さらばサンクトペテルブルク。 -血の上教会-
Day3
血の上教会、サンクトペテルブルク出港。
Доброе утро !! (ドーブラエ ウートラ)
出航の日の朝。この日もロシアでは珍しい晴れだった。
快晴の空で朝日が眩しかった。
冷える寒空の中先頭デッキへ。船の床と空がすがすがしい青で目が覚める。
この日は19時に出航する。サンクトペテルブルクを観光するにはこれが最後。ロシアの京都とも言えるサンクトペテルブルクをもっと見たい気持ちはあったが、長い船上を生きるために諸々水分とか補給せねばということで、サンクトペテルブルクの観光だけで無く、水の買い出しもかねて船を出た。今回は映画祭に参加しているメンバーとともにプロレタルスカヤまでバスで行き、プロレタルスカヤからモスコーヴスキー(英訳するとモスクワ駅)まで地下鉄で行くことに。50ルーブルを窓口の怖いおばさんに渡すとワンコインが渡される。そのコインで改札を通る仕組みになっていた。つまりどこに行くにも50ルーブル(75円ぐらい)ですむが、ホームまでのエスカレーターの速いこと長いこと…。大江戸線の深さなんてミジンコだと言わんばかりの深さだった。
モスコーヴスキーからは何する当てもなくネフスキー大通りを歩いた。朝のネフスキー通りも活気がある。とりあえず中心まで向かって歩いて行くことにした。この街は公園が本当に多く座る場所も多い。日本で中国人が床に座ってしまうのは、そういったベンチだったりの存在が少ないからではないかと感じた。
歩いている内に血の上教会を目指してみることにした。サンクトペテルブルクに行くなら行くべき場所の一つとしてガイドブックやネット上でおすすめされている場所だったからだ。とりあえず運河が見えるまで進んで、そこを曲がれば血の上教会があることまでは頭に入っていたので、ネフスキー通りをひたすら歩き血の上教会が見えるグリポエードフ運河まで進んだ。
グリポエードフ運河沿いには、ロシアの観光地ではおなじみの露天お土産屋が並んでいる。また観光客を見つけたら写真を一緒に撮ろうと追いかけてくるコスプレイヤーもいる。コスプレイヤーのお姉さんがかわいかった記憶…。あとマントで隠してこの日の儲けたお札を数えていた現場を初日に見かけた記憶もある。
サンクトペテルブルクは皇帝によってモスクワから遷都されたロシアの首都だったこと、また当時の産業革命前後の時代もあったことから常にヨーロッパ式の文化が取り入れられてきた。そのためもあってか町並みも聖堂もロシア風が混じったヨーロッパらしい街並みになっており、ヨーロッパ式、もといバロック様式、新古典主義の建築様式になっている。いわゆるロシアらしいタマネギの屋根は、サンクトペテルブルクではこの血の上教会ぐらいであり結構異質な雰囲気を醸し出している。血の上教会は、ロシア皇帝であったアレクサンドル2世がこの場所でテロに遭い、この地で終焉を迎えたのち、ロマノフ家によって慰安のために建てられたという。ロシア革命後はロシア正教自体がソ連によって禁じられており、倉庫としての機能しか果たしていなかった。Wikipediaによるとジャガイモの上の教会などと揶揄されていたという。アレクサンドル2世の暗殺というロマノフ家にとっての悲劇がきっかけになって建立された建築物であることから、『聖書』の中から悲劇的な要素の強い主題とした面積7500平方メートル以上のモザイク画によって壁面が装飾されている。また無数のトパーズ、ラピスラズリ等の半貴石で飾られている。
血の上教会をあとに少し休憩しようと隣の公園に入ってみた。サンクトペテルブルクは本当に公園が多く、中心部は夏の庭園など美しい公園が多数点在している。血の上教会に隣接した公園も美しかった。
血の上教会をあとにしてグリポエードフ運河沿いにお昼を食べる場所を探した。
お昼は運河沿いにあった入りづらそうなカフェだった。メニュー看板だけ外にあり、店の名前も看板が無ければ分からない感じで存在していた。ロシアのお店は扉が二重でどこも入りづらい。
注文したのはサンクトペテルブルクということでバゲット、ボルシチ、ビーフストロガノフの三種。ビーフストロガノフにポテトが結構ついてるならバゲットいらなかったかもしれない。ロシアではサワークリームが一般的でボルシチにサワークリームを入れて溶かして食べる。最後にはボルシチはピンク色になっていく。
ビーフストロガノフの色にもびっくりした。日本だとデミグラスソースで煮込むような感じだが、こちらでは色が白い。味はなんかシチューのような感じでこれもサワークリームを使っているという。こってりしていた。おいしかった。
このあとはお水を買ってタクシーを使って船に戻る。
出航
Departure St.Petersburg.
5時からのKROK映画祭のコンペ上映会Screening of competition program No.2を見た後、19時半頃 船はサンクトペテルブルクを出航した。汽笛と出航を知らせる音楽を流しながら。子供たちが走り回り、一部の大人は踊ったり手を振ったり。
雲がかかっている夕焼けに沈むサンクトペテルブルクを船はあとにした。
出航のあとはディナーをとり、KROK映画祭のScreening of competition program No.3を見てこの日のプログラムは終わる。
毎夜、子供たちが寝静まったあと(騒いでるけど、寝てないけど)大人たちはre animation clubといってアニメについて語らう時間が始まる。フルでロシア語なのでロシア国外から来た人たちには何の話なのか分からずこの夜以来誰も参加しなくなった。
子供たちはピエロと騒いでいるけど、大人の自分はもう寝ることにした。13時。よい子は寝る時間だよ。
船はこの日だけよく揺れていた。天の川が見えるほどの真っ暗闇の中ネヴァ川を船は進んでいく。
翌日はいにしえのロシアの田舎の文化を体験することになる。