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40代オッさん「中年の危機」の正体と乗り越え方を見つけた

(2022年4月追記)
本記事でご紹介した「中年の危機の乗り越え方」は、その後のワークショップを経てさらにブラッシュアップし、「ライフビジョンのつくり方」としてまとめ直しました。実際に手を動かして「乗り越え」たい方は、以下リンク先の記事もあわせてご覧いただければと思います。

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(2021年3月31日追記)
本記事の最後に触れた「私自身のありたい姿、自分なりの生き方」については、以下の記事に書きました。よろしければぜひご覧ください。

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(2021年2月12日追記)
noteに加え、TwitterやFacebookでも、たくさんの反応をいただきました。
ですが、おそらく多くの方は(かつての私がそうだったように)やはり「日々の忙しさ」に流れてしまうと思うのです。

そこで、記事中でご紹介したステップのいくつかを、実際に手を動かしながら考える機会を作りました。みんなで集まり、時間を確保することで、やろうと思ったけど先延ばし……になるのを防げれば、と思っています。

詳しくは、こちらのご案内をご覧ください(終了しました)

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「中年の危機」とは

中年の危機、ミッドライフ・クライシス、ミッドエイジ・クライシス......
さまざまな呼び名があるが、40~50代くらいのオッさんが直面する心理的な危機とされている。

Wikipediaの説明はいまひとつピンと来ないのだが、いろいろ見た中で、私にとって一番しっくり来た説明は、これだ。

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男性の「中年の危機」
男性は、20~30代にかけては仕事に打ち込む人が多く、仕事を頑張ってきた人が40代になって、「ある程度の思い描いていたものを手に入れてしまっている」状態がしばしば見受けられます。

しかし、欲しかったものというのは、手に入れてしまったら意外と喜びが続かないものです。

あれほど手に入れたかったのに、実際は思っていたほどの幸福感が得られず、それどころか体力や記憶力の衰えを感じて、「失うもの」を意識する時期になります。

自分自身の限界が見えてしまったり、頑張っても大した成長ができないと実感したりして、「この先どうしていいか分からない」と焦燥感を覚えはじめます。
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https://www.uraraka-soudan.com/column/92 から引用。改行は筆者)


私自身、まさにこういった感覚に陥っていた。

ある程度「思い描いていたものを手に入れてしまっている状態」な一方で、「体力や記憶力の衰えを感じ」てもいた。


選択する必要がなかった主流派

主流派 ― 主流・主軸となる一群を指す言葉。主軸派と同義。メインストリーム。

いわゆる主流派に属している人は、世間(マスメディアと言い換えても良い)が喧伝する「流れ」に乗っていれば、特に問題なかった。

極端な言い方をすれば、人生を自分で設計する必要がなかった。

例えば、文系大卒男子。業界によって差はあれど、これまでの日本のビジネスシーンで、わかりやすい「主流派」と言えば、文系大卒男子だろう。そして文系大卒男子が就職するような日本の大企業では、上司や人事部があなたのキャリアを考えてくれる。

『あいつはXXが長いから、そろそろYYな経験を積ませた方がいいんじゃないか』などと言って、異動させる。

つまり、自分で選択しなくても、勝手に道を進むことができるわけだ。そうして、自分の志向と向き合う経験を、他人がつくってくれる。本人なりに苦労しているつもりでも、実は「選択」という本当の苦労をしないまま、キャリアと年齢を重ねてしまう。

これは大きな落とし穴になる。こんなキャリアの作り方は世界から見たら、ただの異常値。

自分のキャリアを真剣に考えてくれる人は、自分しかいない。会社(そもそも人間ですらない)や上司が、あなたのキャリアの責任を取ってくれるはずがない。

こう考えて、自分の人生を設計するのが世界の常識だ。

2019年4月 経団連の中西会長が「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」と発言すると、翌5月には トヨタ自動車の豊田章男社長も「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」という趣旨の発言をして、にわかに話題になった。

それに先立つ2019年1月には、厚生労働者が提示してきたモデル就業規則が改定され、「労働者は、勤務時間外において他の会社等業従事することができる」と変更された。つまり、デフォルトが「副業・兼業OK」になったわけだ。

