黄色ブドウ球菌
病院が怖がる病気といえば「多剤耐性黄色ブドウ球菌」である。
ちまちまとアルコール消毒に勤しまねばならない。なんでそうなったかといえば「抗生物質が効かない株」がいるからだ。多剤とは抗生物質の種類ふたつ以上という意味合いだ。あとからあとから効果のある抗生物質が見つかり「よく効くなー」と使っているうちに耐性株が出てきてしまう。菌はウイルスよりは自分を複製することに堅牢なので変異しにくいけれど変異しない訳ではない。生き残りたい!と黄色ブドウ球菌が思うかどうかは知らないけれど、生物とは「ただただ形質を残し続ける」ように振る舞う高分子存在であるのだから複製ミスに活路を見い出すのも必然と言える。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSA やらバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌 VRSA やらがあるそうです。略称はぱっと見意味が分からなくてカッコイイ(おいおい)。
抗生物質が菌を「殺す」のは細胞壁だか細胞膜だかなんだか「外側」を溶かして破裂される物質だから、なようです。人間の皮膚とかも侵食しそうなものだけれど、そこは(たぶん)多細胞生物の強み。「わたしが死んでも代わりはいるもの」みたいなことなんだろうなと思います。……細胞そのものの「がわ」が丈夫なのかもしれません。
MRSA(早速使う)コワイ! VRSA(略)コワイ!と思ったら、絵面のキモい黄色ブドウ球菌は人間などの生物の肌だの鼻の奥の粘膜だのに常在しているという。しかも産出する毒は熱にも酸にも耐えるのだと言う。ナンテコッタイ。食中毒の原因になったりもするという。肺炎を起こしたりもするらしい。黄色ブドウ球菌コワイ!引き籠っても防げない!(わたしの身体に棲んでるからねえ)
幸い、肌とか粘液の中では他にも微生物がいるので、押し合いへし合いして人を害するほどには増えない……らしい。どういう縄張り争いが繰り広げられているのか、ちょっと覗いて見たい気もするけど……なにぶん「ぶどうの房」みたいに丸いのが(球菌だしね)ボコボコボコボコ……と増殖するんだそうだから……みたいような、みたくないような。
ライバルの希薄な手で握ったおにぎりの上でワラワラと増えては毒素もペペペと吐き出して、食中毒だ腹痛だってのを引き起こすらしい。グラム陰性とかいう菌の仲間はろくなことをしやがらないぜ。
ということで、食べ物は出来るだけ菜箸で調理して盛り付けし、保存はしっかり冷ましてから冷蔵庫か冷凍庫で保存して増殖を防ぎましょう。
・日本細菌学会のページ
http://jsbac.org/youkoso/staphylococcus.html
・国立感染症研究所 「ブドウ球菌食中毒とは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/511-aureus.html
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(正誤 120210823月)
> 病院が怖がる病気といえば「多剤耐性黄色ブドウ球菌」である。
日本語がおかしい(スマン)。
> 病院が怖がる病原体といえば
あるいは
> 病院が怖がる病気といえば「多剤耐性黄色ブドウ球菌」症である。
とすべきである。
反省反省。
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