スイーツ=金属加工!?
【ラジオ体操253日目】
こんにちは。
これまで経験してきたことを生かして、新しいことを始めようとするとどうしても経験が邪魔して動けなくなってしまうので、未経験のことを始めた方がうまくいくという謎の特性を持っているコマリストです。
今日は『経験を武器に、新たな道を突き進め!』というテーマで書いていきたいと思います。
皆さんは、これまでに経験してきたことを上手く活用できているでしょうか?
仕事に限らず、学生時代に頑張ったことや、プライベートで長年取り組んでいることなど、生かせるものってたくさんありますよね。
この時、重要なのは「過去の経験」を「新しい挑戦」に調整したり、エッセンスだけを組み込むということ。
私みたいに、そのまま生かそうとすると、逆に足かせになって上手くいかなくなることってたくさんあると思うんです。
今日は、スイーツ開発から金属熱処理加工会社へ転身したMさんが、何を生かし、どう活用したのかについてのお話です。
経験を上手くいかせていないという憤りを感じている方は、参考にしてみて下さいね。
異色の転身
さて、今日のお話の主人公は地方で金属の熱処理加工を行っている会社の取締役であるMさん。
少し前に会社にお伺いして、お話をさせて頂いた際に聞いた話が、あまりにも面白かったんです。
このMさんは、大学を卒業してからすぐに大手コンビニチェーンのスイーツ開発部門で従事していました。
ご本人もスイーツ大好き人間なので、当時は毎日のように甘いものを食べることができる空間に幸せを感じながら働いていました。
転機となったのは、御実家からのSOSでした。
実家は、両親が金属の熱処理加工を行う事業を営んでおり、Mさんの父親が社長、母親が専務、お兄さんが常務という典型的な一族経営の中小企業です。
SOSの内容は、「社長が事故で亡くなったから助けてほしい」という割と衝撃的なものでした。
この時、Mさんはまだ20代中盤。お兄さんも20代後半という若さ。
さすがに、お兄さんがいきなり社長として事業を承継するには早すぎるということで、専務のお母さんが亡くなった父に代わって社長に就任しました。
このタイミングで実家の家業を助けるために大好きだった職場を離れることを決断したMさん。
もちろん、金属の熱処理がどんなものなのか、全く知らない状態でした。
とはいえ、前職で部長にまで昇格していた”できる人”だったMさんの手腕を家族も認めていたので、お兄さんの上の立場にあたる専務に就任したのです。
これは、優しすぎるお兄さんに危機感を持ってもらいたいという社長(母親)の意向でもあったみたいですけどね。
そんなこんなで、全くの未経験ながら従業員30名の会社の取締役となったHさん。
未経験の業界で、”スイーツ開発”の経験を生かし、業界の常識を覆す色んな仕掛けをしていくことになります。
経験を生かし、次のステージへ
異色の転身を果たしたMさんが、金属の熱処理会社でどんなことを仕掛けていったのか。
それも、スイーツ開発での経験を生かして。
なかなか気になりますよね!
#私だけかな
このMさんが取締役に就任して、最初に取り組んだのは生産性を高めるための生産工程の革新と認知拡大のためのホームページ立ち上げ。
ホームページの立ち上げに関しては、従業員や家族から話を聞きながら、事業内容や大切にしている想い、得意としている領域や強みなどを洗い出して作っていったので、スイーツ開発に内容がかなり似通っています。
というのも、新たに開発したスイーツを、どう広げていくかといった観点で、材料の生産者さんだったり有名なパティシエさんから話を聞いて、発信するメディアの選定から発信する情報の選択まで何度も実施してきたから。
ということで、そこまで大きな苦労もなく、ホームページの立ち上げを終えます。
問題は、未経験である熱処理加工の生産工程の革新です。
これに関しても、Mさんは経験を生かした独自の発想で進めていくことになります。
生産工程全体を見渡して、「熟練の技術が必要な箇所」「手間がかかっている個所」を見極めて、どう改善したら誰でも・早く・高品質なものができるのかを考えていったんです。
結果、追加投資を行ってオーダーメイドの自動加工機を導入した工程もあります。
未経験でこれを実現するのは大変ではなかったかと質問してみると、返ってきた答えは非常に興味深いものでした。
Mさん
「金属の熱処理って、スイーツづくりに似てるんですよね。温度や湿度によって特性が変わるものだから、その特性をつかんで条件を変えることで良いものができるんです」
はい。この発想ができるってすごいことですよね。
Mさんは、熱処理の工程全体を、スイーツづくりと同じようにとらえて、工程の中で課題になっている工程(ボトルネック工程)を見つけ出し、改善するために知恵を使う。
”知らない業界だから分からない”ではなく”スイーツづくりでいうと○○”と置き換えて考えていったわけです。
ほぼすべての工程を改善し、熟練の技術者でなくとも仕事ができる仕組みに変えてしまいました。
結果的に、誰でもできる状態となったので、シルバー人材やハンデを持つ方を新たに雇用して、仕事をしてもらうことで地域にも貢献している会社としての認知を獲得していきます。
その他にも、
・女性の多い職場であったスイーツ開発部門にあって、今の会社になかった「産休・育休・時短」といった制度を整えていくことで、若手の女性社員を次々に採用。
・駐車場の空きスペースに週替わりでキッチンカーを呼んで、従業員だけでなく周辺住民も購入できるようにしたことで、従業員(主婦)の満足度を高めるだけでなく、会社に対する騒音、異臭のクレームを0件にする。
こんな感じで、スイーツ開発で得た知見を生かした取り組みを仕掛けています。
当時、30名弱だった従業員は2年で40名を超えています。
コロナ禍で同業者が苦しむ中、売り上げを伸ばし続けました。間違いなく、この先も成長し続けていくことになると思います。
全く関係なさそうな業界の経験すらも、生かしてしまうMさんの取組みは、頭の堅い私にとって、非常に勉強になるものでした。
業界経験がないから。。
こんなものは、出来ない理由になりえないんだとMさんが行動をもって教えてくれたので、絶対にモノにしてやろうと思います。
過去の経験をどう活かしたらいいかわからない。
経験がないから出来ない。
こんな悩みを持っている方の参考になっていたら嬉しいです。
じゃ、またね!