前を向いて生きていくこと
忘却は残酷だ。でも、前に進むためには忘れることも必要だ。
2022年3月31日に元妻が子どもを連れて出て行ってしまってから、早いものでもう3年近くの月日が経とうとしている。出ていかれてしまった当初は、自分の情けなさ、無力さから、自分を責めてばかりいた。本当に自分は、世界で一番最低な奴なんだろうと思った。たくさん泣いた。
そうは言っても、生活は続いていく。仕事もしなければいけない。時は待ってくれない。離婚に向けた話し合いも、決めることはちゃんと決めなければいけない。生きるって、なんでこんなに大変なんだ。
この辛い間、多くの人から支えられ、何とかやってこれたことを感謝したい。僕のことを心配してくれて20年以上ぶりに連絡をくれた後輩や、登山に連れ出してくれた友人、愚痴を聞いてくれた友人、家族、本当に感謝している。
支えてくれる多くの方がいる一方、事情も知らずに、一方的に批判してくるような方もいた。切れてしまった縁、新しくできた縁、強くなった縁、おそらくこの3年近くの間、今までで一番、交友関係の入れ替わりがあったかもしれない。
そうこうしているうちに、自分も好きなトレイルランニングにまた没頭していったりするうちに、心の痛みはだんだんと消えていった。
冒頭で、「前に進むためには忘れることも必要だ」と書いたが、そんな簡単には忘れることはできない。忘れるためには、努力が必要だ。完全に忘れているわけではないかもしれない。「ふり」をしているだけかもしれない。
そして、自分にとっては、環境を変えることも必要だった。家族で住んでいた家にずっといるのは、色々な思い出が染みつきすぎていて、生活していて無性に寂しくなる。そして、今年の9月についに引っ越した。
子どもの近況が聞けることは、大変嬉しい。この前の7月に学校で耳鼻科の検診で、検診が苦手なお友達をうちの息子が耳鼻科の先生のところまで連れって行った、と元妻から報告があった。一緒に住んでいた時も、僕が腰が痛かったりすると、マッサージ道具を持ってきたりするような子だったから。相変わらず、優しい子のままだね。本当は、もっと子どもの成長にずっと関わっていたいけど、それもできなくて、大変もどかしい。
離れて暮らしていると、自分ができることなんて限られてくるけど、自分が落ちぶれたような姿を見せるのは嫌だし、明るく前向きに生きている姿を見せてあげたいといつも思っている。いつも、僕と会うときに、最大限の笑顔を見せてくれる息子のためにも。会ったら、思いっきりハグをして愛情を注ぐ。息子もハグを返してくれる。それが、僕が今、生きていくうえでの一番の生き甲斐になっている。