これらの動きに対して、インターネット上では「知ってた」「ようやく」という反応が多かったが、実は本気で向き合ってこなかった(向き合う必要がなかった)主流派ほど、戸惑っている。

これが、今のアラフォーから団塊ジュニア世代の実情じゃないだろうか。

本当に40代になるまで考えてこなかったのであれば、たしかに危機感が欠如していたと指摘されても仕方がない。なにせ、終身雇用が終わるとか、年金の支払い時期が定年よりも遅くなるので、定年後も働く必要がある、なんて話は、私が20代のころ(20~25年ほど前)から、さんざん指摘されてきたことだ。

けれども、「中年の危機」と「時代の転換点」が同時に襲ってくると、けっこうツラいのも事実。

これまでの「中年の危機」が、

会社(≒終身雇用社会)の枠組みの中で先が見えてきて、体力的にも無理が効かなくなってきたけれど、多様な役割を担わなければならない年代として、人生のピークを過ぎたことへの戸惑い、あるいはひとつの役割を終えたことの寂しさ

だったとすると、現代の40代にとっての「中年の危機」は、これに加えて、

会社という枠すら取り払い、働き方も含めた「これからの生き方」をゼロから自分で考え、選択しないといけないというツラさであり、答えが見つからないモヤモヤ感

と、複雑さ、難しさが増しているのだと思う。

選択するって、何を?どのように? 急に生き方を問われても、そもそも自分て何者だっけ?

レールに乗っていればOKだった主流派は、こういったことに無自覚でも良かった。それが突然、40代にして「考えよ」と言われても、戸惑うのは当然だ。

コラム:女性は、同じ経験を早い段階で経験済み
これに対して、一般的には女性の方が、人生の選択、どう生きるかの選択を迫られるタイミングが早く、早ければ就職活動のタイミングで、遅くともアラサー(30歳前後)時期に、自分と向き合う経験をしている。というか、たいてい複数回そういった経験を繰り返しているものだ。

女性だけでなく、自分が生きている環境のなかで「非主流派」な人ほど、自分の生き方を考える機会が強制的に発生する(例えば、病気を持つ人、障がいを持つ人、家庭に事情があり一般的な働き方ができない人など)。
そういった人ほど、自分の生き方と向き合い、それを見出している人が多いのは、決して偶然ではないと思う。

(こちらの記事も参考にどうぞ)


「中年の危機」の本当の正体

働き方も含めた「これからの生き方」を考えるというのは、つまり自分の「志向」ー 自分の心がどっちに向かっているか ー を考えることだ。

そして、ここでハタと気づき、悩むことになる。

自分のキャリアの棚卸しはできる。時間はかかるけど、事実を振り返ればよい。でも、自分の心がどっちに向かっているかが、さっぱりわからない。

いわゆる「やりたいことがわからない」というやつだ。

就活中の大学生や社会人2~3年目の20代ならいざ知らず、まさか40過ぎて、こんな悩みに直面するとは......と苦笑いしながら、ぼんやりと検索窓に「40代 キャリア」とか入力してしまう。

選択経験は少ないが、検索経験は豊富だ。だから、つい外の世界に答えを探しに行きがちだが、「自分なりの生き方」が検索で見つかるわけはない。自分の中から掘り起こすしかないのだ。

ところがどっこい、これが全然うまくいかない。あれれ?と思うほど、自分の内面がうまく見えてこない。

この理由は、佐宗邦威さんが『直感と論理をつなぐ思考法』の「はじめに」で、鮮やかに描いている。

「他人モード」にハイジャックされた脳
ふつうに生きていると、僕たちの脳はずっと「他人モード」になっており、「自分がどう感じるか」よりも「どうすれば他人が満足するか」ばかりを考えている。

膨大な業務に忙殺されている人、部下のマネジメント責任がある人、顧客の対応に追われる人、家事・育児・介護を抱える人……大きなネットワークのなかで生きる僕らの日々は「他人モード」で占められている。何気ないソーシャルメディアの投稿をする時ですら、「どうすればフォロワーたちを喜ばせ、『いいね!』を押してもらえるか」をつい考えている。

