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2024.07.22 SRBvsJPN "Serbia Offense Report"

こんにちは、Masataka Kuniyoshiです。
@masa_0155

今回は、2024.07.22 SRB vs JPNの親善試合からSerbiaのオフェンスをいくつかピックアップしてまとめてみました。
SRBのオフェンスを元に考察や感想を雑多に書いています。
気になる方はぜひ読んでいただければ幸いです。

※Termは、なるべき一般的なものに揃えていますが一部異なる可能性があります。ご容赦ください。


Half Court Offense

Zipper series

Zipper - Flare Rip DHO

Zipper - Flare Pin DHO

SRBは、Zipper Actionの中でも上記2つをよく使用をしていた。
同じAlignmentからRip screenにするか、Pindown screenにするかをディフェンスの対応によって変化させていた。
Rip:5のディフェンスが高い位置におりRim周りにスペースがあるとき
Pin:①5のディフェンスがRipを警戒して下がっているとき
    ②2のディフェンスがTop Lockしているとき

Zipper Rip DHO

SRBは、Zipper Actionを行うことでDelayのAlignmentを多用していた。
※Jokićがオンコートのときに多く使用していた
Delayで相手のRim protectorをRim周りから引き離しながらRip screenを使用することでDiveの脅威をより強くしている。
このDiveに対してイージーなパスが入らないようにScreener DFがStuntで警戒を少しでもすると、Rip screen後のDHOをより簡単に行うことが出来る。
ここからPnRの展開により簡単なペイントタッチを作り出していた。
※このオフェンスコンセプトについてはJokićが所属しているDENでも行われている。

Horns Zipper DHO Flare

このセットプレーの面白い点は、逆サイドへのディフェンスの誘導にある。
Zipper ActionからのDHO or PnRはSRBの強力なオフェンスの1つである。
その強力なオフェンスを展開することで、ヘルプをするためにアクションが発生しているサイドにディフェンスが寄ることとなる。
それを利用し、Flare screenをセットすることで逆サイドの広いスペースを有効に活用できるようになる。
また、上記の図のようにFlare screenからDiveが出来なかった場合に、
①Corner emptyでのStep-upからPnRを行う
②Flare screen後の4番にパスを出してのDHO   など
様々な展開をディフェンスの対応によって行うことができる。

DHO series

Delay Side DHO Spain Pop

SRBは、DHOを多く活用するチームである。ポイントセンターとも評されるJokićがいることにより、Jokićにボールを持たせて判断を行うことが非常に強いオフェンスになるからである。
特に、DHOでAdvantageを作りながらPnRに移ることによってディフェンスが整った状態でない状況を作り出すことが出来ている。それにより、Spain Pickの対処が難しくなる構図となっている。

Pindown DHO Flare to Step-up

SRBはSide BSを行う際に、Flare screenをセットすることが多い。
これは、前述した部分でもあるがFlare screenのUserにボールが入らない場合でも、Flare screenをかけたJokićにパスが入ることで様々なカッティングプレーに繋がる構図になっている。
また、Diveに対してJokićを経由してAngle change passを出すことも可能になるためSide BSに対するHedge対策も兼ねていると考えられる。

Blocker Mover series

Blocker Mover - Side BS to Step-up

Blocker Moverのコンセプトを活用したオフェンスもSRBは行っていた。
Loop Actionにも入れそうなAlignmentになっている。
※Jokićがオフコートの時に主に行われていた
Jokićがオフコートの時は、ビッグマンがボールを持って判断するのではなくScreenerとしてオフェンスに組み込まれている。
単純なPnRではなく、そのPnRを行うまでにアドバンテージを作り出してからPnRを行うことで相手のディフェンスが行いたいPnR Coverageを壊しやすくなっている。

Punch series

Stack out to Stagger

Split Action - Slip the Screen

SRBのポストアップにおいては、以下の2つのパターンが大きくあったように考えられる。
①Jokićがポストアップする場合
 Split Actionなど周りのユーザーが積極的にOff Ball Screenプレーを行い
 Jokićのパス能力を活かしていく
②Jokić以外がポストアップする場合
 基本的には、スペーシングに徹してPost Attackを行いやすいようにし
 ポストでの得点力を活かしていく
現代のバスケットボールにおいて、ボールの位置がコートの高い位置にある場合が多くなっている。
これは、主にポストアップを得点の主戦場にしていたこれまでのバスケットボールからPickを活用し得点をクリエイトしていくバスケに移り変わったことが要因の1つにある。
しかし、デメリットとしてボールキープが難しくLive TOになる可能性が上がるほか、プレッシャーをかけられてしまい本来のAlignmentが作れない状況などに陥ってしまう可能性が上がる。
SRBは、ボールがよりRimに近い低い位置にあるような状況も作り出すことでディフェンスが簡単に対応出来ないようにしつつ、それぞれのインサイドの長所を活かせるようにオフェンスを構築していた。

