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「私をスキーに連れてって」

私をスキーに連れてって は、1987年公開のホイチョイ・プロダクション原作の日本映画である。

当時は凄い流行った映画なのだが、30年経った今でも私はスキーをする訳でもないのにリピートして見ている。
この作品はバブルの良き時代が描かれて、今見るととても懐かしく感じ「あの頃は良かったなぁ」と思えるからである。

そんな当時の風情が思い出されるシーンを列挙してみたいと思う。


「カセットテープ」
映画は三上博史さん演じる矢野文男がスキーへ行く車を運転する際に、カーオーディオデッキにカセットテープを投入するところから始まる。そう、僕らの時代の車での音楽鑑賞はカセットテープだった。使い過ぎるとテープが伸び音がおかしくなるということがあったが、それでも僕らはカセットテープを重用していた。
そして松任谷由実さんの「サーフ天国スキー天国」が流れ物語がスタートする。

「スキーバス」
時を同じくして原田知世さん演じる池上優もスキーに行く描写になる。交通手段は今では見ることもないスキーバス。当時は夜発車のスキーバスが頻繁に走っていて駅前でバスに荷物を詰め込む光景を良く見かけたものである。映画で乗車しているのは車体にレオマークを配した西武バスで、車内の飲み物カップにもレオマークのものが使用されていた。

「練馬インター」
当時は外環がなかったので関越乗るときは練馬インターまでは下道で行くしかなかった。映画の中でも矢野のカローラⅡやスキーバスが通過していくところを見ると今もインターはあるのだが、何だか懐かしい光景。
なお矢野のカローラⅡは黄色いヘッドライトがついていた。白色よりやや暗いものの、雪の時は見易いと当時のスキーに行く車には重宝がられた。2006年の法改正以降は禁止となり最近の車にはつけることができない。

「アマチュア無線」
矢野が到着の前にロッジに先入りしている沖田浩之さん演じる小杉正明に連絡を取る際にアマチュア無線を使用する。当時は携帯電話はまだまだコストが高額な上にそのものも大きくて機動性の悪い時代。離れた相手とやり取りする手段は、極短距離ならトランシーバー、それ以上の距離ならアマチュア無線という手段を選んでいた。
あとで原田貴和子さん演じる佐藤真理子が実家の呉服屋で当時の「デジタルムーバ?」のような携帯電話電話を使用するシーンがあり、その大きさがうかがえる。

「フィルムカメラ」
作品中には、小杉による「とりあえず」と言って防水カメラで写真を撮るシーンが数多くある。当時はデジカメはなくフィルムのカメラ。後日現像した写真を皆で見るシーンは、当時みんなにも良くあった光景。出来上がりまで写り方がわからないので結構盛り上がる瞬間だったのである。作品後半には防水カバーをまとったビデオカメラも出てきていた。

「ゲレンデ美人」
白いスキーウエアを召した池上優はかわいい以外の何物でもなかった。
当時、水上3割増し雪上5割増しの法則っていうのがあった。女性はビーチでもきれいになるがゲレンデではもっときれいに見えるというものだった。これは原田知世さんの影響が非常に大きかったものであると思う。それを真似てニット帽にサングラスの女性がゲレンデには非常に多かった。

「ムカデ滑走」
楽しそうに滑走するシーンのひとつにムカデ滑走がある。ムカデが正式名称なのかは知らないが、前の人の腰に手を回し体を密着させて複数人の集団ボーゲン状態で滑走するものである。
映画のあと、真似する人が多発したが危険との事で大半のスキー場で禁止行為とされた。

「電話番号」
優を気に入った矢野は連絡先を聞くという行為に出る。今はLINE交換が定番だが携帯電話も普及していない当時は、「家の電話番号を聞く」しか手段がながった。今だったら当然気分が盛り上がってるうちにLINEするのだが、当時は家に帰るまで連絡つかないということを考えると我々の世代は今より我慢強い世代だったのかな?と思う。
後日電話するシーンでダイヤルするのは7桁だった。当時、東京03を除くと7桁だったのは懐かしい話である。

