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チリ

モアイ像で有名なイースター島。チリの海岸から3800キロメートル、タヒチから4000キロメートル、一番近くの島までも1900キロメートル離れています。南太平洋にポツンと浮かんでいるイースター島はどうやってここに人が渡ってきて、誰を祖先にするのか、また、なぜ大きなモアイ像を造り続けたのか、謎に包まれた部分が多い。

「ふむふむ」と、イースター島に向かってる飛行機の中で、ガイドブックを読みます。せっかく行くので、知識を少しでも増やしてテンションを高めていました。

イースター島への唯一の交通手段は、ラン航空のフライトのみです。ネットで探したら、チリの首都サンティアゴからイースター島の往復航空券がUS374ドル(空港税などもろもろ含み)でした。イースター島に8日間滞在できて、US400ドル以下は、なかなラッキーだったので購入します。時期にもよりますが、US1000ドル以上した時もあるので、値段はかなり流動的です。

夜、イースター島の空港に到着すると、さっそく宿の客引きが集まっています。ここの客引きはひきが早いので、しつこく値段交渉すると「じゃ、別にいいです」みたいな態度をとられます。長期で宿泊すると言えば割と安くなり、だいたいの値段の相場(安宿)は1泊US10〜15ドルぐらいでした。あと、この島はチリ本土に比べて、物価が1.5倍ぐらいするので、なるべく食料を本土で買い込み、イースター島で自炊するといいです。

とりあえずのつもりで、1泊した宿はなかなかいい感じだったので、8日間宿泊すると言ったら、少し安く(1泊US13ドル)してくれました。ちなみに同室のフランス人は、まゆげが完璧につながっていたので、勝手に「両さん」と呼ぶことにします。ボンジュール、両さん。

翌日の朝、同じ宿に宿泊してる夫妻(旦那は元プロボクサー、嫁さんは元お笑い芸人&舞台女優)と宿の近くを散歩します。さっそく、モアイが郵便ポストみたいに、つまんなさそうに立っています。「おお。やっぱり、ここはイースター島なんだな!」と、少しにやけます。

街を散歩していると、野犬が多いことに気付きます。それも麻薬犬みたいな立派な大型犬が、ごろごろいます。それを見て、旦那さんが「昨日、野犬に5、6匹囲まれて大変だったけん」と言ってきます。ちなみに旦那さんは山口県出身。「ほんまやな。シェパードに囲まれたら、マジびびるで」と嫁さん。もちろん、嫁さんは大阪出身。「それは大変でしたね」と、他人事のような東京出身の僕。

昼は1人で近場のモアイを観光しました。この島の周囲は58キロメートル。離れたモアイはレンタカーに乗って行く予定なので、近場のモアイをやっつけようと思い歩きます。モアイを見つけるたびに、ニヤニヤ。やっぱり変な顔してました。たまにしゃくれモアイもいるから、昔からしゃくれた人が存在していたんだろうと勝手に想像します。

夕方、見晴らしのいい海岸が見えてきたので近寄ってみると、いきなり土佐犬のような凶暴性丸出しの犬が吠えてきて、一直線にこちらに向かってきます。どうみても、友好的な関係になろうとしている感じではありません。「ガウガウガウゥゥ!」標的は100パーセント僕のようです。

もう、何も考えず、走るしかない状況。生まれて初めて、犬に追われるという経験をしました。経験してみて分かりましたが、これはかなり怖いです。逃げてる僕の尻に向かって吠えてくる土佐犬。猛ダッシュしながら「ドラえもん」で、のび太が犬に追われてケツをかまれていた事を思い出します。「のび太、パンツまで噛まれて泣いていたよな」と、生まれて初めて、のび太の気持ちが分かりました。

途中で「なんで犬ごときに人間様が逃げなきゃいけないんだ」と思い、持っていた三脚で土佐犬に殴るふりをしたら、少し後退するけど、ますます怒らせたようでさっきより目が血走っています。「やばいやばいやばい」と声を発して、またダッシュします。100メートル近く逃げたら、土佐犬の縄張りはすぎたらしく、それ以上は追ってきませんでした。「なんで犬ごときが、偉そうに。次に会ったら、石投げてやる」と、ブツブツ吠えて帰ります。負け犬の気持ちがよくわかりました。

次の日の朝、同じ宿の人とレンタカーを借りて、イースター島を観光します。この島の人々は気持ちいい人が多く、車ですれ違う時もみんな挨拶を交わします。歩いている時でも、目が合えば「こんにちは」と、笑顔で言ってきます。ここに来てから「ありがとう」が、口癖になった気がします。少し、気持ちが優しくなった気もしました。

「イースター島はモアイだけでなく、島自体がいいからね」と、旅人がよく言ってましたが、その意味がよくわかりました。いろんな人の気持ちがわかるイースター島でした。

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