レート反落?反発?上昇?下降?の意味
マスコミ報道を見ていてよく分からなくなるのが、為替相場の上下動を一言でリード文などに記載している表現です。
● 基本中の基本 ドル高・ドル安 ●
これはよく出てくる表現ですが、金融機関に居るとか、投資家で年中相場表を見ている人じゃないと、ちょっと考えないと一瞬迷います。
*ドル高
= ドル価値が上がる。相対的円安になる。130円/$->140円/$になる。
ドル安はこの逆。ただ、一般マスコミ報道でも、大抵は、
「円安ドル高」「円高ドル安」
といった通貨ペアの高い安いで記載されるのが普通です。
この辺は、ちょっと考えると分かります。
● 一般マスコミ報道(≒日経方式):円相場が反落?反発? ●
一般マスコミ(日経とか)では、よくこのような「反落」「反発」という表現がよく使われています。「小反発」「小反落」といった言い方もします。
日本人であれば、
*反落=今までの上昇基調が下降基調に変わること。
反発はその逆、というのは容易に想像できます。
よって、株価などではこの表現が使われても、特にギョッとはしません。
問題なのは、外国為替レートの通貨ペアの場合で、反落・反発ってどっちがどうなった?って辺りが、この単語だけで出ると若干混乱します。
(例.円相場が反落。ドル円相場が反落。円ドル相場が反落)
一般マスコミの場合(≒日経方式)、普通は円の側から通貨ペアを見た表現になっています。
よって、「円ドル相場が~」「ドル円相場が~」とどんな書かれ方をしていても、「円相場が(上昇から下降に)反落した」と読む必要があります。
(130円/$->140円/$になる)
● 金融機関レポート報道:ドル円相場が上昇?下降? ●
*通貨ペアを並べて、上昇or下降と表現する。
金融の専門家(銀行や証券など)がレポートする場合は、大抵はこの表現をしています。
これは通貨ペアの前の方に出て来た主軸通貨からみて、通貨価値が上昇したか下降(下落)したかを表現しています。
よって、
*ドル円相場が上昇=ドル高円安(130円/$->140円/$になった)
という意味になります。
これはユーロ円でもドルユーロでも全く同じです。
金融機関系(専門家)のレポートで、これ以外の表現を見たことがありません。誤解、誤読を避けるためでしょう。
厄介なのは、一般マスコミ報道でこの書き方をまねて、「ドル円相場が上昇した」「円ドル相場が上昇した」と書かれている場合です。
前述のように「円の側から見ている」のだろうと思いきや、この場合はレート絶対額の上昇・下落で掛かれている場合がほとんどです。
(ドル円相場の上昇=ドル高円安(130円/$->140円/$になった)
要するに専門家の表現と同じです。ただ、円ドル相場の上昇、という表現はあまり見たことがありません。
専門家が書く主軸通貨前出しの記載をまねているんでしょうが、反落・反発の時などは基本的に円の側から見て、上昇・下落と書くときは専門家と同じ、というのは一瞬迷います。リード文だけで分かるような工夫とルールを取り入れて、もうちょっと読み手に優しい文章を書いて欲しいといつも思います。
● おまけ:株式などの赤字、緑字の+-表現 ●
年中見ていると慣れてしまいますが、日経平均、ダウ平均、金利%の増減などで、これがよく出てきます。
これは数値の絶対値の増減に対して、
+の場合 -> 赤
-の場合 -> 緑
で記載するのが一般的で、これは一般マスコミも金融機関系も全く同じです。
慣れないと「+なのになんで赤字なんだ。イメージ悪いじゃないか」と思いますが、理由は分かりません。ただ、慣習的にこうなっているので覚えるしかありません。
私は、相場がヒートアップしている(+方向)だから赤字、と覚えています。
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追記(2023.8.17) 今日の日経デジタル版の見出しから
円、1ドル146円台に下落 昨秋の介入水準下回る
2023年8月17日 2:54 (2023年8月17日 3:23更新)
日経の典型的な記載例が出ていたので追記します。
本文で書いた「下落はドル円レートの円安を意味する」とか、
今日までの為替の動き(ドル高円安に振れている)を知っていればすぐ分かりますが、知らないと一瞬迷います。
下落?何がどうなったの?と。