逆に、日常のなかで「自分モード」と呼べる時間は、かなり少ないのではないかと思う。

「自分モード」のスイッチを切ったまま日々を過ごしていると、僕たちは「何がしたいのか」を思い出せなくなる。「君はどう思う?」と意見を求められても、そもそも「自分がどう思うのか」すら、よくわからなくなる。

そういう人からは何か新しいことを発想したり、粘り強く考えたりする力が失われる。

それだけならまだいいが、何かにワクワクしたり感動したり幸せを感じたりする力も、だんだん鈍っていく。

これにはドキッとさせられた。

中年ともなれば、さまざまな役割を担わないといけない。夫、父親、管理職、XX年目、長男、兄、…… こういった役割を求められまくるうちに、気がつけば自分の行動だけでなく、思考すらも縛られてしまう。常に「他人モード」で考え、「自分モード」で考えられなくなってしまう。

これがまさに自分にとっての「中年の危機」の本当の正体じゃないか、と思った。


同様のメッセージは、『昼スナックママが教える 45歳からの「やりたくないこと」をやめる勇気』(木下 紫乃 著)でも説かれている(本書のメインターゲットは女性だが、以下は男性に向けられたボーナスセッションから抜粋)。

男っていうだけで「40年も働き続けなければいけない」が当然になっているのはキツイですよね。
(中略)
だから一度、「働かない」っていう選択肢まで含めて考えたら、なぜ自分はこの仕事をするのかはっきりするんじゃないかと思うんです。
(中略)
やっぱり子どももいるし、働かなきゃと。
(中略)
責任を果たすまでは今の会社で耐え忍ばなければいけないのかなって思っています。
(中略)
女性のほうが収入は不安定でも一定の自由はある。一方で男性は収入の安定はあるけど不自由ですよね。
(中略)
今の日本社会はまだまだ男性のほうが相対的に稼げるから、男性が働けば家計は安定する。
(中略)
社会構造的に男性が家計を担う役割分担をせざるを得ない。
(中略)
昔は40代でひとかどの人物になっていたはずなのに。時代は変わってしまったんです。それにもかかわらず、男の子にはいまだに「大きな夢を語らされる問題」というのがあります。
(中略)
「男だから○○しろ」的なあおりは、最近の「女性活躍」の流れと似てる気がする。とにかく「女だから活躍しろー!」っていう雑なくくり。(中略)今までの男性に対するあおり、「男なんだからでっかい夢を」とかと同じような乱暴さでプレッシャーをかけてくる。
女性たちはその雑さに辟易して心の中では「クソ食らえ」としたたかに思っていますけど、企業の中にいるとその波を受けざるを得ない場面も多い。

私にはグサグサ刺さったのだが、皆さんどうだろう?

実際、私自身、男だからとか、役員・管理職だからとか、○○をやってきたビジネスパーソンだから、といった発想に囚われていたことに気づいた(気づくための方法は後ほど紹介)。


自分の人生・未来は、「構想」するしかない

「自分なりの生き方」は、論理的に導けるものではない。むしろ、論理的に導かない方がいい。
優れた会社やチームでは、「論理的に導き出された戦略」や「データ分析に基づくマーケティング」ではなく、強い「ビジョン」が原動力になっているのと同じで、自分なりの「これがやりたい」を見つけるのが大事だ。

先ほど紹介した『直感と論理をつなぐ思考法』では、企業だけでなく、個人においてもそれが大事であること、そのためには、直感を取り戻すことが大事であることを、これでもかと教えてくれる。
また、『ニュータイプの時代』(山口 周 著)でも同様の主張が展開されている。

これだけVUCAな世界になってなお、他人に将来を予測してもらって受験勉強よろしく「傾向と対策」を考えようなどというのは、まさに浅知恵と言うべき典型的なオールドタイプのパラダイムと言えます。
(中略)
であれば本当に考えなければいけないのは、「未来はどうなるのか?」という問題ではなく「未来をどうしたいのか?」という問題であるべきでしょう。
20世紀後半に活躍した芸術家のヨーゼフ・ボイスは「社会彫刻」という概念を提唱し、あらゆる人々は、自分の美的感性と創造性をもって世界の形成に寄与するアーティストであるべきだと主張しました。
(中略)
繰り返しましょう。現在のように複雑で不透明なVUCAな世界にあって、予測の上に自分の身の振り方を考えようなどというのはオールドタイプのパラダイムでしかありません。ニュータイプは未来を構想し、こうしたい未来の実現のために意見を口にし、行動を起こすのです。
(中略)
「世の中をこう変えたい」「こういうものを作りたい」という主体的な「思い」や「意味」を構想するということを長らくしてこなかったオールドタイプは「自分はどうしたいのか?」「何を作りたいのか?」という問い、さらに指摘すれば「私は何のために生きているのか?」という哲学的な問いについて考える脳の機能が委縮・退化してしまっているのです。

