ブロックチェーンで電子書籍の中古販売?
こんにちは。
このブログでは、ブロックチェーン関連を中心としたテック系の情報の紹介をしております。
今日は、電子書籍業界におけるブロックチェーンの取り組みについての記事を紹介します。
ついに動き出した電子マンガ「中古売買」の成算 ブロックチェーンで業界のタブーを解消?
こちらの記事です。
メディアドゥホールディングスによる、ブロックチェーンを利用した新しい電子書籍管理のプラットフォームの開発について書かれています。
電子書籍の取引にブロックチェーンを活用することで、どの様なメリットが生まれるのでしょうか?
ブロックチェーン活用のメリット
メディアドゥHDはこのプラットフォームにより、電子書籍の購入履歴のトラッキングや、購入者による中古販売も可能になると言っています。
ブロックチェーンを使って、生産物の流通履歴を管理する様な取り組みは確かに今までもありましたよね。
このサイトでは以前に、ウォルマートに食肉のサプライチェーンをブロックチェーンで管理する取り組みを紹介したこともあります。(リンク)
購入履歴のトラッキングというのは確かにブロックチェーンの得意分野なのかもしれません。
ですが、購入者によって中古販売が可能になる、というのはどういうことでしょうか?
ブロックチェーンによる、電子書籍の閲覧権の移譲
一般的に、電子書籍のサービスはユーザーがコンテンツ自体を購入するのではなく、メディアドゥHDのような電子コンテンツを管理している企業から、閲覧権をユーザーが購入して利用します。
ユーザーは一時的にコンテンツ管理者から参照権限を与えられている様なもので、その権限を他人に譲るようなことはできません。
技術的にできないという事ではないのでしょうが、もしコンテンツ管理者から閲覧権を購入したユーザー(一次ユーザー)が他人(二次ユーザー)に営利目的で閲覧権を付与してしまったら、本来二次ユーザーの分まで利益を得られるはずのコンテンツ管理者が不利益を被ることになります。
この課題に対して、記事の中では以下のように書かれています。
こうした懸念についてメディアドゥHDでは、中古で売却するユーザーに利益があることはもちろん、売買履歴がわかるブロックチェーンの特性を生かして、2次流通でも出版社や著者などに一定の著作権料が配分される仕組みを構築するなど、ユーザーと権利者の双方にメリットのあるシステムとなるよう検討しているという。
なるほど。ブロックチェーンでコンテンツの閲覧権を管理すれば、その閲覧権がどの様に人に移譲されていったのかも追うことができます。
コンテンツ管理側が閲覧権の流れをしっかり把握することができるのであれば、一次ユーザーの中古販売による利益も提供しつつ、二次ユーザーからも閲覧権に応じた利益を回収することができる、という事のようです。
ですが、電子書籍って実物の本と違って劣化がないですから、だったら最初から二次ユーザーとして安くコンテンツを閲覧したい、というのもありそうですよね。
やっぱりそこは好きなアーティストの新作アルバムを発売日に欲しい!と考えるか、レンタル版が出てからでいーや、と考えるかという「情報の新鮮度」で価値の差が出てくるのでしょうか。
ただ複数の業界関係者からは「高額品ではない電子コミックの中古売買は、配分があったとしても出版社にとってメリットが少ないのでは」との声もある。
という声も記事にはありますので、誰もがメリットを享受できるような仕組みにするためにはもう少し検討が必要なのかもしれませんね。
おわり。