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米株相場が一番恐るべきものはこれかも

私が今周りの人達全員に視聴を勧めてる動画がある。シカゴ大とコロンビア大の教授が登壇したAll-In Podcastの対談だ。目から鱗。最近気になって勉強しているElliot Wave説のアナリスト達は近い将来長期にわたるベア相場が来ると予言しているが、もし彼らが正しいとしたら原因はこれかもしれない。

今の投資家は地政学リスクに対する感度が鈍くなっている

地政学リスクはロシアがウクライナに侵攻して以来もうずっと高止まりしているのに、株価は上がり続けているので、最近は株投資家達は地政学リスクに鈍感になりつつある。

地政学リスクというのはもともと予測が難しいし、それを恐れてブル相場を逃した投資家が多いので、「ああ、またか。今回もどうせ大した事ないだろ」と、いわゆるオオカミ少年的な状況になりつつある。

だから先週と今週、中東の状況がかなり深刻化しているにもかかわらず、株価にはほとんど影響が出ていない。

かくいう私も「地政学リスクなんて気にしてたら投資できないよ」と正直思っている。

でもこのように悪いニュースに慣れすぎて悪いニュースに反応しないような、投資家達の認知に歪みがある時は要注意であることが多いとも思う。

この動画を見て頭をガツンと殴られた

そんな認知の歪みにどっぷりと浸かっていた私が、約2週間前に初めて見て以来、私はこの動画をすでに3回見てる。そのくらいこの動画には衝撃を受けた。

この動画は皆さんもぜひ見ていただきたい。できれば英語で聞いて欲しいけど、英語が苦手な方はこれはYouTubeなので日本語の字幕が出せるはずだ。

このお二方はシカゴ大学教授のJohn Mearsheimer氏とコロンビア大学教授の Jeffrey Sachs氏。地政学と外交の専門家だ。

お二人の意見は概ね一致しているのだが、その意見は今までのメディアで聞いてきた話と全く違う。それでいて地政学に詳しくない人でも簡単に理解できる容易な言葉で理路整然と語ってくれている。

目から鱗というより、頭をガツンと殴られたような気がした。地政学リスクなんて無視で大丈夫、核戦争なんて起きっこないじゃん、とお花畑でルンルンしていた能天気を反省している。

以下、私がこの動画から受け取った大事なメッセージを解説する。

アメリカはいい奴じゃない "We are not nice guys"

メインのメッセージはアメリカはいい奴ではない、ということ。

アメリカはいわゆるAdministrative StateまたはDeep Stateと呼ばれる影の権力者達と彼らの富と権力を保証するMilitary Industrial Complex(軍事産業)に牛耳られている。

彼らの目的は常に世界のどこかで紛争があり、敵がいること。

世界が平和になってしまうと彼らの存在意義や有り難みが薄れ、パワーとコントロールが思うように効かなくなる。

よく日本のドラマとかで公安のお偉いさん達がテロリストの裏で糸を引き、国民を怖がらせ、もっと国民をコントールできるように公安や警察の権力を増幅させようとしてる、みたいなストーリーがあるけど、まさにあれの世界レベル。

信じられないような話だし、権力者や権力者にコントロールされているメディアは陰謀論とばかにして取り上げないけど、この動画を見ると実際は陰謀論が真実なのかもと思うようになる。

「ウクライナを助ける」は完全なる詭弁

例えば、ウクライナの戦争はウクライナを助けるためにやっているのではない。

「独裁者プーチンに侵略された罪なきウクライナを助けよう!」というのはアメリカ国民を同意させるための嘘。いわゆる日本の戦争の時の大義名分。

実際、戦争が始まる前、ウクライナはロシアと平和条約をサインすることでほぼ合意していたらしい。その合意にはNATOには永遠に加盟しないという条項が含まれていた。

その条約にサインをするな、ロシアと戦え。アメリカが助けてやるから絶対に勝てる。とゼレンスキーをそそのかしたのはバイデン、もとい、バイデンを裏で操るAdministrative State。

その条約にサインしていれば、あんなにたくさんのウクライナ人は死ななくて済んだし、ウクライナの国も破壊される必要はなかったのに。

アメリカはプーチンを失脚させたかった、ロシアの軍事備蓄を消耗させたかった、アメリカの戦争機器を売りたかった、ロシアを世界の悪者に仕立てることでアメリカのパワーを誇示したかった、などの思惑があったらしい。

