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民泊の基礎知識② 民泊×建築基準法編

民泊手続きの専門家、谷内田です。
民泊の基礎知識について、この記事では建築基準法との絡みについて説明をしていきます。
が、正直に申し上げます。

建築基準法との絡み、論点はボリュームが多すぎて、この記事では語り切れません。
ですので、特に物件選定や許可申請等の手続きを進めるうえで必要なエッセンスを抜き出して書いていこうと思います。

心してお読みいただければと思います!!笑

建築基準法とは

建築基準法という言葉は、テレビニュースなどで一度は耳にしたことがある方も多いのではないかと思います。
最近話題になったレ〇パレスのニュースや、以前耐震偽装で騒がれた姉〇一級建築士のニュースも、この建築基準法がらみのお話でした。

読んで字のごとく、「建築」の「基準」を決めている「法律」という意味です。
建築物というのは、日本中ほぼすべての人々が利用するものだといっても過言ではありません。
住宅しかり、商業施設しかり、病院しかり。
そんな誰もが利用する建築物が、極端な話、強い風が吹いただけで柱が歪んでしまったり、屋根が飛んで行ってしまったり。
あるいは、火事が起きたときに一瞬で焼け落ちてしまうような構造では、人々の生命や身体の安全を守ることが出来ません。

ですので、建築物に対して一定の基準を設定して、安全な建築物を建てられるようにしているのが、この建築基準法の役目なのです。

建築基準法と建物の用途

建築基準法の中では、多種多様な建築物を、どういった目的で利用されるかという判断基準で、種類分けしています。
この点については、別の記事でも解説をしました。

その用途はさまざまあり、細分化されています。
民泊手続きの際に抑えておくべきなのは、
住宅
共同住宅
ホテル、旅館
のくくりです。

「事務所」や「店舗」もあるのですが、まず基本を押さえるという意味では上記3種類の建物の用途を意識しておいてください。

建物の用途と用途地域

こちらも別の記事の復習になります。
建物の用途によって、どの用途地域に建てることが出来るのか、変わってくるというお話でした。

例えば工業専用地域に住宅は建てられないとか、
商業的な施設は住居専用地域には建てられないとか、
そういった内容でした。

建物の用途の変更

建物の用途についてここまで説明をしてきていますが、この建物の用途。
一番最初に新築するときに、役所に対して○○という目的で新築しますよ~、ということを申請する必要があります。

では、新築時に申請した用途から変更することはできないのでしょうか。

答えは、用途の変更手続きを行うことは可能、です。

ただし、ある特定の場合には用途の変更手続きを行うことが出来なくなってしまうので、注意が必要です。

建物の用途と建物の構造

さて、このセクションがこの記事の一番のポイントかもしれません。

冒頭でも説明したように、建築基準法は建物の安全性を確保するために、様々な建築物の基準を設定しています。
そして、その基準は、建物の用途によって異なっています。

皆さんは、一般の住宅と、ちょっと規模の大きいマンションと、不特定多数の人が出入りするホテルと、この3つの建築物が同じ基準になっていると思いますか??

はい、正解はもちろん、基準は違う、です。

それでは、3つの建築物のうち、どれが一番基準が厳しいと思いますか?


これはちょっと難しいかもしれません。
考え方としては「不特定多数」の人が出入りする、利用する施設の方が、何か災害や事故があった時に被害が大きくなりやすいので、一般的には厳しい建築基準が設定されています。

ですので、住宅、マンション、ホテルの中で建築基準が最も厳しいのは、ホテルということになります。

一般的に、これから民泊を始めたい、しかも365日営業できる形で始めたいという方は、戸建て住宅やマンションを賃貸もしくは購入して、旅館業の営業許可申請をするということになります。

旅館業の許可を受けるためには、建物の用途が「ホテル、旅館」でなければいけません。
つまり、「住宅」や「マンション」の基準として建てられた建物のままでは、旅館業としての許可を受けられない可能性があるのです。

ですので、一般住宅として市場に出回っていて、かつ「民泊OK」となっている物件であっても、賃貸や購入をされる前に、必ず建築基準を満たすのかどうか、調査をしてください
きちんと調べてみた結果、建物の内装や構造を変えるための工事をしなければならず、結果数百万円以上の費用が掛かってしまう、というようなことが実際に起こっています。

建物の設計や構造については、建築士や設計事務所と呼ばれる方々が専門になります。
ぜひこういった方々の協力を仰いで、実際にはそのままでは民泊ができない「民泊OK」物件をつかまされないように気を付けてください。

建築基準法×旅館業

旅館業の許可を取得して民泊を行いたい場合、建物の用途は「ホテル、旅館」でなければなりません。
※ちなみに、「簡易宿所」も旅館業の一種です。

ある一定の条件で、「住宅」の用途のままでも「用途の変更手続」をしなくていいこともあるのですが、書類上は住宅のままでも実際の建築物の構造としてはホテル旅館の基準になっていなければなりません

よく、「100㎡未満であれば戸建て住宅でも大丈夫なんでしょ?」
ということを質問されますが、答えはNOです。

書類上は戸建て住宅のままでも、建物の内装や構造については、ホテル旅館の基準になっていなければなりません。

ですので、戸建て住宅やマンションを賃貸・購入して旅館業式民泊を始めたいという場合は、建築士さんや設計事務所さんに調査を依頼するようにしてください。

建築基準法×住宅宿泊事業法

180日ルールの住宅宿泊事業で民泊を行いたい方は、建物の用途が
「住宅」「共同住宅」「長屋」「寄宿舎」
のどれかになっていなければなりません。

ご相談いただく中で多いのが、雑居ビルや事務所ビルとして建てられた建物の場合、建築物の用途が「店舗」や「事務所」になっているので、そのままでは手続きを進めることが出来ません。
ですので、こういった場合には先に示した4つの用途のどれかに変更する必要があります。

ちなみに、住宅や共同住宅は建築基準法上、そんなに厳しい基準にはなっていないため、よほどのことが無い限り建築基準を満たさないということはありません。

ただし、これは旅館業でも特区民泊でも同じですが、原則「非常用照明」を宿泊部屋に設置しなければいけないというルールがあるので、こういった設備の工事が可能かどうかも確認する必要があります。

非常用照明の細かい内容については、別の記事で説明します。

建築基準法×特区民泊

特区民泊について、自治体によって多少の違いはありますが、住宅宿泊事業と同じように建物の用途は原則
「住宅」「共同住宅」「長屋」「寄宿舎」
のどれかである必要があります。

ただし、各自治体によって違いがあるので、必ず事前に確認が必要です。

特区民泊の場合、もともとあるマンションを利用して、特区民泊施設として転用するパターンが多いので、建築基準法上の問題はそう多くは無いと思います。

前項でも触れた、「非常用照明」については、例外的に設置をしなければならなくなりますので、注意が必要です。


今回は民泊×建築基準法をテーマにして説明をしてきました。
これは物件を探す際に一般の方が必ず見落としてしまうところで、また不動産業者なども細かいところまで把握できていないこともあります。
これは仕方がないことで、建築基準法というのは非常に難しいつくりの法律です。
これを正しく読み込むためには、建築基準法の専門家である建築士や設計事務所の協力を仰ぐことが、一番確実です。

いざ物件を購入したのに、建築物の基準が満たされておらず、手も足も出せなかった、、、
実際にご相談を受ける中でそういったケースに遭遇することもございます。

ぜひ、物件選びのご参考にしてみてください。
民泊手続きに関するご相談も、受け付けています。


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谷内田真也
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