今回もまたまた天下分け目の関ヶ原・NVDA決算プレビュー
今回のNVDA決算は今までとはちょっと違う。8月初旬の下げを取り戻し、S&P500 が最高値の1%以内にいる今、今後相場がさらに上に行けるかどうかは今週水曜引け後のNvidia (NVDA)の決算にかかっている。厳密に言うと、決算と言うより、NVDAの決算に対する相場の動きにかかっている。今日はその話。
今回の決算は今までとはちょっと違う
2023年5月に出た決算の度肝を抜くガイダンスアップデートで25%株価が上がったにも関わらず、P/Eは下がるという大型株では前代未聞の離れ業をやってのけたNVDA。
NVDAの決算はあの歴史的な日以来、毎回決算後の株相場のトーンを決めるカタリストとして相場参加者からの注目を一身に集めてきた。
でも今回は少し毛色が違う。なぜか?
上のチャートを見てもこの下の表を見てもわかると思うけど、NVDAはあの歴史的な決算を出した2023年4月期の決算も含め、それまで実は4期連続でマイナス成長していたのだ。
23年4月期で株が爆上げしたのは、決算が良かったわけでなくて、23年7月期のガイダンスが想像を遥かに超える数字だったからだ。
となると、直近の決算、つまり24年4月期の決算までは前年比較が容易だった、ということになる。
この上の表を見ても分かるように、24年4月期まではEPSも売り上げ(Sales)も成長率がずば抜けて高いが、今期はEPSが139%、売り上げが113%の予想だ。
そして来期(24年10月期)の成長率は77%と75%まで減速する予想になっている。
23年7月期のNVDAの決算で初めてAIの影響が如実に現れ始めたのだから、今週水曜日の24年7月期の決算で初めて前年比較が難しくなる。つまりAI業績に入って今期でちょうど1年経ったということ。
つまり種明かしをすると、NVDAが前年同期比較で4倍5倍の数字を叩き出せたのはAIのおかげだけでなく、その前の年のEPSと売り上げが著しく減少したからでもあったのだ。
となると、数学的にこの脅威的な成長率がいつまでも続くことは不可能。よってある程度の成長率の減速は織り込み済みだ。
でもどこまでの減速なら許されるのか?どこまで減速したら株主は売り始めるのか?それが問題。
実際、Druckenmillerなどのヘッジファンド投資家はすでにNVDA株を手放している(これは後半で詳しく解説)。
だから、今回は決算そのものよりも決算に対する相場の反応の方が興味深いのだ。
つまり、NVDAが予想より良い決算を出しても株が下がった場合は非常に危険ということ。
もしそうなると、AIブームの先駆者である総大将がこけた、ということになるので、米株相場全体が下がる可能性が高い。
では「予想より良い決算」とはどのくらいの数字なのか?
私の思うNVDAの数字と相場の反応
これは毎期お馴染みの私のNVDA決算予想と株価の反応予想。
前回は売り上げの予想と来期売り上げガイダンス予想の数字がドンピシャで当たった。
この数字は私が毎週末やっている「負けない勉強会」のスタンダードクラスで8月19日(日)に作った。
私の勉強会では毎週1銘柄を取り上げてエクセルで実際に手を動かしながら、みんなで一緒に業績モデルを作るのでこういう予想が自分でできるようになる。メンバーの予想を発表する場も設けているのでやる気のある人はどんどん上達する。
興味のある人はぜひ参加してみて。今すぐ参加すればNVDAのモデルが決算前にダウンロードできます。詳しくはこちらの記事参照。
予想を作った時はかなり強気に作ったつもりだったんだけど、たったの1週間でコンセンサス売り上げ予想も来期のガイダンス予想もかなり上がってきてしまった。
今では私のガイダンス予想はコンセンサスに近い。
シナリオとしては:
コンセンサスとは「超えてなんぼ」なので、もしかすると来期売り上げガイダンスは$32.5billionか$33billion出してくるかもしれない。それが出せれば株は上げると思う。
逆に私やコンセンサスの予想通り、ガイダンスが$32billionだった場合、株価の動きが見ものだ。その場合、おそらく株はフラットだと思うけど、もしそれで例えば株価が閉場後5%くらい下がったりしたら木曜日に一気に売られる可能性もある。
ガイダンスが$32billion以下の可能性は低いと思う。でももし$32billion以下だったら株は2桁下がると思う。
どんな数字が出て、どんな株の動きが出たら売りなのか、買いなのか、は結果と株の動きを見てから、毎週土曜の投資ミーティング(スペース)で解説する予定。
鯨たちの動向
株用語で大口の機関投資家でアクティブに株を運用し、その売り買いで株価が動いてしまうような投資家のことを鯨 (Whale)と呼ぶ。
鯨たちはSecurity & Exchange Commission(SEC)米国証券取引委員会に四半期ごとにその期間末に持っている株の銘柄と株数を期末後、45日以内に報告する義務がある。
これは8月15日に出てきた2Qのデータを私がエクセルにまとめたもの。1Q のデータも前回の投稿に載せているので比べてみると面白いと思う。
1Qも2Qも有名なヘッジファンドマネージャーでNVDA株を持っているファンドのほとんどがNVDA株を売っている。
伝説の投資家、Druckenmillerはついにほぼゼロまで売ってしまった。4Q23のデータではポートフォリオの9%以上がNVDAだったのに。
しかも、これらのほとんどのファンドがNVDAの株を最初に買ったタイミングは4Q22 か1Q23だ。つまり買った時のタイミングは最高だったという事。
となれば、彼らがNVDA株を今年に入って売っているという事実は軽視するべきではないだろう。
でもこれだけ鯨たちが株を売っているのに、株価は上がっているのも面白い。たくさんの大株主がすでに売った後、というのはすでにだいぶ売り手が減った、とも解釈できる。
これだけ売られているのに株が上がる、というのはNVDA株の底堅さを感じさせるのだ。
私の動向
私は先日投稿したように、8月5日に「この下げはフラッシュクラッシュに近いな」と思ったので、NVDAとMETAの株を買い足した。NVDAは$100以下で買えた。
実際、鯨たちもあの日に買い戻していてもおかしくないと思う。でも鯨たちはもし買い戻したとしてももうすでに売っているかもしれない。その場合、SECの申告には全く出てこない。
SECの申告は期末のスナップショットだけでしかないので、期間内に買って売った場合は申告されないのだ。
私はこのままNVDAの株はもったまま28日を迎える。8月5日に買ってしまっているので9月5日まではたとえ売りたくても売れないし(私のヘッジファンドのルール)。
28日の結果と株の動きを踏まえた上で、9月5日以降どうするか、土曜の投資ミーティングでお話ししようと思うので乞うご期待!
それから28日はCrowd Strike(CRWD)の決算発表もある。こちらもワクワクドキドキ楽しみだ。
CRWDも株は持っていて、負けない勉強会でも取り上げたし、7月の事故のことについていろいろ調べているので、決算前にできればCRWDのプレビューも書こうかと思う(時間なくて書けないかもしれないけど)。なので期待せずに待ってて!