KONSTANTIN SIMONOV ~コンスタンティン・シモノブ~
Day2
コンスタンティン・シモノブ、エルミタージュ美術館、KROK映画祭オープニングセレモニー。
ロシアでの1日目の朝。
サンクトペテルブルクの朝は暗い。午前7時半で日本でいう5時半とかの、あの空が白んできてるぐらいの明るさ。
着替えを済ませてホテルの朝食へ向かう。ここで8時ごろ。この日はロシアではめずらしいぐらいの晴れだった。青空が見えるのは白夜のある夏ぐらいだそう。
ホテルの朝ごはんはビュッフェ形式。「パンがないならケーキでしょ!」と言わんばかりにパンよりもケーキが多いし、肉料理も盛り沢山。魚が美味しかった。白身魚で何か包んだやつの焼いたやつとスモークサーモン。ハム、チーズ、ベーコン…。
何があるか分からないのでとりあえず、乗船開始の10時を目指して、ホテルをチェックアウトする。ついでにタクシーを呼んでもらう。
このタクシーが後ほど大きな救いになる。
タクシーに乗るためにホテルを出ると、この時期のロシアでは珍しい晴れ間が広がっており、雨水の反射が美しかった。
タクシーに伝えた行き先はプロレタルスカヤ。ネヴァ川沿岸にある取り留めのない地下鉄の駅だ。映画祭の主催川からのメールにはプロレタルスカヤ駅からヴォトキナ・ザヴォッジへ向かう無料の送迎バスがあるとのこと。その情報をもとにタクシーを使って行く。
プロレタルスカヤへ向かうタクシーのおじさんにロシア語で”Китайцы?”的なことを聞かれた。多分よく聞かれる「中国人か?」ってことだと思う。
"No. I'm Japanese."と答えた。でも相手の反応がなんかよろしくない。「なんか英語おかしかったかな?」と思いつつもう一回いってみたが、これはあれだった。”ロシア人英語できない説”が証明された瞬間だった。ここからロシア語、英語、日本語の壮絶なコミュニケーションが始まる。これはポケトークの出番じゃと出してみたが、ポケトークが最強にポンコツだった。日本語からロシア語に変換とやってみたが、タクシーのおじちゃんが首をかしげる。私たちも首をかしげる。ポケトークがロシア語から変換した最初の日本語は、「タコの足はここから消える?」だった。
いろいろ試みた結果「あなたたちはプロレタルスカヤからどこに行くの?何も無いよ。」とのこと。英語がこのあとも通じず、最後主催者側からの案内メールをロシア語に変換して読ませてみたら一気に理解してくれた。ヴォトキナ・ザヴォッジには何も無いらしく(まあマップ見るとクルーザーのクもなかった)あなたたちはそこに向かう意味は無いと言い出した。あなたたちを置いてはいけないよ。と翻訳機を経由してしゃべってくれた。現にプロレタルスカヤ駅には送迎バスが見当たらず、タクシーのおっちゃんが止まってるバスにロシア語でいろいろ聞いてくれた。
そしていろいろやったあとタクシーの後ろに止まった白いバスに、おじさんはおもむろに聞きに行った。親指をたてた。早く乗れとスーツケースを下ろしせかしてくれた。バスもすぐ出る感じだったので、お礼だけでもと”Большое спасибо!”とお礼をしてバスに乗り込んだ。これが私たちにできる最大の感謝できる術だった。
あのタクシーのおじさんの名前を聞いておくべきだったな…。彼がいなければバスに乗り遅れていたかもしれない。バスに揺られ、バスはネヴァ川を渡る。そして川沿いを走っていく。
バスは船着場に到着した。
船着場のゲートには3人ほどのいかついおっさんが睨みを効かせており、そこで中国人の2人の参加者も足止めされていた。KROK映画祭の紙共にパスポートを提示して無事入場した。中国人も多分同じだと伝えた。入場するとそこには私たちが乗る船が停泊していた。そして薄く虹がかかっていた。
船の名はコンスタンティン・シモノブ号
ここから10日間お世話になる船だ。
部屋は5畳ほどでベッド2台、冷蔵庫、1畳もないシャワールーム兼トイレ。
これで生活できるのか心配になっていた。
10時過ぎに着いたはいいがここから4時まですることがないと、主催者からのカードをみて判明した。ということで私たちはとりあえず昨日見逃した諸々の観光スポットとお昼ご飯を食べに出ることにした。