「保険外交員」
髙橋ひとみさん扮する羽田ヒロコは矢野の恋を応援するために保険外交員に変装して矢野の会社に潜り込む。今では部外者が会社の中に入れることなんてセキュリティの観点からありえないけど、当時は保険外交員がオフィスの中に入ってくるっていうのは良くあった話なのである。

「秘書課の女性をはらませた課長」
ヒロコが矢野の会社に保険外交員で侵入するシーンで矢野の上司を指し「あちらの課長さんでしょ、庶務のOLはらませちゃったの」のセリフ。
今だったらシャレにならず一発アウトなやつ。セリフとしても使いにくい。
そのあとヒロコが課長へも保険を勧誘するところがまた笑えた。まさに「悪魔」のような行動である。

「飲酒運転」
万座のロッジにいる矢野が皆と晩酌したと想定できる場面のあと、そんなに酔ってる訳でもなかったと思うが志賀にいる優に車で会いに行くシーン。
当時も飲酒運転は違反行為であるが、今ほど厳格化されてなかったのでそういう描写を避ける意識はなかったのだと思う。ただ今はちょっとマズいですよね...。
ちなみに優も車で出ようとするが、年越しそばとオレンジジュースだったのでこちらは問題なかったと思われる。
優の車のナンバーは5963。5時間かけて運転した矢野はホントにご苦労さんだった(笑)

「喫煙」
オフィスで煙草を吸いながら仕事をするシーンが多々ある。今は健康増進法で分煙の意識が進んでいるから考えられない話ではあるが、当時は事務所で煙草を吸うのは良くある話だった。
矢野の書類の提出を待つ、上司の課長は禁煙パイポ加えながら雑誌を読んでるっていう今では考えられない光景。
ほとんどのデスクにPCなく、ただ電卓を叩いて仕事する姿も今考えると滑稽である。

「ローリング走行」
真理子は運転の名手でWRC(ラリー)でも活躍したトヨタ セリカGT-FOREを操り、ドリフト当たり前のかなり激しい走行をしていた。今では間違いなく道交法違反の運転。
当時は走り屋ブームもあり、制限速度以上で走ってた車が数多かったのも事実なのでそういう描写が普通にあったものだと思われる。
横手山向う途中に真理子、矢野、ヒロコと3台連なって関越を走行するシーンではバスを追い抜く速度はそれなりの速度で、3台の車間距離もほとんどなかったので検問とかしてたら停められてもおかしくなかったと思う。
そして後半戦ではゲレンデなど道路以外のところも走行し交通違反の域を超えていた!
ただ、雪道は4WDのイメージを定着させ四駆の車は売れた。その影響はスゴかったと思う。

「アベックのモデルもいるじゃないか~!」
何とかウエアが届いたサロットの発表会のフォトセッション中に、後から到着しお揃いのウエアを来ていた矢野と池上を見つけたカメラマンの一言。
アベックなんてもはや死語(笑)
これは一番時代を感じさせるセリフであった。
この後、2人揃ってステージにあげられフォトセッションに立つのであった。
あえてステージの上の公衆の面前で矢野へバレンタインのチョコレートを渡す池上に女の強かさを感ずにはいられなかった。

ざっとあげるだけでこのくらい突っ込みどころがある。
今の方が色々な面で断然便利な世の中になったのだが、逆に今となってはその不便さがたまらなかったり、その他風潮や規制は厳しくなっており時代の流れが窮屈に感じる部分も多々ある。
着る物も矢野をイメージした最近はあまり売ってない襟つきのセーターとかを未だに好む私は、やっぱり紛れもなく昭和の男なのである。

「凍ってるね!」
「う~~ん!」



そんなおやじの戯言...。

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