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クラビス最後の日を迎えて

マネーフォワード取締役執行役員、マネーフォワードビジネスカンパニー COOの竹田です。

2024年12月1日、マネーフォワードへの吸収合併によって、株式会社クラビスという法人はなくなることになりました。

クラビスは2012年に菅藤さんによって創業され、2017年にマネーフォワードグループに加わってからも成長を続けてきました。

私自身は2015年頃からクラビスの経営に関わり、以降、取締役 CFOとして今日まで一緒に歩んできました。クラビスの吸収合併は2024年5月16日に発表され、2024年12月1日に正式に合併となります。

今回の判断について

まず最初にお伝えしておきますが、この決断は未来につながる最良の選択であると確信しています。

クラビスが提供する自動記帳サービス『STREAMED』は、『マネーフォワード クラウド』との意義ある連携をさらに強化し、会計事務所の課題解決に向けて、より広く、より大きく、そして長期的に貢献していくことができると考えています。また、クラビスのメンバーにとっても、マネーフォワードとともにさらなる成長と進化が期待できる道だと思っています。

ただ、約10年前にクラビスに加わり、これまでクラビスの一員として活動してきた私にとっては、感慨深さと複雑さと、様々な思いがあることも事実です。

おそらく誰の目から見ても、私は"マネーフォワードの"経営メンバーなのだと思いますし実際そうなのですが、心の中では常に「クラビスの一員として、この統合を成功させる」という想いを持ち続けてきました。

クラビスがマネーフォワードにグループジョインした後、私自身がマネーフォワードの経営に参画させていただくことになった時も、菅藤さんと「この統合を成功させるためにはマネーフォワードがイケてないとうまくいかない。だから全力でやろう」と話したことを覚えています。

だから、いつもマネーフォワードを最高の会社にしようと思って取り組んできました。

クラビスグループジョイン記者発表にて
(左から3人目が、当時クラビス代表取締役だった菅藤さん)

10年経った今、こうして本当の意味での統合の日を迎えることとなり、あの時の思いは一つ叶ったのかもしれないなと感じています。

クラビスの一員になることを決めた日

クラビスに加わる決断をしたとき、私は40歳を迎える直前でした。

それまで上場企業の経営も経験させていただき、まだあまり知られていないアーリーステージの会社を上場させるチャレンジにも道筋をつけられた手応えを感じていた一方で、心に少し晴れないものも持っている日々を過ごしていました。

そんなある日、久しぶりに菅藤さんと食事をしたことが転機となりました。
菅藤さんの話す『STREAMED』のプロダクトモデルと戦略がめちゃくちゃ魅力的で、合理的で、間違いなくこれから必要とされる、伸びていくサービスだと思ったのです。

そして、何より私の心を動かしたのは、お客さんが感動しているという事実でした。

「売上最大化」「利益率の向上」「上場」・・・、そういうものに向き合ってやってきましたし、それはとても大事なことで、そうやって頑張ってきた道も楽しかったです。ただ、その根底には常に「お客さんが感動してくださる、自分が胸を張れるサービスを手がけること」が一番になければならない。

菅藤さんと話したあの日、改めてそのことに気づくとともに、

こういうサービスを手掛けたい。こういう、自分が意義を感じられる事業を大きくしていきたい。

そう、心から思ったのです。

とはいえ、40歳はいい歳で、収入もゼロになるし、先行きも見えないし、いま考えてみるとそれなりにワイルドな意思決定をしたなと思います。ただ、当時はそんな不安よりも、ワクワクする気持ちでいっぱいでした。

しかし、どうなるかはまったくわかりません。

スタートアップはそのほとんどが数年持たずに消えてしまいます。うまくいかない可能性の方が圧倒的に高いのです。

でも、40歳のビジネスパーソンとして、あと何年、気力体力ともに充実して仕事に全力で取り組めるのかと考えると、おそらく20年くらいなんだろうなと思いました。

それまでの経験上、一つのテーマを経営者としてやり遂げるには5年はかかります。そう考えると、私がやれるテーマはあとたったの4つ程度しかない。4つしかない大事なテーマの一つに何を掲げるか。

そう考えて私は、「この5年は菅藤さんと、誰にも解けない課題解決をクラビスでやる。何がどうなってもこの5年はそれにコミットしてやり続ける。それがこの5年のテーマだ!」と心に決めました。

クラビスでの日々

クラビスに加わった後は、思っていた以上にいろんなことがありました。

資金調達が全然できなかったり、銀行残高がなくなりかけて社員の給与払えないかもしれない事態になって、やむを得ず個人のお金を会社に貸し付けたり・・・。採用は全然できないし、知り合いを誘っても、逆に「クラビスは無理だから辞めた方がいい。」と言われたことも一度や二度ではありませんでした。

開発チームがほとんどいなくなったり、経営メンバーに去っていただくことになったり、アライアンス先やパートナー企業の方から、無下な対応をされたり・・・。

憤りのあまり、掛けていたメガネを投げたことも何度もありました(笑)。
でも、そんないろんなことの中で、一番にして最大のできごとはマネーフォワードと一緒になったことです。10年前、10年後にこんな未来になっているなんてことだけは、1ミリも想像していなかったことです。

これから

できると思ったことは必ず実現する。
いや、覚悟を決めて取り組んだ先には、イメージを遥かに超えるすごい未来が実現する。

そんな経験をさせてくれた株式会社クラビスに心から感謝しています。
これから始まる第二章も、きっと今はまったく想像もしていない、とんでもなく素晴らしい出会いと未来が待っているのだと思います。

クラビスという会社のメンバーだったことを胸に、これからもお客さまに心から感動していただける仕事をしていきたいと思います。

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