YANDEXタクシー
YANDEXタクシーというアプリを初めて使ってみた。このアプリは行き先を入力するだけで自分が今いる場所にタクシーが来てくれるシステム。アプリ上で行き先を既に入力しているので、タクシーの運転手にロシア語で伝える必要もなく、目的地までいくことができる優れものだった。とりあえずサンクトペテルブルク中心のエルミタージュ美術館がある宮殿広場を目的地に設定。
アプリは車の進路や現在地まで表示してくれるため、結構安心感があった。
市内までは約400ルーブル(600円ほど)日本のタクシーでこの距離だと3000円は超えると考えるとすごく安かった。まもなくして宮殿広場に到着。昨日と違う場所を探検しようとしたが、あの宮殿の中に入りたいよねということで、エルミタージュ美術館を目指した。
エルミタージュ美術館
宮殿広場に一際目立つパステルカラーのエメラルドグリーンの建物がエルミタージュ美術館である。宮殿広場から見えるのは外側で入口は中庭の奥にある。行列は二股に分かれており両側交互に入れていくスタイルだった。30分ほど寒い中待ったのち中に入るとチケット売り場になっており800ルーブルを払う。するとまた荷物検査の行列を並びやっと中に入れる。
時間も無かったので全て見れたわけではないが世界三大博物館(大英博物館、ルーブル美術館館、エルミタージュ美術館)とあってなかなかのボリューミーさを感じた。
ここからは説明があってもどうしようもないので、どんなかわかる程度の写真を貼っていく。ダ・ヴィンチとか見たかったけどこういうところは画集でも見れるモノよりも、ここでしか見れないロシア皇帝の調度品や、暮らしぶりを重点的にルートを進むことにした。
入り口階段
金が美しい。デザインでも金を使うことがあるけれど、金はこうじゃ無いと綺麗じゃない気がする。圧倒される金。装飾的に使う現在の金では無い気品。権力と権威、貴族の存在。時の権力の存在感。高みにいる人が使う金属、色。マスプロダクトが生み出すことができないモノなのでは無いかなと思った。高級感と真に高級であることの意味は違う。資本主義にはできないモノ。
時折垣間見せる日本や中国の影響。帝政ロシア時代は少しずつグローバルの兆しを感じる。節目の時代。
皇帝となればここまでのモノを所有するのかと思った。ミニマリズムやモノを所有しない、所持しないというこの時代とは違う価値観。モノがその権威を表し、その数が財力と国力を表す。それは表面だけで無く生活にも及ぶ。強大な力を時代を経ても感じられる。
この日のお昼はジョージア料理
ロシアではその近隣の旧ソ連諸国の料理が食べられる店も多い。
ここでもう2時半頃だった、日本と違い四六時中開いている店も無く、ランチタイムディナータイムとしっかり区切られている。開いている店も無く探して行き着いたのはジョージア料理屋。この店もまた入りづらい店構えをしていた。
パプリカと茄子とソースの炒め物
トウモロコシ粉を練って作られたパンみたいなモノ
チキンのハーブスープ
つくねみたいなやつをトルティーヤみたいなやつで巻いたやつ
たっぷり食べて4000ルーブル。ここは少し高かった。
このあと私たちは船にタクシーで直接戻った。
KROK国際アニメーション オープニングセレモニー
船に戻って1時間ほどでKROK国際アニメーションオープニングセレモニー上映会会場へ向かうバスへ乗り込む。セレモニー会場はサンクトペテルブルク市内にあるレンドクというカルチャーホールだった。
巨匠ユーリ・ノルシュテイン先生らほか数名のアートアニメーターらによる開会の挨拶が始まり、子供たちのダンスアットホームな上映会の始まりだった。アートアニメーションに対する知識を持っていないためただ見るだけの日々にはなるが、所々タイトルは覚えていないが、おもしろい作品もあった。(鼻くそ飛ばすやつとかね)トップバッターは妻の”チームあむあむごっくん。英名:Om nom nom......"から始まった。理由はあとに書くこととする。
このあと9作品ほど流れて、セレモニーは完了する。
船に戻った後疲れた体で、この船初のディナーを食しこの一日は終わった。
次回は出航日。