このようなオールドタイプは今後、厳しい戦いを強いられることになるでしょう。


マジか、これは困った……
と思ったオッさんな読者のあなたに、おススメの方法があるんです!
(突然のテレビショッピング感)


「中年の危機」を乗り越えるための具体的方法

私自身が「中年の危機」を乗り越えるためにやってきたことを、あらためて整理すると以下のようなステップになる。

なお、以下は私自身が取り組んだ方法ですが、多くの方にご紹介し実行していただくなかでブラッシュアップされ、アップデート版ができました。別記事にまとめておりますので、文末のリンクからご確認ください。

ステップ1. 自分の感情を認識する

直感と論理をつなぐ思考法』では感情ジャーナリングという手法が紹介されている。客観的な事実ではなく、あくまでも主観的な感覚・感情にフォーカスする。

そこで、自分がいやだと思ったことなどのマイナス感情も書くのだ。
やりたいことはすぐにはわからないが、イヤなこと、嫌いなこと、やりたくないことは、割りと自覚しやすい。

先の紫乃ママも同じようなことを言っている。

40代、50代になって、「やりたくない」「得意じゃない」と既に分かり切っていることを、それでもなお続けてたりしない?しかも惰性で。年齢を重ねるほど、そういう惰性で続けていることの数がふえているんじゃないかなって思うのよね。
今、私たち世代に必要なのは、まず「やりたくないことをやめる勇気」なんだと思う。やりたいことを始める前にね。
(中略)
やりたくないことをやめるコツ?それはね、案外単純。自分の皮膚感覚を信じて生理的に嫌なことから切っていく。私たち世代になるとさ、「直感」って実はこれまでの経験や理論に基づいているものなのよ。
(中略)
一度振り返って、「自分が機嫌よく人生を送ることを脅かしている、生理的に嫌なことはなんだろう」って考えてみてよ。

さらには、『人生で一番大切になのに誰も教えてくれない 幸せになる技術』(上阪 徹 著)でも、同様の手法が紹介されている。

誰かに見せることを前提に、自分の体験や感想を書くのではなく、自分の本当の気持ちを吐露できるような機会を持つ。苦しい思いや辛い思い、不安や悩みについて思い切って書き綴ってみる。

例えば、私のノートにはこんなことが書かれていった。

あの会議でのあの体験が嫌だった。
今日はストレスを感じることが多かった。
本当は○○が気になったけど、忖度して指摘できなかった。

もちろん、アウトプットが出せて気持ち良かったとか、誰々からのフィードバックが嬉しかったとか、ポジティブな感情も書いていった。

佐宗さんや山口さんも指摘しているとおり、最初はけっこう大変。自分の感情を知覚する「筋肉」「脳」が鈍っているから。
だが、この「自分の感情」と向き合わないことには、この先のステップに進んでも、上辺だけのモノ、他人の視線を気にしたモノになってしまう。

感情ジャーナリングをしばらく続けることで、自分がどんなときに喜びを感じるのか、どんなときにストレスを感じるのか、だんだん自覚できるようになるので、自分の感情や感覚を取り戻してほしい。


ステップ2. 自分の年表をつくって、当時の感情を思い出す

この作業は、何を参考にしたのか忘れてしまったのだが、以下のような項目で、つらつらとこれまでの自分を振り返る。

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この作業のポイントは2つ。

① 感情・感想を書く。
ここでもやりたいことは、一番右の「感想」に、楽しかったとか、嫌だったとか、意外とハマったとか、すぐに飽きたとか、そういったことを書き出していくこと。
就活や転職のための自己分析ではないので、年齢や経歴をきっちり書く必要はない。これらは思い出すためのトリガーとして使うだけだ。

