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メキシコ

ロサンゼルスからティファナというメキシコの国境まで、バスで移動。ここ1ヶ月はバスしか乗っていません。

ガイドブックを読むと、このティファナには72時間以内なら入国カードなしでも入国できるので (ノーチェックで国境を通過できる) これにつれられて、入国カードももらわずにメキシコを南下して行くと、不法入国者になってしまうとのこと。なるほど。これは入国カードを確実にもらわないといけない。

バスがティファナの国境で止まった時に「欲しい。入国カード!」と、運転手に訴えると「わかった、わかった」と、したり顔でした。今まで、何回わかってもらえなかったことか。もちろん、今回もわかってもらえず、ティファナの国境をグングン越えて、国境から10キロ離れたバス乗り場で降ろされます。

「また国境まで、戻らなきゃ行けないのか、、」と愚痴っていると、近くにいたメキシコ人のおじさんが「どこに行くんだ?」と話しかけてくれます。「メキシコシティ。その前に、入国カードが欲しい」と言うと、「わかった、わかった」と言い放つおじさんに付いて行くと、本当に入国カードを発行してくれる場所まで連れていってくレました。捨てるアメリカ人あれば、拾うメキシコ人あり。

そのまま、メキシコシティまでのバスチケットも購入します。乗車時間は40時間。バスに乗り込むと、冷凍食品でも詰め込んでいるのかと思うほど、寒いです。慌てて、防寒着をバックパックからとりだします。

「冷凍タコスでも運ぶんですか?なんで、みんな文句言わないで、防寒着を当たり前のように着てる?こっちは寒いとスペイン語で言えないんだからさ」と、ぶつぶつ言って、バスの外を見るとタンクトップを着てる人がいて、バスの中はダウンを着てる人がいます。温度差ありすぎて、マジで風邪ひきます。ただ、寒さをぬかせば、バスの中はかなり快適でした。席も広々しているし、僕の隣も誰もいないので広々。あとは、凍えないように生きぬくだけです。

バスの休憩中、おばあちゃんにスペイン語で話しかけられます。スペイン語会話帳を見ながら「私はスペイン語がわかりません」と言うと、またスペイン語で陽気に話しかけてきます。がんばって、スペイン語で「お元気ですか?」と言うと、「いいえ、いいえ」と真顔で拒否されます。人は話してみないとわからないし、話してみてもわからない。

それでも、メキシコ人はスペイン語がわからない僕の気持ちを一生懸命に聞き取ろうとしてくれました。これとこれが欲しいと指差すと、笑顔で「これか?」みたいな顔をしてくれます。その笑顔が欲しかったです。

バスは40時間ではなくたっぷり50時間かけて、メキシコの首都メキシコシティに到着します。メトロを乗り継いで、宿の近くで下車。宿を探していると「日本人?」と小さいおじさんが英語で話しかけてきます。なんでも、宿まで教えてあげるとのこと。

「私はこの近くで、ボクシングをやってるんだ」と、笑顔で言ってきます。とても、強そうにはみえないおじさんに「へえー、そうなんだ」と、適当な相づち。駅から宿は近いのに、なかなか辿り着きません。あげくに人気のない所で「教えたから、1ドルくれ」と、言ってきます。

教えてもらってないけど、このおじさんとも離れたかったので、100円もない所持金を全てあげました。「もう、ないのか?」と、言ってきたので「ないよ」と言うと、僕の腕時計を指差して「この時計はいくらだ?」と、聞いてきました。いやいや、久しぶりにぶち切れです。おじさんをこづいて、日本語で「死ね」と、ひさしぶりの日本語を心を込めて言いました。おじさんも意味がわかったらしく、どこかにいなくなります。心を込めて言えば、日本語でも通じる瞬間でした。

平和ボケしていた僕にはちょうどいい喝でした。ただ、カモにされていたんだなと思うと、悔しさも込みあげてきます。そのあと、1人で宿を見つけたら5分ぐらいで着きました。いやはや、疲れます。

メキシコではプロレスが庶民の娯楽です。宿泊していた宿にも、日本の若手プロレスラーが武者修行で長期泊まっていました。せっかくなので、彼らが出ている試合を見に行きます。同じドミトリーに泊まっている人が、目の前のリングでメキシコ人と戦っているのは、おもしろかったです。メキシコでは2回目の試合なのに、すでにメキシコ人のおばさんファンがついていました。そのおばさんが日の丸の旗を持っていて、日本人プロレスラーにサインをしてもらっていたのがとても可愛かったです。

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