記のような条件がそろってくると、高単価のフリーランスに依頼しなくてもなんとかなるんだろうな、と推測できます。
- まだ単価が上がりきってなくても、いい仕事をしてくれるフリーランスを確保できている。層が厚い
- 翻訳会社側で、スケジュール、資料の準備、チェックなどの体制を整えて、翻訳者の技量に依存することなく、品質向上を実現できている
- 日本語ネイティブの翻訳スキルに達していない非ネイティブ(おそらく韓国人)の日本語翻訳者に任せても、ひどい翻訳にはならない

これは韓国の翻訳会社に限ったことではないと思いますが、体制を整えた大手の翻訳会社や、小規模であっても経験豊富で実務への理解度が高い翻訳会社が、コストを抑えつつ品質を維持しているというのは、ありそうな話です。さらに「納期も短い」というのはいくらなんでも不可能なので、作業期間はしっかり確保しているようです。

希望単価で契約できそうなケースは?

上述のような会社と違って、体制が整っていない翻訳会社もありますが、その中に2種類あると考えてください。ひとつは単に近寄らないほうがいい会社で、もうひとつは、日本語ネイティブのフリーランスを探し求めているけれども、どうやって見つけたらいいか分からなかった会社。後者が希望単価で契約できそうな会社です。

実は、韓日ゲーム翻訳の経験が豊富な日本語ネイティブのフリーランスは絶対数が不足していて、X(Twitter)で探したぐらいでは見つかるとしても片手で数えるぐらいでしょう。しかも、日本語ネイティブの韓日ゲーム翻訳者さんたちは取引先をむやみに増やすのではなく、少数の取引先から案件をたくさん任されているという傾向にあったようです。比較的後発の翻訳会社が、日本語ネイティブの情報をつかめなくて困っていたのもうなずけます。

今年、日本語ネイティブのフリーランス韓日翻訳者を紹介してほしい、あるいは募集をかけてほしいというゲーム専門の翻訳会社(韓国)が2社ありました。オープンな募集ではなく、経験者を知ってそうな人を通じての募集です。翻訳会社が募集をかけているときは、近々案件が来て忙しくなりそうだとか、需要が見込めるということであり、新規開拓を狙うフリーランスにとっては希望単価が通る可能性が高いチャンスです

では、募集がかかっているときに、翻訳会社さんの名前を伏せつつ、私がもっと拡散すればよかったのかというと、そうは思いません。先述のような体制が整っているわけではないからです。他分野での翻訳経験が豊富だったとしても、ゲーム翻訳への理解がまだ浅いうちは、ご紹介したとしても翻訳者さんご自身が苦労してしまうかもしれません。資料が不足していたらリクエストしなければなりませんが、慣れないうちは、どのような資料をリクエストしていいかも分からないでしょう。

交流のあるゲーム翻訳者さんたちに「始めるにあたって、どの翻訳会社さんがおすすめですか」と質問したとしましょう。はっきりとした回答が返ってこないとしたら、
1. 新規に参入する方ご自身が苦労するかもしれないから
2. 慣れない人が入ったことで、フォローする人が苦労するかもしれないから
3. ゲーム翻訳を始めやすい取引先は知っているけど単価が高くはないから
4. 人が増えたらそのぶん自分に回ってくる案件が減るから
という理由がありそうです。少なくとも私はそう考えます。

1.と2.を前向きに解決していくためには、ゲーム翻訳について学ぶ場が必要です。翻訳学校で韓日ゲーム翻訳の講座が開講された例はないようですし、有志が集まって勉強会をするにしても、韓日ゲーム翻訳について教えられるほど体系的に学んでいる方や、講師を務めるのが好きな方、時間的・精神的な余裕を持てる方がいるでしょうか。今すぐには難しいかもしれないので、韓日ゲーム翻訳に限らず、英日・中日ゲーム翻訳者が集まっているコミュニティに参加してみてもいいかもしれません。参加しても、韓日に直接関係のありそうな話が聞けるまで時間がかかってしまうことは否めません。だから、そのぶんを補うために、私がこの記事を書いています。

