「磐田v浦和」戦の山本主審の判断は競技規則上整合性が取れているのか?
みなさんこんにちは。家本です。
先日のジャッジリプレイ放送後、次のような質問をいただきました。
質問 競技規則との整合性について
ジャッジリプレイで磐田 vs 浦和の質問を取り上げていただいた者です!「明らかな得点の機会を除き、著しく不正なプレー、乱暴な行為または 2つ目の警告となる反則を含む状況で、アドバンテージを適用するべきでない」との整合性が引っかかっています。もし良ければ詳しく解説いただければ嬉しいです!
これは言われる通りで、ルールに詳しい方、あるいは審判をされている方は、僕のコメントに "違和感" をもたれたと思います。ですので、こちらの質問に誠実にお答えさせていただきます。
家本の解答 その1
質問ありがとうございます。そうですよね。普通に考えれば、番組内での僕のコメントは競技規則を知る者にとっては “違和感” がありますよね。とても良くわかります。質問者さんはルールに詳しく、審判に興味を持たれている方のようですので、審判経験者として真摯に向き合ってお答えさせていただきます。あのシーンは原則、競技規則の条文通りに対応する方がリスクは少なく、望ましいと言えます。
ですので、質問者さんがあの試合の主審だったとして、番組で取り上げられた当該シーンを “DOGSO(決定的な得点機会の阻止)” と判断されるのであれば、あのような "フットボール最大の魅力" である攻撃の大きなチャンスに関係なく、アドバンテージを適用せずにレッドカードを示されるのがいいでしょうし、 “SPA(相手の大きなチャンスとなる攻撃を妨害または阻止)” と判断されるのであれば、こちらも状況に関係なくアドバンテージを適用せずに、2つ目の警告に値する行為としてイエローカードを示した後にレッドカードを示されるのがいいでしょう。揉めるでしょうが "ルール上" 致し方ありません。
なぜなら、本来退場や2つ目の警告を受けるにもかかわらずそれを "先延ばし" にしたことで、その選手が新たな警告や退場行為を行うリスクを "野放し" にしてしまうからです。そういった状況は、審判としては何が何でも避けなければなりませんし、誰も望んでいないことです。ですので、素直に対応すれば競技規則の条文との整合性は取れますし、混乱を生むこともありません。誤解ある表現をしてしまい、失礼いたしました。
僕の話を少しだけさせていただきますと、「ジャッジリプレイ」を視聴される方は、選手の方、指導者の方、チーム関係の方、審判をされている方、サポーターの方、サッカー好きな方、ジャッジリプレイ好きな方など、いろいろな方がおられます。皆さんそれぞれフットボールや競技規則の理解度が違いますので、あれこれ模索した結果、全ての方に満足いただくのは難しいと考え、僕は “ライト層” から “ミドル層” の方に、番組を楽しんでいただけるような発言を心がけています。
ですので、よく審判関係の方から「あの発言は誤解を与えるから訂正しろ」「審判の判定を否定ばかりせずにしっかりフォローしろ」「審判ではなく問題を起こした選手の事をもっと指摘すべき」と厳しいご意見をたくさんいただいております。別の機会で、審判をされている方を対象に話をすることもありますが、そのときは、より専門的なこと、誤解のないよう話をさせていただいております。状況や対象が変われば、話す表現も内容も変わることをご理解いただけたらと思います。
話が脱線してしまいました。
ここまでは “原則論” の話をしました。ここで終わって、僕と山本さんがお詫びするでもいいのですが、せっかくの機会ですので、ここからは「なぜ山本さんは原則論とは違う方法を採用したのか。それは受け入れられる判断だったのか」を僕なりの解釈でお話しようと思います。
家本の解答 その2
質問者さんやこれを読まれている皆さんが、競技規則とその精神をどれくらい深く、多面的な視点で理解されているのかわかりませんが、実は「質問された話」は、競技規則をどう解釈するかで原則論とは別の考え方が姿を現します。
皆さんに質問です。フットボールという競技は、シンプルでわかりやすい競技でしょうか。白黒しか存在しない競技でしょうか。矛盾など存在しない競技でしょうか。
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