高ければ高い壁の方が登った時気持ちいいもんな 甲州アルプスオートルートチャレンジ(リリールート55km)参戦記
昨日(11月3日)は、甲州アルプスオートルートチャレンジのリリールート(55km)に参戦。14時間10分26秒のタイムで完走することができた。3度目の正直で、何とかリベンジを果たした。もう、本当に嬉しい。
過去2回は、2018年(34km地点でタイムオーバー)、2023年(完走したものの、15時間25分で25分のタイムオーバー)。今年の目標としては、各関門で昨年よりも、とにかく30分早く到着すること。それによって、余裕を持ったレース展開をすることができる。去年、時間内にゴールできなかったことが本当に悔しかったし、悲壮な思いで、今年のレースに賭ける思いは強かった。
将来的に100マイルレースに挑戦するため、50kmのカテゴリーでポイントを取る必要がある。他にも50kmのレースがある中、あえて、なぜこのレースに参戦しようと思うのか。それは、このレースが50kmのレースの中でも、超難関のレースと言われおり、挑戦し甲斐があるからだ。何せ、累積標高が3,600m、最高到達点が2,000m超え、なおかつレースの最後に500メートル以上登るというド変態レース。そういうレースこそ、ゴールした時、「やったぜ!」という達成感がある。
これから、レースの様子をレポートしていきたい。
スタート~上白石川エイドまで(20km)
スタート会場は、塩山ふれあいの森総合公園。6時にスタートし、制限時間は15時間。21時までに戻ってこなければいけない。やっぱり、ド変態が集まるレース。他のレースに比べて、選手たちの目つきが鋭いこと。ギラギラした雰囲気が漂っている。自分も、俄然、テンションが上がる。
6時にいよいよ、スタート。最初の7kmくらいは、塩山ふれあいの森総合公園から少しトレイルに入って、農園を下って行って、渡辺農園までのロードの区間。そして、渡辺農園から先に、本格的なトレイルの区間に入る。ここから、約7㎞の距離を標高1476mの源次郎岳まで1400mアップしなければいけない。今大会で、ここが一番のきついポイント。途中でガレ場があったり、滑る落ちるような急斜面があったり。でも、前日雨で路面がどうなっているか心配ではあったが、それほどグチャグチャにはなっていなかったので、安心して登ることができた。
何とか、源次郎岳まで辿り着いた時に、あるトラブルが発生。時計を見てみると、今日は、何かやけに距離が伸びていないな、と思ったら、時計の計測表示がかなりずれていることが判明。源次郎岳までで14kmくらい来ているはずが、自分の時計だと8.4kmしか進んでいない。以後、この日は、時計の表示が信頼できないので、自分の体内の感覚を信じて、レースを進めることにした。
源次郎岳から上白川エイドまでは、緩やかなトレイルが続いていて、無事に上白川エイドに到着。少し、休憩を取って、エイドを出発。このレースは、エイドを出た時点で時間を計測されるので、出発時間は10時39分33秒。昨年の出発時間が10時33分54秒なので、若干遅いが、ここまではほぼ予想通りの展開。
すずらんエイドまで(29km)
上白川エイドから、約3kmの距離で500mアップの標高2,014mの今大会最高峰である、小金沢山を目指す。トレイルに入って、林道に少し入り、小金沢山への山道へ。足場は、石だらけで、脚に来る。しかも、短い距離で標高をかなり上げるもんだから、かなり急な斜面である。何とかやっとのことで、小金沢山に到着。晴れていて、富士山が美しく映える。気持ちの良い、秋晴れだ。こういう景色が疲れた身体を癒してくれる。