当時の自分が何を考えていたのか、どんなことに刺激を受けていたのか、何を大事にしていたのか。さらには、どんなことに憤りや怒りを感じていたのか。そんなことも思い出せると良い。憤りや怒りは行動の源になっていることが多い。

② 未来のことを書く。
この作業の肝がコレ。
この年表には、過去だけでなく、未来のことも書いていくのだ。
何歳で、何をしたいのか。そのときに、どんな感情を持っていたいのか。

未来のことを書くとき、どうしても過去の延長で考えてしまいがちだが、その必要はない。この作業は自分の未来を「構想」するためなのだから。

そこで、40過ぎたオッサンでも、これまでと違う道に向かって踏み出していいんだよ、と励ましてくれる記事を紹介しよう。

 ハーバード大学の心理学者、ダニエル・ギルバード博士はTEDトーク「未来の自分に対する心理」で、我々のほぼ全員が持っているバイアスについて説明している。今日の自分は、この先もいまのまま変わらないと考える傾向が我々にはあるというのだ。
 いまの自分は10年前の自分と同じかと聞かれると、ほとんどの人が違うと答える。だが一方で、将来自分が変わる可能性については、なかなか考えられない。
(中略)
 人のパーソナリティやスキル、好き嫌いは時間が経過するにつれて変化する。その変化を意識しているかどうかは関係ない。
(中略)
 人は過去の自分と同じではない。何かをする際にも、昔のやり方をいまも続けているわけではない。以前ならばほしいと思っていたものでも、いまはもうほしくない。
 みずからにレッテルを貼り、いまの自分が何者なのかにこだわるのではなく、自分がどれほど成長して、過去の自分からどれだけ変わったかを認識しよう。


正直、なかなか書けないのだが、
『さすがに○○歳では、こんな風に生きていたいなー』
そんなことが思い浮かぶようになっていれば上出来だ。

ちなみに、私は手書きでA3の紙に書きなぐっていった。

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ステップ3. やりたいことを頭の奥から掘り起こす

自分の感情をうまく知覚できるようになり、なんとなく将来のありたい姿がぼんやりとでも思い浮かんできたら、「自分が本当にやりたいこと」を引き出しやすくなっているはず。

それを引き出すのに、『直感と論理をつなぐ思考法』で紹介されている欲望ジャーナリング、妄想ジャーナリングという手法はおススメ。

欲望ジャーナリング ー 「○○してみたい」「○○になりたい」など、自分の欲望に目を向けて、それを言葉として吐き出す

妄想ジャーナリング ー 「もし1ヶ月に1000億円使えるとしたら……」などの架空の設定を入れて、そこから妄想を膨らませる

Twitterで何度か触れた「今年やるべき100のリスト(100 Dreams)」や、デビッド・アレンのGetting Things Done(全面改訂版が出てる!)、ブレインダンプ、ブレイン・ワークアウトなんかもすべて同じ発想だ。


とにかく、頭の中の気になってること、実はやってみたかったこと、あこがれていること……そういったものを全部、書き出してみる。全部。

しっかり時間を取った方がいい。最低でも1時間、なんなら2−3時間取ってもいい。誰かと一緒にやるのもおススメだ。

ここで、ちょっと注意事項。
実際、私自身もこれを毎年やっているのだが、やるべき100のリスト(100 Dreams)を作っているはずが、いつの間にか「やりたいこと(Dreams)」よりも、「日々気になってた細かなことリスト(To-do List)」に成り代わっていく、ということがよく起きる。
これはこれで価値あることで、「頭の片隅でずっと気になってること」は、脳のパワーをすり減らしていくので、文字にして、片づけていけるのは良い。
しかし、そういった些事を洗い出していっても、「自分なりの生き方」は見えてこない。

そこで、こんな妄想クエスチョンをトリガーにして、自分のやりたいことを頭の奥から掘り出そう。

「子ども時代の夢は何でしたか?」
「青春時代、何/誰にあこがれていましたか?
「もし3年間自由な時間ができたら、何をしたいですか?」
「もし100億円の投資を得られるとしたら、何をしたいですか?」