ロシアは緩衝地帯が欲しいだけ

実際、ロシアは世界侵略なんて企てていないし戦争をしたいとも思っていないと彼らは言う。ただ、アメリカの軍隊がロシアの国境に基地を作るのを防ぎたいだけ。

例えば、メキシコがロシアや中国と同盟を結び、ロシアや中国がメキシコに軍事基地を作ることになったらアメリカは猛反対するだろう。それと同じ。

1990年、西ドイツと東ドイツが一つになった時に、アメリカとNATOのメンバー国はNATOは東には1ミリも拡大しない NATO would not expand "one inch to the east"とロシアに口約束をした。

でも1999年にポーランド、ハンガリー、チェコ共和国がNATOに加盟し口約束は破られた。

上の画像は1990年ソビエト連邦が崩壊する前。下の画像は2022年。SwedenとFinlandは2022年のロシアのウクライナ侵攻を受けてNATO加盟を申請。Finlandは2023年4月に、Swedenは2024年3月に加盟が認められた。

この地図を見るとロシアが怒るのも無理はない、と思ってしまう。

ヤクザに喩えると分かりやすい

アメリカとロシアをヤクザの組に喩えてみよう(これは私の喩えで教授達の話ではない)。

違うヤクザの組同士の島が隣り合わせだと、抗争で殺し合いになりかねないので、無駄な抗争を防ぐためにどちらの組にも属さない中立の地域を間に作っておこう、というのは道理に合う。

一度は殺し合いになりかけた組同士が、平和を守るために、お互いに中立の地域を作ることで同意したのに、一つの組の方が中立地域を勝手に自分の島に引き込もうとしたら、それはもう一つの組が怒るだろう。

他の組に引き込まれてしまう前に、中立地域にあの組に属さないことを明言させよう。それができないなら、引き込まれてしまう前に自分の島にしてしまおう。

これがロシアのウクライナ侵略の背景。つまり侵略を煽ったのは信じたくないけどアメリカだ。

私はこの話はかなり真実に近いのではないかと思った。

核戦争のリスクはリアル

ウクライナ戦争が始まって2年半。状況は泥沼化している。今更後には引けないゼレンスキーはなんとかアメリカにロシアを攻撃させようとしている。

最近になってウクライナは自国の防御だけでなく、ロシアの都市や軍事関連施設を攻撃している。ゼレンスキーはもっとロシアを攻撃できるように中距離ミサイルを貸してくれとアメリカに要求している。

それに対してロシアはウクライナがこれ以上ロシアを攻撃したら核を使うことを辞さない、と通告した。

ロシアがウクライナに核を使ったらアメリカはおそらく対ロシア戦に巻き込まれる。それがゼレンスキーの狙いであり、願いらしい。

アメリカとロシアが全面戦争になればおそらくアメリカが勝つ。そうなればウクライナはアメリカと一緒に勝利できる。それが本当ならなんと浅はかな考え。

もし核戦争になってしまったら誰も勝たない。世界人類全員負けだ。

イスラエルも同じ。イスラエルはアメリカにイランと全面戦争してイランをぶっ潰して欲しい。そうすればイスラエルの中東での立ち位置は俄然優位になる。

アメリカがすべきはロシアとイランと手を組むこと

これは最もカウンターイントゥイティブだけど、なるほど、と手を打ってしまう意見だった。

彼らが言うには中国とロシアだったら中国の方がずっとアメリカに対しての脅威だ。だから、中国の権力拡大を防ぐためにもロシアを味方につけるべきだ。

それなのに、アメリカはロシアと戦って、ロシアと中国が仲良くなるように仕向けている。アホとしか言いようがない "The stupidest foreign policy ever."

