魔導物語の新作、いっきまーす!
昨年10月に、コンパイルハートの今後の展開として、魔導物語の新作について言及されていました。
仮タイトルは「魔導物語4」ということでしたが、これまでの正式ナンバリングに「魔導物語1-2-3」(読み方は「いっちょうめ にばんち さんごう」)があったので、一応その続編という扱いになるのだと思います。
まず魔導物語シリーズをごく簡単に紹介させていただくと、1980年代に「ザナック」や「アレスタ」といったSTGの開発で人気を博していたゲーム会社「COMPILE(コンパイル)」が、1989年に発行したディスクマガジン「ディスクステーション #SP5 クリスマス号」に収録された「魔導物語」を原型として、その後1990年に発売された先述の「魔導物語1-2-3」をはじめ、数多くのシリーズ作品が発売された3DダンジョンRPG(じゃないのもある)です。
なお、原典となった「魔導物語」は、「1-2-3」の「エピソード2」になりました。
このゲームに登場したザコ敵の「ぷよぷよ」を4つ繋げて消すパズルゲームとして誕生した「ぷよぷよ」及びそのシリーズ作品には、魔導物語の主人公や敵キャラなどが数多く登場しています。
ちなみに個人的にシリーズでいちばん好きなのは「DiscStation Vol.12 (1996年秋号)」に収録されていた「魔導物語 はちゃめちゃ期末試験」(通称 はめきん)です。
ぷよぷよシリーズは、あくまでこの魔導物語シリーズのスピンオフ作品ということですね。
また、コンパイルハートというゲーム会社についても簡単に。
先述のコンパイルが倒産した際に、ぷよぷよシリーズの各種権利はセガへ、それ以外の権利はアイキに引き継がれ、さらにアイキも倒産してD4エンタープライズへ引き継がれ、そのD4と「旧コンパイルの版権を活かした展開を行う」ために業務提携し、魔導シリーズに関する営業権を取得したのがこのコンパイルハートです。
ぷよぷよシリーズ以外の権利、つまり魔導物語の権利もアイキ→D4→コンパイルハートと移ってきたのですが、ここでちょっと難しいのが、先述のとおり、ぷよぷよシリーズには魔導物語のキャラクターが多数出演しています。
そのため、いわゆる「大人の事情」で、これから魔導物語の新作を作ろうとしても、本来は魔導物語のキャラなのに、ぷよぷよシリーズのキャラでもあるアルルやシェゾ、ルルーやサタンといった人気キャラクターを魔導物語で使うのは難しいという状態。
そんな中、コンパイルハートが2013年にPSVitaでリリースしたのが、魔導物語の新作「~聖魔導物語~」でしたが、キャラクターは一新、かつ3DダンジョンRPGでもないというものでした。
それから10年半、ついに再び新作の話が出てきたというのが今の状況です。
ちなみに、コンパイル元社長の仁井谷氏は、当初はアイキと関わりがあったものの、後に決別、現在は「COMPILE○(コンパイル丸)」を設立し、3DSのダウンロードソフト「にょきにょき」を発売した後は、歌ったりゲーム配信したりインタビューに答えたりと、細々と活動されています。
前置きが長くなりましたが、このような事情があって、魔導物語に関する権利関係は非常に複雑になっていて、思うように新作も出せないという状況ではありましたが、今回発表されたシリーズ最新作「魔導物語 フィアと不思議な学校」では、なんと当時のコンパイルのスタッフも集結し、開発に携わられているようです。
アドバイザーとして、米光一成さん。
オワニモ(同種・同色の4体以上の魔物を消し去ってしまう魔法)の名前の由来はyonemituのアナグラムという話もあり、要するにこの方がいないとぷよぷよは消えなかったわけです。
アドバイザーとしてもうひと方、織田健司さん。
古のコンパイルファンからしたら、堕王健司さんと言ったほうがわかりやすいでしょう。
コンパイル時代には魔導物語シリーズのシナリオなどを手掛けられていた方です。
キャラクターデザインは、戸部淑さん。
DiscStation15号に収録の「フロートランドのおとぎばなし」や、ドリキャス版「ぷよぷよ~ん」のキャラデザをされていた、こちらも往年のコンパイルファンにはおなじみの方です。
色の塗り方に特徴があるので、今回発表されたキャラデザを見て、パッと見で(たらやアウルベアの色で)戸部淑さんっぽいなと感じました。
サブキャラクターデザインには、「WanderWonder」のキャラデザなどで知られる大塚真一郎(Gashin)さん、「わくわくぷよぷよダンジョン」などでもお馴染みエナミカツミ(なみへい)さん、ぷよぷよのキャライラストと言えばこの方という壱さんが名を連ねています。
音楽担当のk.h.d.nは元コンパイルの1996年入社組、林康さんと永田大祐さんによるユニットとのこと。
林さんは「戦え!北出マン」、永田さんは「El-Do・ra・do」などの作品に関わられています。
DiscStationを知らない方からしたら、収録ソフトの名前を挙げていっても「何じゃそら」状態かもしれませんが、コンパイルやDSの全盛期を共にしてきた世代からすると、今の時代にこのスタッフを揃えたというのは、本当に凄いことだと感じています。
しかも、カーくんはもちろん、スケTやももも、ぞう、たら、アウルベアやトリオ・ザ・バンシーといった旧魔導(やぷよぷよシリーズ)でお馴染みのキャラクターも再登場という激アツの展開。
現時点では、従来の魔導物語シリーズのような3DダンジョンRPGとなるのか、はなまるやSS魔導のような普通のRPGになるのか、わくぷよや聖魔導のようなローグライクになるのかは不明ですが、アドバイザーの堕王健司氏が「30年ぶりに魔導物語を復活」と言っているということは、きっとそういうことなんでしょう。
期待して11月28日の発売日を待ちたいと思います。
さて、魔導物語といえば……
魔導物語シリーズのキャラクター、魔法、アイテム、用語などをまとめた「魔導大全 1996年版」。
復刊ドットコムさんにより2017年に復刻版が発売されたのですが、復刻前はかなりプレミアがついていました。
結局、これ以降の199x年版が出ることはありませんでしたが、そういった事情もあり、この「魔導大全」は今でもなお資料的価値のある1冊です。
お持ちの方はぜひ大事にされて下さいね。