日渡早紀さんのこと
たぶん『ぼく球』こと『ぼくの地球を守って』に端を発するシリーズで有名でしょうか。
私は『記憶鮮明』あたりがとても馴染みです。学園ものの『無限軌道』とか『星はすばる』も好き。連載で、ごく晩年の『アクマくん』シリーズが最初に触れた彼女の作品だったように思います。さきにあげた3作品はコミックで触れた。学園もの(っぽい作品)2作はともかく、『記憶鮮明』のファンキーさが、いちおうは少女漫画雑誌であったであろう『花とゆめ』に掲載されたのか、白泉社発行の別の、ちょっと歳上向け雑誌に載ったのかは知らないけれど、なーかなか、いい感じ、でした。殺害された女性の証言を得るため、彼女のDNAからクローンを生み出してはまともな証言が得られず(亡くなった彼女が愛好した映画作品のストーリーを語ったり)もう1体もう1体と作った3人ともが映画の話をするばかり、というニューヨークを舞台にした近未来SF漫画要素が骨子になっていた。
初期作品群でもそれなりに筆力があったなあ。『ぼく球』があまりにも「描く」ので、ちょっと古めの絵が好きというか、川原泉さん(シリアスだと目がロンパリ(斜視めいた描き方)になって残念な漫画家さん、でも省略されたデフォルメ作画はとても好きだった)とか遠藤淑子さん(ざ・漫画って絵柄だった。のちのち割とシリアスめの絵柄に転じたけれど、写実とかイラストめいた絵柄には至らないので、近作の絵柄も割と好き)とか、まあ要するに「わたしの趣味からフェードアウトした」のでした。
いまも『ぼく球』の後継を描いている「らしい」とネット情報からうかがい知っているけれど、まあ、後回しって感じになってます。
別にたてるのも面倒なので、続けて『花とゆめ』関連で書きます。
佐々木倫子さんの『ペパーミントスパイ』は好き。『動物のお医者さん』は外れなく面白いけれど、どちらかといえば『シギ子とサギ子』(字はうろ覚え)が絶品!だと思います。味噌汁の話が好き(苦笑)。
川原さんはやっぱり題名こみで『銀のロマンティック、わはは』かな。遠藤さんはたくさんいい話があるけれど『ファンタジーですよ?』(だったかな)の駅前にない「駅前バンセイ庵」やら、病弱のお嬢様が怒ってピアノを持ち上げてる話とか(高橋留美子さんの『うる星やつら』のしのぶさんのパクリ……いや、リスペクト?苦笑)。
立花晶さんの『サディスティック・ナインティーン』は連載毎話、笑わせてもらいました。最近では婦人向け漫画雑誌などで描かれておられる、のかな?
定番定石の、魔夜峰央さん『パタリロ』(今では別冊掲載だったかな?)や美内すずえさんの『ガラスの仮面』もありましたね。魔夜さんはなんだかずーっと「完成した絵柄」って感じだし、美内さんは最初の頃に比べればどんどん画力があがってしまって、どう完結させるのか(もう完結したのかな?よく知らない)、そこだけ気になります。
人の一生は、まあ一生分しかないし、最初の頃はあまり覚えていないものな上にいきなりバタンとなるのでなければ、歳を重ね寿命を迎える間際の数十年もたぶんまともに覚えていることは難しいのでしょう。思い出はしばしば、後で美しく脚色されたり、整合性が取れるように事実でないことによって補われたり、逆にすっぱり消え去ったりするものでしょう。覚えてないんだから忘れたかどうかも明らかに出来ない訳で。
昔読んだ漫画雑誌に知った名前がないのは、『花とゆめ』に限らず、さみしいものです。ですが、それもまた、仕方がないことでしょう。生々流転は世の習い(とかなんとか、オチめいた決め台詞を模索してるんですが、なーんも思いつきませんな 苦笑)、これにてしまいと致します。