キーウェスト
気候が蒸し暑く、風が体にねばつき、南国生活を味わえるキーウェスト。この感じ、東南アジアを思い出しました。
そして、アメリカも南下すればするほど、人の顔つきもゆるやかになったように見えます。ゆったりしていて、愛嬌もあり、太陽は人を変えてしまうものなのかもしれません。
早朝、宿からバス停に行くまでの1時間の道程で、いろんな人が挨拶してきてくれました。あと、みんなよくジョギングをしています。「もう、やめたらいいじゃん」と言いたくなるぐらい、苦しそうな顔で。
キーウエストからロサンゼルスまで、バスで72時間。地図で言うと、アメリカの右下から左下に移動します。ほぼ丸3日間で、バスの乗り換え3回、休憩25回。「25回!!」と、ひとりで思わずつっこみました。休憩になると早朝だろうと、夜中だろうとバスの室内灯が全てオンになり、拡声器で起こしてくれます。
その休憩の度に、アメリカ人は何か食べたり飲んだりしています。そりゃ、太ります。毎日、よくハンバーガーとコーラーで飽きないなと感心します。僕も好きなほうですが、主食にはできなかったです。
節約の為、ベーグルとチーズをスーパーで買い、それをサンドしたものを食べ続けていました。なぜか、ベーグルとチーズのうまみがお互いを打ち消し合い、あんまり味がしません。3日間食べ続けたら、二度と食べたくないモノになりました。
バスはだいたい1日に3人ぐらい、運転手が交代してました。ふと、昔、チベットのラサから中国の成都まで、4泊5日走った時の中国人は3日間徹夜で走っていたことを思い出しました。あれはあれで怖かったけど。このバスの3日間で変わったことと言えば、痔が悪化したぐらいです。「もしかしたら、痔かも」ぐらいから「確実にキレ痔」にシフトしました。人間、日々、変化する生き物です。
このバスでは、めちゃめちゃかわいいベイビーが乗り込んで、ママを困らせていました。この天使のようなベイビー(推定1歳ぐらい。ようやく歩けてました)は、自分のイスらしきもの(コロンコロンと転がりそうなヘルメットをひっくりかえしたようなモノ)に自分で吸っていた哺乳瓶を突っ込んで、イスをゆすって哺乳瓶をあやしていました。髪型は鉄腕アトムのお茶の水博士みたいで、クリンクリンして、いつも神妙な顔つきをしてます。丸2日間ぐらい、ママと2人でバスに乗っていました。なにか気に入らないことがあると、バスの通路でクルクル転がってみたり、ママからちょこっと離れてみたりと、リアクションをかかしません。もちろん、夜泣きもかかさない。
夜中にバスが寝静まった頃、いきなり泣き出すベイビー。ママは必死でなだめますが、ベイビーも必死で泣き叫びます。30分ぐらいすると、疲れてまた寝てしまうベイビー。こんなのが、1日に2、3回続きます。
僕らは音楽を聞いたり、また寝たりすればいいけど、お母さんは精神的にまいってしまうだろうと思いました。でも、このベイビーの寝顔が最高にかわいいもんだから、仕方がない。
周りの乗客もこのベイビーが起きていると、みんな笑顔になってしまいます。顔もゆがんでしまう程、かわいい顔してました。バスの休憩中、この小悪魔的なベイビーがバスの中でぐっすりと寝てる隙に、お母さんはこっそりバスの裏手でタバコを吸っていたのが印象的でした。世界は愛すべきベイビーの為に、まわっているのかもしれません。
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