ジェネラリストな私を形づくった10冊(社会人10年目までに読んでおいて良かった本たち)
先日、自社のPR記事で自宅の本棚が晒されるという恥ずかしい事態に遭遇した。恥ずかしすぎて、シェアを控えたほどだ。本棚を見られるって、なんであんなに恥ずかしいんだろう。
人に見られるのはイヤだが、自分の本棚を見るのは好きだ。在宅勤務が増えたことで、本棚を見返す機会も増え、自分に強く影響を与えた本や、若いときにバイブルにしていたような本を手に取るのが楽しい。つい仕事をサボりたくなる。
取り立てて専門といえる分野のない、ジェネラリストとしてのキャリアを歩んできた。スペシャリストの時代、専門性の時代と言われ続けて早ン10年、ジェネラリストとして生きていくのは正直なかなかツラい。
これまでどうにかやってきて、40歳を過ぎて、最高におもしろい!と思える仕事を見つけられたのは、社会人10年目までにビジネスパーソンとしての基礎力をつけることができたおかげだと思っている。
そこで、ビジネスパーソンとしての基礎力を高めたい!という若い人たちの参考になればと思い、私が社会人10年目までに読んでおいて良かったと思う本をご紹介してみたい。
思考力、問題解決力、意思決定
『問題解決プロフェッショナル - 思考と技術』 斎藤嘉則
ほとんどの仕事は「問題解決」なので、プロのビジネスパーソンを目指すなら、ぜひ手に取って欲しい一冊。課題の整理(構造化)から解決策の立案まで、ケースも交えて網羅されている。
もっと良いアプローチが世の中にあるんじゃないかと思う若手の学習ニーズから、なんとなく自己流でやってきたなーと思う中堅の振り返りニーズまで、幅広く受け止めてくれるはず。
冒頭に出てくるこの絵でいきなり唸らされる。
ちゃんと身についたのかと問われると今も自信はないが、間違いなく、私の基礎を作った一冊。名著『イシューからはじめよ』よりも取っつきやすいと思う、たぶん。
(なお私は40代のオッサンなので、当時は『イシューからはじめよ』はまだ存在していなかった)
『考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則』 バーバラ・ミント
箇条書きでまとめてと言われ、まとめたのによくダメだしされる人はこれを読めばその理由がわかる。
結局こういうこと?と確認されがちな人もこれを読めば理由がわかる。
メールのやり取りで、やけに往復が増えがちな人もこれを読めば理由がわかる。
Amazonレビューでは翻訳が読みにくいとか、いろいろ言われてるけど、考える・書くという仕事の基礎力が間違いなく上がるので、ぜひ読んでほしい。特に「第6章 ロジックの順序に従う」と「第7章 グループ内の考えを要約する」は必読。
こんな書き方したら変じゃね?と思うかもしれないが、グローバルコンサルティングファームでは、まんま実践されている。そのことの意味を考えよう。
(なお私は40代のオッサンなので、当時は名著『ロジカル・シンキング』はまだ出版されていなかった)
『意思決定のための分析の技術』 後 正武
昨今、分析というと、とかくSQLとかRとか技術的な話に行きがちだが、そもそも分析とは何を考えることなのかという基礎を学べる。
「大きさを考える」「分けて考える」「比較して考える」「変化/時系列を考える」「バラツキを考える」「プロセスを考える」「ツリーで考える」という基本的な技術から、分析とは意思決定するためにするものである、という本質まで学べてしまうお得な一冊。
それにしても、タイトルがイケてると思う。
経営、リーダーシップ
『グロービスMBAマネジメント・ブック』
ド定番。全体像を把握したいというジェネラリストなあなたにも、自分の専門分野以外についてザーッと理解したいというスペシャリストなあなたにも役立つこと間違いなし。
『V字回復の経営』 三枝 匡
経営するって、どういう感じなんだろう?
戦略を立てるって、実際どうやるんだろう?
こんな疑問に対して、擬似体験させてくれるのがこの一冊。
「はい、じゃあ、あなた明日からこれやってください」と言われたつもりで読んでみてほしい。
これを読むと、シリーズで読まずにはいられなくなるので要注意。
戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ
経営パワーの危機 会社再建の企業変革ドラマ
解説版ともいえるこちらもおススメ。
「日本の経営」を創る 三枝匡、伊丹敬之
『Good to Great』(邦題 ビジョナリー・カンパニー②) ジム・コリンズ
この本は、成功した企業から、その成功の裏にあるDiscipline(規律)を導き出したものだが、それ以上に個人のキャリア、特にリーダーとして何に注意を払い、どう振る舞う必要があるのか、という観点で読むのがおもしろい。
実際、これはビジネススクール在学中にLeadershipの授業で課された副教材だった。典型的な日本の大企業で「課長ってのは、今いる人材でどうにかやり繰りするのが腕の見せどころなのよ」という教育を受けていた人間としては、First Who... then What が超重要なdisciplineである、という身も蓋もない主張に衝撃を受けたものだ。
和訳のタイトルはイマイチだと思う……
お金
『Essentials of Accounting』 Robert N. Anthony
簿記を勉強しそびれた私が、会計の基礎を学んだ一冊。穴埋めドリル形式になっていて、解き進めるうちに自然と会計の基礎が学べる仕組みになっている。大人になってドリルをやる機会はそうそうないが、簿記のように、とりあえず単語や仕組みを覚えなければ話にならない分野には向いていると思う。
なんと日本語版もあった!
『Rich Dad Poor Dad』(金持ち父さん 貧乏父さん) ロバート・キヨサキ
お金の話は、どうしてもあやしくなりがちで、あまり大っぴらにお勧めしにくいが、若いうちに必ず身につけておくべき知識・スキルだと思っているので、あえて紹介。とにかく繰り返し説かれる税金の重さと、パーソナルファイナンスという概念を知るだけでも意味がある。
なお、この本を読んだこととTax Filing(確定申告)をしたことで、税金に対する理解はめちゃくちゃ高まったので、税金について理解したいなら、確定申告を1回やってみるのをお勧めする。
ちなみに、私が本格的にパーソナルファイナンスを実践するにあたってバイブルにしたのは『内藤忍の資産設計塾』。分散投資という基本に加えて、投資ではコストに注意すべし、という意外だけど大事な事実を学べた。特に忙しいビジネスパーソンにとっては、必要以上に投資に時間やマインドシェアを取られない、ということが大事。
まだまだお勧めしたい本はたくさんあるが、今回のテーマについてはこの辺で。
さて、あなたを形づくったのは、どんな本ですか?
良かったら教えてください。Twitterで待ってます。
https://twitter.com/Masa_Hagiwara
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次回予告
社会人10年~15年目くらいまでは、コンサルタントだった時期と重なっていることもあり、自分の生産性を上げることに対して死ぬほど貪欲になった。
そんな時期に読んで役立った、印象的だった本をご紹介。