ファシリテーション・ボール・メソッド①
今年5回の研修を受講することになったファシリテーション・ボール・メソッド(FBM)についての学びをまとめさせていただきます。
現在、特別支援学校の知的部門高等部に所属しています。これまでFBMを活用する機会はなかったのですが、姿勢の保持やリラクゼーションに効果があると聞いて、ぜひとも勉強したいと思い、今回全5回の講座を受講することにしました。1回目が終了しましたので第一回目の学びをまとめたいと思います。
〇ファシリテーション・ボール・メソッド(FBM)とは
FBMを活用することでリラクゼーションや子供たちの動きを引き出したりできることに加えて、コミュニケーションの力を養うことにも通じることを知り、とても興味を持ちました。
もともと専門が保健体育ということもあり、身体を動かすことで学習活動につなげていく手法には興味をひかれやすいのかもしれません。
そして、今回FBMインストラクター養成講座を受講することにしました。
・受講して感じたこと
第一回の研修を通じて、理論と実践を学び、さらに可能性を感じました。その一方で理論をインプットだけではなく実践の回数をたくさん経験するアウトプットの経験を積み重ねないと、私自身がFBMを活用して子供たちに学びを還元できるようにならないと実感しました。
視覚的な情報だけでなく手を通して得られる感覚情報を適切にくみ取ることで子供たちの反応を受け取ることができると感じました。
FBMが活用されているのは肢体不自由児の現場が多いです。肢体不自由児は表出が少なく、ちょっとした変化も見逃せません。それだけに手を通して感じられる微妙な変化を感じ取れるかが大切です。また、視覚的にも微妙な動きを見逃さないようにすることが大切です。
そして、そういった些細な変化に気づくことができれば、知的障害であろうが発達障害であろうが子供たちの変化に気づき、やり取りを深めていくことが可能になります。
・子供たちの試行錯誤を待つ
支援者が一方的に姿勢の変化やリラクゼーション、身体の移動を行うのではなく、免荷状態の中で子供たちがバランスを取ったり、安定する重心の位置を探ったり、普段はできない動きを経験することができる環境を提供するのが支援者の仕事になります。今回学ぶまでは支援者が操作して、刺激を入力するのだと考えていました。そうではないのです。
プールも同じ免荷状態です。水中では地上とは違い重力から解放される割合が大きくなります。その結果、今まで見られなかった動きが見られます。FBMにおいても床と体の間にFBを入れて隙間を作り出すことで、新しい動きを誘発できるのです。しかも、小さな動きで大きな効果を得ることができます。実際にFBに乗ってゆすってもらうと実際に動いている幅と体感として揺れている幅が何倍も違います。それだけ小さい刺激でも本人に入力される刺激は大きいということです。その結果、支援者の年齢や性別、体格差によってできることの差が生まれくくなります。体が小さい支援者であっても入力できる刺激が大きくなるという支援者側のメリットも大きいのです。
刺激の入れ方も子供たちの実態に合わせて空気量や大きさを調整することで適切な刺激入力が可能になるところも良い点です。
〇FBMができること
・リラクゼーション
・正中線を軸として良い姿勢を作る
・動きを引き出す
・運動発達の支援
〇リラクゼーション
肢体不自由児によくみられる筋緊張を緩めるためにもFBMは有効になります。今回学ぶまでは筋緊張している箇所にダイレクトにアプローチしていましたが、実際は大きな筋肉にアプローチすることが大切です。筋緊張の原因として、姿勢が安定しないことをカバーするために筋緊張が起きているので、姿勢が安定するように骨盤や肩甲骨などにアプローチしてあげることで筋緊張していて使えていなかった腕が使いやすくなるということです。
姿勢の安定を図るために骨盤の動きをFBMによって学習させていくことが大切になります。人間の体の末端部分に筋緊張などの影響が出ますが、改善すべきは腰など体を支える幹の部分です。健常者であっても体の左右差やねじれなどの歪みがあります。その歪みを改善しないと腰痛や肩こりといった症状の改善ができないのと同じです。
全身・骨盤・肩周辺のリラクゼーションを学びました。FBの上で回線したり、伸展、屈曲など様々な動作をするのですが、筋肉を伸ばした後、緩めるときに筋肉が緩むのを感じます。また、FBMを行う最中は支援者に体を委ねているので、安心感を与えてあげることが大切です。そのためには安定した(FB上)位置をキープしたり、子供の表情から感情を読み取ったり、声掛けを徹底することが大切です。
〇座位を作る
座位を整えることで腕や手指を操作しやすくなります。そのためにも立腰した状態を作ることが大切です。
FBを2つ使って子供の前面と背中にそれぞれおいてアプローチすることでFBの空気圧などにより自然と立腰した姿勢が作れます。そうすると子供は腕や手指が使いやすくなります。また、胸も開いた状態になりますので呼吸が深くなるといった効果も得られます。
肢体不自由児では自ら歩くことはもちろん座位をとることも難しい場合があります。だからと言って支援者がすべてしてしまっては自ら頭の位置を調整したりバランスを取る経験がまるでできません。FBを活用することで、肢体不自由児の子供であっても自分の体の重心位置を試行錯誤したり、頭の位置を試行錯誤する経験を通して体の使い方やボディーイメージの学習ができるのです。
今後も学んだことをまとめて、子供たちに還元できるように研鑽を積んでいきます。
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