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【読書録115】致知2024年2月号「立志立国」感想

 致知の感想をnoteに書いて、今回が29回目となる。
本号は、感想書くのが難しかった。天下国家の事を自らに重ねるというのを心の底から実感することができていないからだろうか?


総リード  立志立国

 致知を読む若者が多くなったというのは、日本という国家に取って良いことであることは間違いない。

最近若い人から「致知」と出会って人生が変わったというお便りをたくさんいただくようになった。加えて、利益の追求よりも社員の人間的成長を願う経営者が増えてきたようにも感じる。

 致知の読者が十万人いるという現実は、本当に明るい兆しである。
私も他の致知読者に負けないように、志を持って生きたい。

天下国家の前にまずは、自らの志である。

春日潜庵  
「人生劈頭一箇の事あり、立志是なり」
(人生の出発点において一番大事なことは志を立てることだ)

孟子
「人恒の言あり、皆曰く、天下国家と。天下の本は国にあり。国の本は家にあり。家の本は身にあり」

学生時代のように天下国家のことを考えなくなったのは、地に足がついたのか?まずは、己を修めること。そこに徹したい。それは、きっと国や天下国家に役に立つ。

日本の水と食を護れ!


「水」と「食」の問題のプロフェショナルであるグローバル・ウォータ・ジャパン代表の芳村和就氏と東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏の対談記事。

 まずは、世界的な水不足の状況、そして水と食糧・農業の関わりという点に素直に勉強になった。
 
 ・化学肥料・農薬の大量投入により、土壌環境を調える微生物が減少している状況。
 ・日本の農家の平均年齢が68.4歳と農業の担い手が減っており、日本の農業が崩壊の危機にあること。
 ・日本の食糧自給率が戦後一貫して下がり続け、2022年に先進国の中で最低のカロリーベースで約38%にある状況。
 ・気候変動で世界で水不足が進む中、豊かな水資源に恵まれている日本も例外ではなく、水インフラの老朽化などの問題もあること
 ・また水源地が外国資本に買われていること

 そんななか、お二人の志の高さは、心に響く

「自分で身につけたものは、裸になっても役に立つ」が私の信条。ですから、特にいまの若い人はスマホに頼ってばかりいないで、自分なりの立志を持ち、その実現のために自分の頭で考えて勉強し、自分から体験して、志を同じくする仲間を集めて、日本のため、さらには世界のために活躍してほしいと願っています。

どのような立場にあっても常に自分の胸に手を当てて、いまやっていることは本当に正しいことなのか、人間としていかに生きるべきなのかを問い掛け、行動を変えていく。それが皆が楽しく幸せに暮らしていける豊かな日本、子供たちの明るい未来へ繋がっていくのだと思います。

 世のため社会のため活動されているお二人の志の高さから出てくる言葉であろう。

科学技術こそ立国の礎なり


 ノーベル化学賞受賞者である吉野彰さんと電子顕微鏡分野で世界シェア首位の日本電子会長の栗原權右衛門さんの対談。こちらの対談も門外漢の私に取って得るもの大きかった。

吉野先生の効率重視、実用的テーマ重視の研究姿勢への警笛は、なるほどと思う。

博士課程を出た人が十年自分で研究を続けて、世界が認めてくれるのは三十年後。もし似た研究をしている人が百人いれば、当たりくじを引くのは一人で、残りの九十九人は残念ながら世の中の役には立てないで終わる。これが実情です。でも、それで真理の探究を百%否定したら、肝心な1%の画期的研究まで切ることになる。その意味でいまは、一番悪いパターンでしょうね。

また同じくノーベル化学賞受賞者である福井謙一先生の講義で、古典的理論の重要性を説いていたという話も面白い。

最先端を本当に理解するには、古典的理論を百%理解しておく必要がある。そうでないと前には進めないんだと、何度も何度も言われました。

「熱力学の法則」のような古典理論を学んで知っておくと、何が実現に近い、信頼できる試みなのかが見えてきます。逆に科学の原理原則を理解しないと、人は間違った道を選ぶ危険性がある。先人の哲学を学ぶことはやはり大事なんです。

「巨人の肩に乗って」というニュートンの言葉があるが、先人が築いてきたことをしっかりと押さえることの重要さである。
 安宅和人さんが、読書において古典を読むことの重要性を説いていたが、時代を越えて残ってきた先人の知恵の理解というのも理解できる。

 一方の、栗原会長は、文系出身で営業を通じて一流の科学者と接してきた経験から、こう言う。

皆さんに共通していたのは、科学者としての能力以上に、人間性が素晴らしい。人と関わり、仕事をする上で何より重要なのは人格であり、人間性を磨かないといけないことを教えられました。

 何をするにも、まずベースにあるのは、人間性である。人格を磨くこと。

 また栗原会長が紹介するハーバード大学の経済学者が提唱しているという「経済複雑性指標」(ECI)というのも面白く、悲観論に陥りがちな日本人に勇気を与えてくれる。

 日本は、この「経済複雑性指数」で二十年間、世界一とのことである。
どのような指標か。栗原会長はこう紹介する。

どれだけ多岐にわたる産業やテクノロジーを国内に持っているか。生み出されたものの量で測る国内総生産(GDP)とは違って、何かを生み出すための能力がどれだけあるかの指標です。これだけ多様さを持っているなら、それこそ横断的に連携すれば、いままでにない新たな価値を創造できると思いますよ。

こちらを読んだ時、安宅和人氏がシン・ニホンで唱える日本の「のびしろ」の話を思い出した。

 悲観的にならず、志をもって皆が自分がやりたいことに取り組んでいく。
総リードで言う、致知の読者が十万人を超えているという事実。可能性しかない。

 まだまだ私も頑張ろう。

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