システム開発の見積もりが高い理由
システム開発の見積もりを依頼し、ようやく手に入った見積書。
しかし、見積書を手にして多くのユーザーが思うこと。
『見積もり金額が高い』
なぜシステム開発の見積もりは高いのでしょうか?
私はIT業界経験20年以上、システム開発会社の代表をしています。
大手から中小企業に至るまで数多くのシステム開発の見積をしてきました。
※注
ここではシステムをゼロから要望に合わせて開発する、いわゆるスクラッチ開発を前提としてお話しします。
見積もり金額が高い理由は4つ考えられます。
1.依頼会社を間違えている
あなたは依頼会社を間違えている可能性があります。
システム開発会社には、会社規模によっておよそ扱う開発案件の規模が決まっています。
こんな事例がありました。
私の知り合い(Aさん)が、ある上場企業のシステム開発会社に複数案件を依頼していました。Aさんがどんな小規模なシステムを依頼しても、いつも一千万円以上の見積もりが出されるとのこと。不思議に思ったAさんが私に相談してきました。内容を聞くと、高くても400万円はかからない。そのことをAさんが依頼会社に話したところ、相手の担当者が『うちは一千万円以下は受注しないのですよ』とのこと。
開発規模が依頼会社と合わなかった一例です。
これは大袈裟な事例ではありますが似たようなことはよく聞きます。
案件規模に合った開発会社に依頼しないとこのような事態も起こりかねません。
また、システム開発会社には得意とする技術分野があります。
WEBアプリ開発、携帯系アプリ、インフラなど。
開発手法やフレームワークなど得意分野も異なります。
あなたが依頼するシステムと開発会社の得意とする技術分野の親和性が悪ければ、見積金額は高めになることがあります。
2.依頼会社が悪い
見積りが高いのはシステム開発会社に問題がある場合があります。
いくつかのケースが考えられます。
2.1. 必要な業務知識がないのに受注しようとする
ある業務に特化したシステムの場合、その業務の専門的な知識が必要です。
どの業界にも業界標準というものがあり、システム化の際にはそのあたりを当然に実現する必要があります。業界用語も多様です。業務知識がなければ、システム範囲についても見誤る恐れがあります。
業務知識が必要なシステム開発に、システム開発会社の反応は二つ。
①業務知識がないために必須機能を見落とし、結果見積りが極端に安い
②業務知識がないために余分に見積り、結果見積りが極端に高い
いずれにしろ、このシステム開発はうまくいかないでしょう。
2.2. 足元を見ている
言い方は悪いのですが、足元を見られている可能性があります。
システム開発会社の依頼先が一社しかなく、競争原理が働かない場合など、このケースに当てはまります。
見積りは複数社に提出するのが良いのですが、その分、依頼側に手間がかかります。提案内容を全て検討し判断する工数が必要です。営業担当者との相性だけで決めてはいけません。
規模がある程度大きければ開発会社を複数社に依頼してもよいと思います。しかし規模が小さければ対応してくれない可能性もあります。また開発依頼先を複数にするとマネージメント負荷やインターフェースの設計考慮などが必要となります。
状況を鑑みて対応していく必要があります。
2.3. 開発会社が受注したくない
ある理由により開発会社が受注したくないため、見積り金額を大きく上回る金額を提出しわざと失注する。
受注したくない理由は様々考えられます。
技術者が足りない、別の案件に注力したい、顧客として付き合いたくない、リスクが大きいことが予想される、など。
何れも依頼先会社の都合です。
そうとは知らず、高値で発注すると損をしてしまいます。
3.依頼の仕方が悪い
依頼の仕方が悪いため、見積り金額が高くなるケースがあります。
システム開発会社の営業担当者や見積りするエンジニアは、多くの見積りやシステム開発の経験を有しています。
トラブルになるケースも多く経験していて、そういう案件は回避したい。
例えば、システム範囲が不明確であったり、納期がタイトだったりするのはトラブルの元。高い見積金額を提示され半ば辞退されるでしょう。
また、開発依頼に不要な機能を盛り込んでいる可能性もあります。
例えば、スーツを買いたいのに、シャツも買っちゃえ、のようなノリで、システム機能を盛り込んだ場合など、当然に開発費は高くなります。
予算を考えると、適切な機能量を依頼する必要があります。
また、ユーザーにはあまり開発工数が変わらないように思えても、システム開発工数は大きく異なることもしばしばあります。例えば、無料APIが利用できて、難しそうな機能でも工数が少ないなどのケースもあります。
正しい開発依頼をするためには、RFP(提案依頼書)を整備して開発会社にシステム内容を明確に理解してもらう必要があります。
RFPを正しく記載するにはIT経験者が必要です。
社内に情報システム部がある。または、システム開発に詳しい人が社内にいる場合は担当させましょう。該当者がおらず、システム開発規模がある程度大きい場合は、RFPを作成できる会社に依頼してみるのもよい方法です。
4.高くない(妥当である)
提示された見積金額は本当に高いのでしょうか?
何と比較して高いと感じているのでしょうか?
予算でしょうか。過去の実績でしょうか。
実はその見積額は妥当な金額なのかもしれません。
プログラムは目に見えないため、システム開発の工数もあまり高くないように思われることもあります。
世の中には便利なサービスが無料で提供されています。
(GoogleMAP、LINEなど)
しかしその開発費は膨大です。
無料で提供されるにはわけがあり、元がとれるようなビジネススキームになっています。(広告料で稼ぐ。個人は無料だが法人は有料など)
無料で提供されているからと言ってシステム開発費が安いわけではありません。
求められる品質や性能にもよります。
個人用のECサイトであれば高い性能は求められないでしょう。ツールで作れば簡単に早く作成できます。しかし有名サイトであれば処理性能や高い品質が求められます。ECサイト構築をとってみても、数万円から数十億円までの開発費の違いがあります。
ローコードなど、短納期、低コストでシステムが開発できると言われています。ただ、そこにはツールの仕様や限界があり、すべてのシステムがローコードで構築できるわけではない。
最近は技術者不足で技術者の単価も高騰。
コストが高くつけば、必然開発費用も高くなる。
複数見積もりを取った中で高い金額を提示した会社が、システムを熟知し先を見越したよい提案をしている可能性もある。
その見積金額は妥当なのかもしれません。
ではどうすれば良いか
見積り金額が高いと思った場合、どのように対応すればよいのでしょうか?
解決策をあげます。
・自分の予算に合ったシステム開発会社を選ぶ
・信頼できそうなシステム開発会社を選ぶ
・複数会社に見積もり依頼をする
・自社に技術者がいるのであれば見積りを検討させる
・自社に技術者がいない場合は専門家に依頼する
解決策の詳細については、別の記事で投稿します。
そちらもご覧ください。
ご参考に
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