アメリカが目指すべき外交はまず、核戦争を何があっても防ぐこと。そして世界のSuper Power達が隣り合わせにならないように適度な距離を保ち、牽制し合い、バランスを保ち、世界平和を目指すこと。

中東の平和を目指すならイスラムの国々を民主主義に変えさせるなんて馬鹿で無意味なことはせず、イスラエルに過去に同意した国境線をもとにパレスチナとイスラエルが二つの別々の国として存続することを受け入れさえるべき。

イスラエルはそれに反対しているが、これは国際的に同意された条約に基づいたことなのだから、それを施行するだけの話。それが施行されないのはイランのせいでもなく、パレスチナのせいでもなく、中国やロシアのせいでもなく、アメリカのせいだ、と教授は言っている。

つまり、アメリカは中東の平和を目指していない、と結果づけられる。

アメリカの影の権力者達は世界に悪者が常に存在し、地政学テンションが不安定で、世界中がアメリカの力を頼る状況を維持し、アメリカの武器を売り続けたいのだ。

民主党も共和党もグル

この影の権力者達は民主党にも共和党にもどっぷりと深いパイプを作り上げている。

Bush父もBush息子も完全にDeep Stateの仲間だった。オバマ、ヒラリー、バイデン、みんなグルだ。

民主党は完全に彼らに牛耳られているので、彼らがコントロールできる、あるいは彼らの仲間である候補者しか大統領に立候補できない。

だから、彼らがコントロールできないRobert Kennedy Jrは予備選挙に出馬させてもらえなかったのだ。

そしてBush息子はいまだにトランプ支持を表明していないし、BushのVPだったCheney はカマラ支持を表明した。

共和党もかつては民主党より酷い形で軍事産業に牛耳られてきたが、自分の財力、知名度、カリスマがあるトランプがなんと民主党アウトサイダーでありながら、党の指名を勝ち取ってしまった。これは言うなれば共和党内のクーデターだったのだ。

民主党サイドはRFK Jr.がアウトサイダー候補になれるかもしれなかったが、やはり、財力、知名度、カリスマのすべてのエリアでトランプほど強力ではなかったのでクーデターに失敗したのだ。

トランプがクーデターに成功したのはまさに奇跡のようなことだった。

新しい戦争を始めなかったのはトランプだけ

そして1980年以降、大統領在任中に新たな戦争を始めなかったのはトランプだけだ。レーガン、ブッシュ父、クリントン、ブッシュ息子、オバマ、バイデン、全員新しい戦争を始めている。

トランプが勝ったらウクライナ戦争はすぐに終わらせる、とトランプは言っている。

その事実だけでもトランプが勝った方がいいと私は思う。

大統領は理想主義者より現実主義者がいい

大統領はネゴシエイターであるべきだと私は思う。国内のことでも外交でもどちらかがすべて思い通りになる、というのはほぼあり得ない。

お互いの主張をすり合わせ、お互いが譲渡できる落とし所を探して合意に持ち込む。そのためには自分の意にそぐわなくても妥協できる、現実主義であることが必要になる。理想主義であることは足枷になる。

トランプは北朝鮮のキム・ジョンウンとも仲良くした。北朝鮮とのテンションを下げることがアメリカの利益になると判断したからだ。北朝鮮は敵だから外交はしない!みたいな理想主義は国益の概念では害だと思う。

中東の平和はアメリカの経済ブームにつながると思う。ロシアとの冷戦が終わってアメリカの経済が90年台から急成長したのと同じだ。

そのためにはイランと手を組むことも視野に入れるべきだ。

文化が違う、意見が合わない、政治が間違っている、イランのリーダーを親米派に置き換えてイランを民主主義にする、などの理想主義に囚われていてはアメリカ国益に対しては害だ。

必要なら敵とも友好を深め、落とし所を模索し、お互いに有利になる条約を締結する。その柔軟性が大事だと思う。

核戦争を防ぐことが何よりも最優先

核戦争になったら全員が負けだ。私たちが知っている生活は全て様変わりする。株投資とか呑気なことを言っている場合ではない。

平和ボケし、認知が歪んだ先進国のリーダー達が最も恐るべきは核戦争。

あり得ないとは思う。でも思ったよりもずっと可能性のあることなのだな、とこの動画を見て再認識した。

トランプが勝ては核戦争のリスクは下がりそうなので、それに期待したい。

私たちの子供達や彼らの子供達にも安全な地球を残してあげたい。なんのための政治なのか?外交なのか?目先のことに囚われずに、一番大事なことを今一度全国民が再確認すべきだろう。




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