自民党LGBT差別冊子デモへ参加した私の備忘録
皮肉なことに、事の発端は6月のプライド月間(セクシュアルマイノリティの尊厳を重きにした月)に起こってしまった。
大阪高裁での同性婚訴訟に一喜一憂している間もなく、ニュースが飛び込んできた。
自民党議員が多く出席する神道政治連盟懇談会で、LGBT差別とも言える内容が多く掲載された冊子が配られたのだ。
神道政治連盟が発行した冊子によれば、同性愛は依存症であり精神病であるとの表現と共に、医学的に治すことができるといったような事も書かれていたのだ。
この記事は、TBSが早くからメディアの中で取り上げ、瞬く間に問題視されることとなった。
私も最初はTwitterを通して、該当文章の画像を拝見したのだが、酷いものだった。
今ではその画像も削除されてしまっているし、神道政治連盟のホームページでも閲覧することはできない。
私はこの一件があってから、なんだか心に重りを抱えた日々を過ごし、そんな中で自民党本部前での抗議活動を知り、東京まで飛んで行ったのだ。
その様子は動画でも少し紹介しているので、是非見ていただきたい。
https://www.youtube.com/watch?v=Rdla0zeExA8&t=44s
そもそも、なぜ差別冊子が神道政治連盟によって発行されたのに、自民党本部前でデモなのか。
自民党は単に参加した会合で冊子を受け取っただけではないのか?
反対したいなら、神社本庁前でやればいいじゃないかという声も聞こえてきそうだが、
なぜ、自民党本部前でデモに参加したのか。
ここで私なりの解釈と、自民党とこの「神道政治連盟」と繋がりについて話す必要があるので特筆しておく。
そもそも、この「神道政治連盟」という団体は、神社本庁の関連団体であり、神道の考え方によって政治を行っていこうとする「政教一致」の考え方をとっている。
この団体の方向性如何については、ホームページを確認していただくとして、とにかく天皇制の女系継承の反対、夫婦別姓の反対、などなどきわめて保守的な団体である。
この団体はいわゆる、自民党の組織票の一役を担っている団体のようである。
なぜなら、この神道政治連盟の会員の90%以上が自民党議員からなるものであり、神道政治連盟のホームページでも「応援しています!」と太鼓判を押しているのだから、間違いはなさそうだ。
そして、今は亡き安部元首相が神道政治連盟懇談会における会長の座を担っていた。
構成員はほぼ自民党議員からなる組織だったのである。
つまり、この懇談会で配られる冊子は、自民党が作成したものではないにしろ、団体としては承認を得て、配られているものなのである。
これだけの繋がりをもってして、自民党は知らないふりをすることはできないだろう。
もちろん、この差別冊子に対して、自民党内でも様々な声があることは承知している。
ただ、この問題がメディアに取り上げられたとき、党としてはオフィシャルな見解は何も出さなかった。見て見ぬふりをしたのだ。
だからこそ、大きな怒りを抱いた人たちが終結したのだ。
自分たちが構成員であるところから差別冊子を出しておいて、なぜ否定しないのか。と。
そして今回の7月上旬に行われたデモに繋がっていくのである。
組織票としてお抱えである団体の言うことには何も言えない自民党、そのためには平気で差別をしてしまう自民党。
これが正しい政治の形なのか?
性的マイノリティは、差別から守られない中でビクビクと暮らしている。
とりわけ、子どもたちの社会はもっと残酷だ。
吹きさらしの差別や侮蔑にさらされてきたのだ。今も苦しむ子たちがいる。
なのに、一国の政権を担う政治家たちが差別を容認してしまっている。
これは如何なものか。
私はそこが許せなかった。
性的マイノリティの人権について声をあげられるようになってきたのは、ほんの最近のことだとは思う。
少しずつ、殻を破ってもいいのかもしれない、変わりつつあるのかもしれない。
そんな期待とともに人々は立ち上がり始めていた。
だからこそ、私たちは終結し、訴えたのである。私たちは声を持つものだと。
その様子はメディアでも大きく報じられた。
衆議院選挙を前にしてネガティブキャンペーンか、ぐらいにしか思わなかった人もいるかもしれない。
でも、これは私たちの人権、生きる権利をかけた戦いだった。
活動家として、声をあげずにはいられなかった。
その週の金曜日、安部元総理が銃撃されるという事件が起こった。
なんとも複雑な気分だった。彼には私たちの声は届いていただろうか。
衆議院選挙で所謂自民党の大勝利の後、
皮肉なことに、彼の死の真相を皮切りとして神道政治連盟のみならず、
政治と宗教、組織票について実態が露呈し始めた。
私は、保守派といえど、一国の首相を長きに努めた彼にだからこそ、私たちの存在を明確に認めてほしかった部分もあるのかもしれない。
私たちは日々、心の銃撃を受けながら今日も生きている。
ささやかながらに願う。
子どもたちが希望を持てる社会であるための政治であってほしいと。
LGBTユースカウンセラー・コラムニスト
本多 まさ
<出典>
神道政治連盟 https://www.sinseiren.org/
一般社団法人fair 松岡宗嗣 “「同性愛は依存症」「LGBTの自殺は本人のせい」自民党議連で配布 “ Yahoo!ニュース 2022年6月29日https://news.yahoo.co.jp/byline/matsuokasoshi/20220629-00303189
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