ここでお伝えしておきたいことは、ゲーム翻訳未経験でも比較的お仕事がしやすい翻訳会社さんの案件から始めて、経験を積んで対応力をつけておけば、今回のような新規開拓と単価交渉のチャンスに恵まれるかもしれないということです。

つながりのある翻訳会社さんがいつかまた募集をかけるようでしたら、私はまた経験者を探します。韓日翻訳者さんたちにお願いですが、ゲーム翻訳の案件を続けて受けているということを、私が目にすることができるところで情報発信していただけると、見つけやすくなります。連絡先もわかるようにしていただけると助かります。

搾取単価にだけはご注意ください(相談窓口)

後回しになってしまいましたが、極端に低い単価の案件にはご注意ください。「1ワードあたり30ウォン」という単価がもしあったとしたら、ゲーム翻訳未経験での初案件だったとしても断ってください。どうやっても生活できない単価です。

30ウォンは記事執筆時点のレートで約3.3円
1日2000ワード翻訳できたとしても、6600円

これはあえて極端に低い単価を書いてみただけですが、もし「最初の案件は30ウォンより少し上だったけど、それほど変わらないし、あとで単価を上げてもらえるはずが、まだ上げてもらってません……」という駆け出しの翻訳者さんがおられましたら、とりあえず私が相談窓口になりますので、ご連絡ください。【ご注意】連絡するとき、私にも翻訳会社の名前を伏せてください。
X(Twitter): https://x.com/MasaKei123
mail: mskn0203@gmail.com

各方面に配慮し、問題となる単価だけを聞きとりして、質問者・回答者・翻訳会社などの名前を一切伏せたまま、ゲーム翻訳の経験がある知人に「この単価は妥当か」「他の翻訳者さんたちがゲーム翻訳を始めたときの単価に比べて、低すぎないか」ということを質問して、回答を得てからお伝えします。
ただし、この相談窓口は、「常識外れの搾取単価から新規参入者を守る」という目的に限定させていただきます。「他の翻訳者さんが実際にどのぐらいの単価から始めたのか」「現在はどれぐらいの単価なのか」という情報は明かせませんし、そのような目的で相談しないでください。

検収(監修)は翻訳の半分が相場

見出しの通りですが、すでに日本語に翻訳された訳文をチェックする作業は韓日では検収(監修)と呼ばれ、翻訳の半分の単価になることが一般的のようです。検収を半分の単価で受けるなら、翻訳の2倍以上の量を1日でこなせないと、割に合わないということになります。

本来は、検収とは「誤字や文法的な間違いの修正に集中する作業」であって、上手い訳文に書き換えることではないはずです。訳文をブラッシュアップさせるとか、検収と言いつつも実際は再翻訳するというのは、半分の単価、半分の労力と時間ではできないことです。このあたりの事情は漫画翻訳や映像翻訳でも同じでしょうから、すでにご理解いただいていると思います。

ただ、それがわかっていても、ゲーム翻訳で検収の依頼を受けてみたら、テキストが届いて実際に目を通した段階ではじめて「翻訳品質が悪くて、検収どころではない」「再翻訳の必要がある」と気づくケースはありえます。その場合、半分の単価のままで受けてしまうと、翻訳と同じ時間がかかって1日2000ワードがやっとなのに、30ウォン×2000ワードで1日6600円……ということになりかねません。結果的には搾取単価で依頼を受けるのと同じになってしまうので、お気をつけください。納期までに間に合うかも分かりません。テキストを受け取ったら早いうちに判断して、まずPMさんに状況を報告するのがよいでしょう。

直す仕事は受けない/受けたことがないという韓日ゲーム翻訳者さんもおられますので、そういう方針もあるということを知っておいてください。

では、長くなりましたが、次回があればまたお会いしましょう。

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