Fist Out to Stack out Punch

こちらは最近NBAでも流行っている、Fist Outという動きからPunchに繋げるオフェンスセットである。
※Fist Outとは、Ball screenと同時にExit screenをセットするオフェンスコンセプトである。
BSと同時にCornerでScreen Actionが起こることによってRollerへのヘルプを難しくすることができる。
このセットでは、Exit screenをインサイドの選手にかけることでRim protectorをアウトサイドに引き出してポストアップを行うことに成功している。
これにより、ポストからのスコアをしやすい状況を作り出している。

Double BS series

Rip to Zoom Double BS

Double BSは最近のNBAでもトレンドになりつつオフェンスアクションである。
上記の図では、1st screenerのPopからのDriveに対して2nd screenerがDiveからClearoutを行うことで、Easy 2を作り出すことに成功している。
また、1st screenerがウィングの選手などの場合は、2nd screenerに対してAway screenを行うWildcat(=Oklahoma)なども有名である。
また、Away PopからのDHOの展開などもSRBのオフェンスコンセプトであればあり得るパターンであるように考える。

 

SLOB

Stagger STS to Punch

Zipper Zoom Spain

Zoom Double BS Spain

Spain Pick系のオフェンスについては、日本がSpain Pickに対する対処が試合を通して甘い部分があった。
そのため、SRBはSpain Pickを用いたプレイコールを多めに使用してきていた。
オフェンスとして、効いているSpain Pickをただ用いるのではなく前述までのSRBのオフェンスを用いつつ派生としてSpain Pickにも入ることが出来ることがSRBの戦術遂行力の高さを物語っている。

BLOB

Rip Stack out Ram Rip

Rip Stack out Ram Exit

BLOBは基本的には、このAlignmentから始まるものであった。
STS(=Screen The Screener)をし、インサイドをアウトサイドに出しつつボールを受けさせる。
その後TopにあげたHandlerに対して、RamからRip or Fist Outに持っていくオフェンスである。
主に最後に関しては、ディフェンスの対応次第でRead & Reactが行われており選手の判断でオフェンスが変化している。
①インサイドがボールを受けた際に、インサイドディフェンスがボールマンプレッ シャーをかけにいくとき
 ⇨Rip screen
②インサイドがボールを受けた際に、Rimを優先し下がっているとき
 ⇨Exit screen(=Fist Outとなる)


プチ総評

SRBのオフェンスに関しては、特に育成年代のコーチほど見るべきである。
特に、Ball screenに関与していない選手たちの動きに着目をしていただきたい。

例えば、SRBのSingle side Tag Action(※3メンサイドでのBSプレーのこと)の場面を参考にする。
Ball screenerがDiveを選択した場合の動きに注目するとStay or Liftをしっかりと判断して変えていることが分かる。

この際に、見ていただきたいのがTag(=Corner DF)の動きである。
基本的にPnRとなった場合、脅威となるのはRollerとなる。
日本は、やはりビッグマンのRim protect能力がそこまで高くはなく、
SRBは、Rollerを活かしてイージーなショットを作り出そうとしていた。
そのため、Cornerの選手は早めにLiftを選択し、TagがRollerに寄らないような構図を作り上げていた。

このように、合わせの動きとしては基本中の基本のような動きではある。
しかし、SRBは基本の判断の精度がかなり高くチームとして、どのように攻めるべきであるのかの共通理解が高いレベルであった。
強烈なスパースターはすぐに現れないかもしれないが、このようなバスケットボールにおける当たり前の部分が高い選手は日本でも生み出していくことは可能である。
さらには、世界で勝つためにはそこが標準装備となった選手が増えてく必要があると考える。

オリンピックを楽しみつつ、バスケットボールの勉強も進めていけるこの機会を有効に活用していきたい所存である。


※お目通し頂きありがとうござました。
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