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短編小説「先ず、失敗ありき」※全文掲載
詩の朗読会「wordlive! 性と詩とvol.1」で、24歳の青年とメンバーは知り合った。第一回目の終了後、第二回目に向けて、話し合う事にした。
その出版社に勤務する同級生は、昔F―1の選手になりたかった。その夢が破れた後、打ち込める事を探していて、それが雑誌のライターだ。
その同級生にある時、ゴーカート場に連れて行って貰った。初めはライターが運転。スイスイとゴーカートを乗りこなしていた。次は青年の番。骨も教わらず、ただ乗ってみた。面白いには面白いが、何かスッキリせず、先ずは普通に乗車。もう一度ライターが運転。ライターの運転をよく見てから、乗ってみた。カーブになると、どうしても恐怖心が顔を出す。
恐怖心に打ち勝つにはと色々考え、スピードをそれ程落とさずに、ヘアピンに差しかかった時だった。恐怖心もあったが、それに打ち勝ち、スピードを出したまま、ヘアピンでスピン。
その時はかなり怖かったが、それよりも、恐怖に打ち勝ち、それを乗り越えた嬉しさが先立った。先ず失敗したほうがいい事を知った記念すべき日だった。その日はそれ以降、全てヘアピンでスピン。ゴーカートの骨が解り始めた。「先ず、失敗ありき」。 了
参考図書:拙書短編集「現実錯誤」