東京家族~うる覚え~
無意識に何度も耳にしている音楽は記憶に定着している。そしてふとした瞬間に口から出る。そして初めてそれが気に入っているのだと認識する。それは大人でも子どもでも同じだと思う。
娘が幼稚園の頃、自転車の後ろに乗せ買い物に出たところある歌を口ずさんだ。
トットロ~、トットロ~♪
映画を見せたことはなかったが、きっと幼稚園で習ったのだろうと微笑ましく聞いていた。歌詞を全部覚えていないのか同じフレーズを永遠と歌っていた。信号が赤に変わったので私は自転車を止めた。娘は相変わらずトトロの歌を歌っていた。小さな子ども歌声に信号待ちをしていた人も笑顔を向けてくれた。しかし、その笑顔が一瞬で含み笑いに変わった。
左のトットロ~、トットロ~♪
トトロはメイやサツキの隣にいてくれた。話はしなくても黙って隣にいてくれていたはずだった。だが、我が娘は隣は隣でもどちら側に居るのかを明確にしたいタイプだったようだ。
その数年後、映画「そして父になる」を見た夫が歌を口ずさんだ。子どもを持つ親として感じたものがあったのだろう。少し福山雅治の真似をしながら歌を歌っていた。「いつか父さんみたいに大きな背中で~」と歌いたかったのは伝わったが・・・
いつか父さんみたいな母さんみたいな父さん~♪
どっちだよ。