ちょっとワクワクしてきた?
人に見られたら恥ずかしいこと、ヤバいことも、ガンガン書き出そう。

ステップ4. ビジョンに向かって、行動をブラッシュアップする

やりたいことが100個出てきたら、それを日々の行動に落とし込むのが大事で、そのあたりの手法はオッさんならいくらでも知っていると思う。

MoleskineノートでもEvernoteでもOneNoteでもiCloudメモでもNotionでもAsanaでもいいので、さっきのリストは常に手元に置いておく。そして、できるかぎり頻度高く確認する。これは基本。

そのうえで、私が実際やってみた体験を踏まえた注意点を挙げておきたい。

まず、本当に「自分のありたい姿」に向けた具体的な行動を考えることが、そもそも難しい。だから、やりたいことリストが、やるべきことリストになりがちだ。
なにせ日々忙しいのだ。やることはいくらでもある。だからリストはできている。だが、リストをこなしていっても「自分なりの生き方」に近づかない。

そこで対策として、リストの一番上に「ビジョン」を書いておくことをおススメしたい。
ビジョン(自分のありたい姿)は、どんな形式でも良いが、先ほどまでの作業で出てきた「こんな風に生きていたい」というスタイルを書くと、自分のなかでイメージが湧きやすくて良いと思う。

そして、毎日「ビジョン」を見てから、「やるべきことリスト」を確認するのだ。すると、自然と「ビジョンに向かうような行動が書いてないな」と気づきやすいし、「あれを追加しておこう」「むしろこれを優先しよう」というアイデアも出てきやすい。
少なくとも私はそうだった。

こうして「やるべきことリスト」をブラッシュアップしていく。これによって、日々の行動がビジョンに向かっていくよう軌道修正されていくわけだ。


未来の自分を構想し、幸せは自分で決める

「幸せは自分で決める」
3,000人以上に取材した上阪 徹さんが、『人生で一番大切になのに誰も教えてくれない 幸せになる技術』の「はじめに」で、ズバリと結論を書いてくれている。

当たり前だが、「あなたは幸せです」と誰かが宣告してくれるわけではない。「あ、これは自分は幸せだぞ」と自分で決めないと、永遠に幸せにはなれないのである。幸せは、空から降ってくるわけではない。
ところが、多くの人が、誰かが作った「青い鳥のようなもの」を追いかけ、待ち続けている。これでは永遠に幸せになれない。

いや、ホントそのとおり。

なんというか、世の先人たちはホントにみんな、同じような真理にたどり着くのだなと思う。

これって、『7つの習慣』で言われている
第1の習慣:主体的である
第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
とまったく同じじゃないか。


ずいぶん長くなってしまったので、まとめよう。

ここまでの作業によって、
・自分の感情を知覚できる感覚
・人には絶対に見せられないようなことも書いてあるやりたいことリスト
・自分のありたい姿、ビジョン
ができ上がるはずだ。

そして、
・毎日、ビジョンを確認する
・やりたいこと、やるべきことリストを実行する
というサイクルを回す準備もできている。

 我々は常に、何かに変わろうとする過程にある。したがって、あなたが望む未来の自分にふさわしい行動をいまするとよい。過去の自分にふさわしい行動をするのではない。

 過去の自分ではなく、未来の自分にふさわしい行動をしよう。

『未来の自分を決めるのは、自分自身である』


明けない夜はない
私自身、ここ数年「中年の危機」と闘ってきた。何度もモヤモヤ感にぶつかり、悶々としてきた。
1年前の年始にも、それっぽいことをやってみて、何とかなるかなと思ったが、実はダメだった(いま読み返すと、自分でも整理できていないことがよくわかる)。

だが、時間をかけてこの記事で書いたことをやってきて、ようやく見えてきた気がする。
今はこのサイクルを習慣化していけば、「ありたい姿に向かっていく、自分なりの生き方」ができそうだな、という感触を持っている。

私自身のありたい姿や自分なりの生き方については、また機会が来たら書いてみたい。


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(追記)このnoteがきっかけで、雑誌の取材を受けました。世の中、何が起こるかわかりませんね(笑)

夫婦関係コンサルタントと精神科医の上に載るワタクシ(なぜ)


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萩原 雅裕|Prodotto代表
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