ペダルの踏み間違いは様々な要因から?
体は感覚を感じ取れることによって動作が生まれます。もちろん足も同様です。しかし高齢者の足は自身が気付かないまま衰えてしまいます。
衰えた足の感覚は認知症との相関性が高く驚くほど早い高齢者の足感覚の衰えについて前回お話しさせて頂きました。
足は日常から常に何千回と使っているのですが感覚の衰えを自覚しにくい部分であることも確かです。
以上のことを前回お話しさせて頂きました。今回は自動車の機能側から考えてみたいと思います。
自動車運転の基本ドライビングポジション
自動車を運転することでとても大切なドライビングポジション、まずはきちんと座れているのか?背もたれやペダルとの距離は適切か?といったものが求められます。このところ駐車場などで高齢者が運転している座席をなるべく見る様にしているのですが、これで本当に大丈夫??といった着座姿勢で座っている方を多く見受けられます。
そもそも正しく座る概念を忘れていることもありますが、しっかりと座れなくなっていることの方が目立っている様な気がします。着座姿勢は非常に大切で姿勢によってペダル操作やハンドル操作に大きく影響を与えてしまうわけです。今回は踏み間違えの件も踏まえペダル操作との関係について小生の私見をお話しさせて頂きます。
ペダル方式には2つある
自動車のペダルには吊り下げ式(左)とオルガン式(右)があることを運転をなさる方はご存知であると思います。
吊り下げ式ペダル
国産車の多くはこの方式を採用しています。
残念ながら吊り下げ式のペダルでは踏み込んだ時、足の軌跡とペダルの軌跡が一致していないため多少踵をずらしつま先で微妙な調整を行いながら踏んでいるため、長時間運転していると足全体が前にズレてしまい、その結果ブレーキとの段差が多くなってしまうことを小生は経験しております。つまり安定安心といった感覚があまり得ることはできない感じがあります。またペダルレイアウト に不自然さがある場合その不安感は高齢者ではより一層強くなるわけです。個人的には好きなペダル式ではありません
オルガン式ペダル
国産車では少数派のオルガン式ペダル
私は大好物な方式で何がいいかといったら ともかく踏んだペダルと足の軌跡が一致している気持ちよさ 足裏全体で押す感覚とフロアーからついているしっかりした剛性感が好みで 吊り下げ式比べ安心感が格段い違います。基本的に踵の位置は動きませんのでスムーズにペダルの踏みかえが可能になります。
パニック時に特に有効で足の感覚が衰えている高齢者には安定安心感は大切な要素ですからパニック回避の要素からしてもこちらのペダル方式の方が踏み間違いは起こりにくいのではないか?と感じている次第です。
ペダルは方式だけでなくレイアウトも大切
どんなに良いペダルであってもペダルの位置(レイアウト)がしっくりこないと無理な着座姿勢でペダルを踏みつずけなければなりません。
国産車の多くは全てではありませんがやや左寄りにペダルレーアウトがあり、その理由として右ハンドルでは右前輪の構造上どうしても足元の右側が狭くなりその結果左寄りレイアウト、吊り下げ式ペダルが多数を占める結果になっていると考えています。コスト面など事情を考えると理解はできるのですが
感覚が鈍ってきている高齢者にとっては自然に足を出した時に踏めない状態が長時間続くことは、衰えた足をより感覚を失いなわせる大きな要因になり。 自分の足であるにも関わらず、自分の意思通り動けなくなるといったことが起こります。
特に感覚が鈍ってきている高齢者にとって自身の安定が把握できないことは短時間であっても大きな問題を抱えていることを理解してほしいと感じています。
実は踏み間違いは若年層にも多い
ある国産メーカは実はペダル踏み間違え高齢者だけではなく若年層にも多く見られることからアクセルペダルを吊り下げ式からオルガン式に変更したところ、ペダル踏み間違い死傷事故の発生件数は、なんと86%も減少したことを公表しています。
この様な報告を見ると足に自然なレイアウトでオルガン式で踵を支点に踏むのが一番理想的で、その考えから作り出す座席が一番ドライビングポジションがフィットするであろうことを想像します。どんなにアシストシステムを搭載しても 踏み間違えの問題は自動車の構造そのものと人間機能のインターフェイスから考えなくてはならないことであると小生は感じています。