現代アート「My fair prisoners!?3」の田山花袋さんの調書とエッセイ※全文掲載
この方は、小説「蒲団」、「田舎教師」で有名な日本人先輩作家です。そう、田山花袋(かたい)の録弥(ろくや)さんです。
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My Fair Prsoners!?調書
囚人番号:20171013225617
名前:女の匂い
懲役:58年
服役した刑務所:栃木県邑楽郡館林町
音楽:浪曲 特に広沢虎造
映画:チャップリン
本:西洋文学、源氏物語
罪:隣の家の柿を盗って食べた事
喜:自分の本が出たこと
怒:友人との喧嘩
哀:妻との離別
楽:妻との晩酌
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「女の匂い」さんのエッセイ
丁稚奉公が当たり前だった時代。9歳で2年間、足利に丁稚奉公をした。辛いのが当たり前だった。だから、本の少しの優しさが身に染みた。
12歳で漢学塾に行き、14歳で漢詩集を編纂した。14歳で漢詩や西洋文学に親しんだのは本当。18歳で上京し、尾崎紅葉に弟子入り。この時期に、多くの文学人と出会いがあり、それが「」の人生の大きな転機となった。 ただ、文学人としての限界を知る事があり、博文館で校正の仕事に従事したのが懐かしい。
日露戦争で、写真班の従軍記者となり、戦争の現実を知る事となった。そこで、戦争は絶対に駄目だと強く思った。 森鷗外さんには、特に感謝していた。理由は、自分の作家としての現実を受け止める方法を教えてくれたからだ。
「蒲団」は評価されたが、自分では駄作だと思っている。「田舎教師」も同じ。だから、自分が後世で評価されている事に、疑問を持っている。
同時代の文学人との交流が素晴らしかった。これは、「女の匂い」にとって、掛けがえのない宝物だと、胸を張って言える。 「女の匂い」は、とにかくお袋との時間が少なかった事が、後々にも影響を与えた。本当に最高の女性だった。お袋以上の女性はいない、そう「女の匂い」は、臆面もなく言う。
本当にそうなんだろうと思う。男にとっては、ほとんどの男がそう思うだろう。今はお袋と上手くやっている。姿は「女の匂い」よりもだいぶ年下だが、またそれも不思議なもの。「学園Heaven」では、「あの頃に強く戻りたい」と思う時期になるそうだ、死後。年下のお袋孝行をする「女の匂い」だった。 (了)
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※この方も刑期を終えました。