葦と湖と草原と木の教会。 -Kizhi island-
Day5 part1
キジ島
この日船はスヴィリ川を抜けレーニングラード州からカレリア共和国に入った。場所はオネガ湖北中央部だ。相変わらずの曇り空の中、目が覚める。
今回の記事のキジ島はこの旅の大きなポイント。ロシアボルガ川のクルーズでは必ずと言って良いほどツアーに組み込まれている。世界遺産に指定されている島だという。
午前8時朝食のために食堂に向かうとかすかに日が差し込み始めた。本当に天候に恵まれている旅だった。ぽつぽつと島が見え始める。
朝食も食べ終わる頃にキジ島は見え始めた。
曇り空なせいか毎日薄暗すぎて、目が覚めないのがロシアにいる時のよくない弊害なのかもしれない…。毎度外に出た時の寒さで体が覚醒するという体に悪い国だ…。
朝ご飯を食べたら、観光と言うことで島の外に出る。
島のどこにいても大聖堂が見える。この旅では一番興味がそそられる場所だったかもしれない。
このキジ島はロシア連邦、フィンランドとの国境を持つ、カレリア共和国の首都ペトロザヴォーツクから北東へ船で渡った先にある。冬は湖が凍り付き車で移動できるようになるという。ただ雪の量も半端なく命の保証はできないそう。隣接するレーニングラード州、州都サンクトペテルブルクから向かうには寝台列車で6時間ほどかけてペトロザヴォーツクまで向かい、そこから連絡船で向かわないと行けない。普通じゃまず旅行に組み込まない場所にある。ロシア人でも行くのは少しためらいそう。人生でもそうそう行けない所にあるのだから存分に楽しむことにした。
それにしても北上したからなのか、それとも広大な湖の真ん中なせいかすごく寒かった。
キジ島のマップ。今見返すとこの島の南東1/4しか見ていない。それでも濃度があった。船の出航時間がもっと遅ければもっと見れたのかもしれない。
グループ分けされて、ゲートから入るともうそこは見渡す限りの草原。日本にも草原はあるっちゃあるけど、色と空が日本のそれとは違う。色が違うだけで草原もこれだけ変わるのかと思った。
ただ広くぽつぽつ木が生えている。大陸的。ファンタジー映画やゲームでしか見ることが無かったような色だった。
ウッドデッキの道をガイドさんに案内されながら進む。振り分けられたのは2番グループ。
どうやら2番グループはロシア国外からのメンバー用だった。英語で説明される。
四隻横並びは初めて。
がんがん進んでいくとメインの木造教会が見えてきた。
どんどん近づく。
黒と白。
塀の外。木彫りのロシア語。
見上げると金属みたいな発色。
中に入ると建物の間から覗く。タマネギは金属じゃ無く白樺の色。
すごい密度。
ぽつぽつと。
湖を望む。
首都の教会ほどじゃないけど、豪華に。
教会から出て今度は豪農の家。
ヨーロッパのゴシック式を木で再現するというコンセプトで作られているのだという。ここにある建築物は全てロシアのあらゆる所から移築している。そのためここにあった本来のものでは無く、もう少し都市部に近いものだったかもしれない。
カラスなのか?
数人が至るところで当時の生活を再現していた。
ぽつぽつと。
鐘が鳴っていた。鐘を聞いたのはこことモスクワぐらいだった。
湖畔を望む。
何かを挽いていたのかな。
何故か石が積まれている。
水が綺麗。
帰り道。やっぱり密度がすごい。
船に乗る。短時間だったけど圧倒される。一生でも滅多に来ることが無い場所だった。名残惜しさが一際だった。草原と湖と葦と木の教会で美しい場所だった。
船はカレリア共和国の首都ペトロザヴォーツクへ向け出航した。
次回はペトロザヴォーツクから北上しフィンランド国境近くへ。