膝痛や可動域制限の原因!膝蓋下脂肪体の評価~アプローチまで解説
膝関節のリハビリを行っていく上で、必ずといっていいほど問題になってくることとして痛みや可動域制限が挙げられます。
痛みや可動域制限を起こす1つの要因として考えられるのが・・
膝蓋下脂肪体の柔軟性低下です。
あなたは膝蓋下脂肪体という軟部組織の名前を聞いたことはありますか?
膝関節周囲には多くの滑液包や脂肪体が存在し、組織間の摩擦を抑え関節運動を円滑にする役割をもっています。
そのため、これらの組織に直接的な外傷や繰り返しの圧力が加わると炎症が生じ、可動域制限や痛みの要因となります。
そんな膝関節を見ていくうえで非常に大事な膝蓋下脂肪体について、特徴~評価~アプローチ方法まで書いていきます。
膝蓋下脂肪体について
膝蓋下脂肪体は膝蓋腱の後方で関節包の前面に位置しており、膝蓋大腿関節の滑りを良くすることで、クッションとしての役割を担っています。
特徴として
・ACLや半月板といった関節鏡手術やTKA術後の方や膝OAの方など組織の柔軟性が低下しやすい。
・膝関節周囲の組織の中で最も疼痛を強く感じる組織。
があげられます。
そのため、関節鏡術後では手術侵襲による膝蓋下脂肪体の柔軟性低下が生じ、動作時に膝蓋骨下部の疼痛を生じる方を多く経験しています。
膝蓋下脂肪体の動きとして
膝関節伸展時は前方へ広がるように変形し、屈曲時には膝蓋骨の裏に流れ込む様に動いていきます。
特に伸展時においては
半月板の動きを間接的に誘導するとされています。
以上のような膝蓋下脂肪体の動き(伸展時に前方移動、屈曲時に後方移動)から考えると、圧痛をみる際は伸展位で疼痛があるかを確認したほうがいいです。
Hoffa sign
膝蓋靭帯の両側から膝蓋下脂肪体を圧迫しながら屈曲から伸展させ痛みを誘発させるテスト(屈曲時に痛みはなく、伸展時に疼痛が出現する)。
*膝蓋下脂肪体による疼痛を鑑別する方法として有用です。
このことから
①段差を降りて着地する瞬間の痛み
②完全伸展位から屈曲した瞬間の痛み
③椅子から立つときにみられる痛み
などに膝蓋下脂肪体が影響している可能性があります。
膝蓋下脂肪体の評価
*汚い足ですいません(>_<)
評価の流れとして
①膝軽度屈曲位にて圧痛の有無を確認。
②(圧痛があれば)圧迫したまま屈曲方向に動かす。
③圧痛がなくなれば膝蓋下脂肪体の痛みであると考える。
こんな感じになります。
触診のポイントとして、膝蓋腱を挟むようにして触っていくと柔らかい組織があります(上記画像)。
その他にも、実際に触診して左右差をみながら脂肪体の動き(軽度屈曲位にて内外方に動かす)を評価していきます。
また、下腿の回旋異常(下腿外旋症候群)がみられる場合に脂肪体が硬くなる例も多く経験するため、大腿ー下腿のアライメントもあわせて評価しておくといいでしょう。
膝蓋下脂肪体へのアプローチ
膝蓋下脂肪体が原因の疼痛を治すためには、単純に膝蓋下脂肪体の柔軟性を向上させることが大切になります。
やり方としては、先ほど評価で行ったように脂肪体をぐにゃぐにゃと左右に動かしマッサージをしていきます。
意外に単純・・・。でもこれは術後早期より行っていく必要があります!
なぜなら膝蓋下脂肪体は
・痛みに敏感な場所
・手術侵襲やアライメントにより柔軟性が低下しやすい場所
だからです。
私も術後より患者さんにはセルフexとして指導していますが、特に術直後に徒手で刺激を加えると炎症症状を助長させてしまう恐れもあるため、quadセッティングにて間接的に行ったりしています。
まとめ
今回は膝蓋下脂肪体についてまとめていきました。
膝蓋下脂肪体が硬くなることで
・パテラの動き
・大腿四頭筋の機能
・膝蓋下脂肪体自体の痛み
などに影響します。
ですので、膝蓋下脂肪体は膝関節を評価するときに切っても切れないほど大切です。
今回の内容があなたの臨床の参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。