【MCUレビュー】スパイダーマン ホームカミング
以前ノーウェイホーム前にシリーズを見直して、MCUはやっぱり凄いと再認識しました。
新進気鋭の監督やキャストの采配、映画としての脚本に落とし込む力、漫画と実写映画間の絶妙なリアリティライン。なによりエンタメ映画として強烈に面白い。この魅力が存分に発揮された、スパイダーマンホームカミングのレビューです。
レビュー
今作成功の要因の一つは、何よりトムホランド=ピーターパーカーの配役!ティーネイジャー感が今までで1番強い。まだ高校生という弱さ・可愛らしさと、ヒーローとしての身体能力を兼ね備えている。
まだ幼いスパイダーマンとして、弱っちくてヒーローとしての自覚も少ない。そんなピーターの成長物語として楽しめる。
同じ高校のメンバーも良い意味で今っぽく、典型的なスクールカーストに収まっていない。
親友ネッドはコメディリリーフとして大活躍。
フラッシュはマッチョないじめっ子では無く、リッチなことにものを言わせる嫌なやつ。
ミシェルは斜に構えてるけど、やっぱり友人が欲しいだけの学生。
出番は少ないけどリズも美人で存在感がある。
そしてマイケルキートンが素晴らしい!!ただの迫力のあるヴィランでなく、人間味溢れるキャラクター。今作のピーターでは敵わない、恐ろしい大人。今作公開時は、MCUの弱点としてヴィランの印象が弱いということがあった。しかし今作はただの憎むべき敵でもなく、華々しいアベンジャーズの陰になる存在でもあり、なにより恐ろしい。大切なもののために、彼なりに戦っているからこそ侮れない。
今作には脚本・演出・演技・音楽と全て噛み合った最高の(そして恐ろしい)場面がある。それはピーターとヴァルチャーとの出会いのシーン。直前の多幸感溢れる展開からの急落下。公開初日に見に行ったが、日本の映画館では珍しく劇場がザワついた。その後の会話もサスペンスフルで、見ている側もヒヤヒヤする。ジョン・ワッツお得意の純粋な子供×恐ろしい大人というところで、監督の手腕も最大限発揮された。MCUきっての名場面。
上記のように怖い場面もあるが、あくまで青春ヒーロー映画として全編コミカルなのが良い。F ThorやWhat a f""!!という言葉遊びもつい笑ってしまう。
何より良かったのは、敵を倒して終わりという有りがちな展開ではなかった点。ヒーローとしての存在意義・何が人をヒーローたらしめるのかという視点で、至極真っ当かつ感動的な回答が用意されている。