小金沢山からすずらんエイドまでは、ほぼ下り。この区間は、道が分かりにくく、危うくロストしそうだったのを思い出した。なおかつ、葉っぱが落ちていて、滑りやすい。しかも斜面が急だったので、自分はゆっくり行ったが、結構飛ばしている人たちもいる。割と、自分は慎重派。怪我したら、元も子もないし、安全第一。すずらんエイドで少し休憩を取って、13時47分8秒に出発。昨年が14時6分で出発したので、上白川エイドからすずらんエイドまでで、かなりタイムを縮めた。昨年は、小金沢山までで、登りで休んでばかりいたから、今年は、ほぼ休憩することなく行けたので、その分、タイムが短縮できたのだろう。
深沢峠まで(34km)
この区間は、林道を2㎞ほど登った後、トレイルを3kmほど下って、深沢エイドに到着。ここのエイドでは、地元で収穫されたシャインマスカットが振舞われるが、疲れた身体は、糖分を欲しており、本当にありがたい。
美味しくいただき、エイドを後にするが、エイドの出発時間が15時3分48秒。昨年が、15時28分30秒だったので、まだまだ貯金を残している状態。身体は、かなり限界を迎えつつあるが、時間内に、完走は絶対できると、自分に言い聞かせた。自分を信じ切ることができないと、トレランのレースで完走なんか、絶対にできない。
マロニエエイドまで(46km)
3kmほど林道を下った後、トレイルに入る。2つ細かいピークがある以外は、ほぼ下り基調。日はだんだん暮れていき、山に静けさが宿る。マロニエエイドに到着したのは、完全に日が暮れていた。身体はあちこちが痛いが、まだまだ力は残っている。
エイドで少し休憩した後、17時55分34秒に出発。昨年は、18時34分25秒。ここから、最後の難関が待っている。気合を入れ直す。
渡辺フルーツ農園まで(50.5km)
マロニエエイドから、数百メートルロードの区間があり、登山開始。ここから最後の難関が待ち受けている。2kmの距離で500m以上をアップしなければいけないえげつなさ。当然のごとく、トレイルは真っ暗で、ライトを照らさなければ何も見えない。コースにはテープでマーキングしてあるが、慎重に目印を探しながら、進んでいく。日が出ている時でさえ、かなりキツイ山道なのに、真っ暗だと尚更のこと、過酷さが増す。
残りの約3kmは、ほぼ下り。多くの人が、かなりスピードを出して下っていくが、コースロスが怖いし、自分は、あくまでも慎重に、マイペースに足を進めていく。
渡辺フルーツ農園に無事に到着。この時点でのタイム計測は行わないが、19時25分頃の到着。昨年は、もうすでにエイドが撤収した後だったので、20時20分くらいだと思われる。昨年は、最後の難関の時点でゾンビ状態だったので、何度も休みながら進んでいった。そのため、この区間を脱出するのに相当時間がかかってしまった。その分、今年はかなり身体に負担がかかったとは言え、最後までエネルギーが枯渇した状態にはならなかった。
残り、1時間30分以上もある、これで時間内の完走間違いなしだ。
無事、ゴール地点まで(55km)
最後の力を振り絞って、ゴールまで辿り着いた。14時間10分26秒。制限時間をギリギリでゴールすることを予想していたから、 かなり余裕を持って、ゴールすることができて、嬉しい。
最後に
趣味でも仕事でも何でもそうだけど、やっぱり、高い目標を掲げて達成すると、本当に充実した気持ちになる。
今回、苦手の登りでも、何とか耐えて、最後まで力が残っていたのは大きな収穫。ただ、まだまだ改善の余地が残されているし、今後も走るたびに、成長していく姿を見せられれば最高だ。
人間、歳を取ると、体力が弱くなる、というのは真理だが、自分の場合で限って言うと、6年前に初めて今大会に出場した時は橋にも棒にもかからない状態で、34kmの時点でタイムオーバーだった。今回完走したことで、その時よりも体力がむしろ増加しているということだろう。40代なんて、まだ若い。まだまだ伸びしろなんて、いくらでもある。
人間はいつかは衰えて、必ず死ぬ。トレイルランニングもいつかはできなくなる。でも、成長し続けられるその一瞬まで、力を出し尽くしたい。自分はそう思う。