米株ブル・ベアシナリオの考察
私は今ベアではない。ただ去年の11月、24年のターゲットは5200と言ったらそれは3月に達成。そこで24年のどこかで5600行くと言ったら今日5600をあっさりと超えてしまった。もしかして24年の分もう上げちゃった?とは思う。そこで今日はブル・ベアシナリオを考察してみる。
ここから先のアップサイドは限定的?
2023年の10月に「きっともっと下がるけど、そろそろ買い始めてもいいと思う」と投稿したら(偶然だけど)ほぼその日が底だった。
今ちょうどその逆の印象がしている「きっともっと上がるけどそろそろ少し売ってもいいと思う」
私は今、ベアではない。株はおそらくもっと上がる。でもここから先の1年くらいのアップサイドは今までの上げに比べてかなり限定的だとも思うのだ。
リスクとリワードの関係性がちょっと釣り合わない。リスクが増えたと言うよりはリワードがあまり見込めない感じがする。
だからコアの積立はそのままで、サテライトで裁量で買ってある銘柄で含み損だったり、あまり成績が良くない銘柄はそろそろ売って少し整理しようかなと思ってる。
でも勝ち馬は売らない。
市場のコンセンサス
ただ難しいのはCNBCに出てくる投資家達の9割近くが5-10%の調整を期待してるところ。
皆が期待しているということはその調整はおそらく来ない。株相場とはそうゆうもの。コンセンサスの期待通りにはほぼならない。
この混沌とする相場の中で、私が今、唯一はっきりと思っている事は、8月9月辺りに10%くらいの調整があって買い場が来る。その後、11月にトランプが勝って年末は相場が上げて23年終了、という大多数の人達が描いているシナリオにはきっとならないだろうという事。
ここ数日、色々なストラテジストやアナリストの意見を聞いてみたが、ほとんどみんな口を揃えて同じ事を言ってる。それは
9月にFEDは利下げする
経済は減速しソフトランディング完成
相場は調整がそろそろ来る
調整が来たらそれは買い場
年末は小型株やバリュー株が伸び、裾野の広いラリーが来る
これが今のコンセンサス。これだけ意見が揃うとAnything But (それ以外ならなんでも)的な確率が上がると私は思う。
そこで今日はコンセンサスとは違う2つのシナリオを展開してみる。あなたはこの2つとコンセンサス、合計3つのシナリオのうち、どのシナリオが一番起こりそうだと思う?あるいは全く別のシナリオ?
答え合わせは1年後の来年の6月。
私のブルシナリオ
これは私の考えるブルシナリオで周りを見る限り、コンセンサスではない。
CPIは3%中盤から下がらない
経済は引き続き強い
よって利下げは今年はない
今年の調整は4月の5.9%でおしまい
金利が下がらないので小型株、新興国株、金融株や工業株は伸びない
伸びるのは業績が成長し、キャッシュフロー潤沢で借金の少ないメガキャップとAI・半導体関連株のみ
それらしか伸びないので資産はどんどん少数銘柄に集中する
メガキャップはウェイトが高いので指数は最高値を更新し続け、6000を超える
またメガキャップの一人勝ちシナリオになり機関投資家達は3年連続でアンダーパフォーム
6000を超えると言っているストラテジストは結構いるけど、みんな、利下げが始まり、小型株や金融株か伸びると言ってるので、そこがコンセンサスと違う。
私のベアシナリオ
明日出てくる6月のコア月次CPIが0.3%(予想は0.2%)
9月に利下げを織り込んでる株相場はこれを受けて下げる
利下げが遠のくので10年債の金利が上がる
金利高止まりで経済減速が進みスタグフレーションが話題になる
FEDは11月か12月に50bps、さらに25年初に100bpsの利下げに追い込まれる
そのせいでインフレ懸念が再燃する
株相場は10%以上下がって5000を割る
インフレ恐怖と逆資産効果のせいで経済がさらに停滞する
株相場はピークから20%下がってベア相場に突入
ブルシナリオの説明
ブルシナリオは要するに今年の状態がそのまま来年まで続く感じ。
今年は経済が減速し、利下げが始まり、小型株や新興国株が伸びる、と言うのが年初のコンセンサスだった。年初は6−7回の利下げが織り込まれていた。
エコノミストやストラテジスト達は今か今かと経済の減速を待ち構え、FEDの利下げを心待ちにしている。
つまり今の市場のコンセンサスは年初からあまり変わってないのだ。
そしてコンセンサスはまたしてもハズレ。
2024年はCPIが1月2月3月と3ヶ月連続で予想を上回り、経済も予想以上に強く、利下げはどんどん先送りになった。
小型株を買えー買えーといまだに言い続ける人達を見て、小型はまだ来ないだろうな、来るならこの人たちが諦めて売って忘れた頃だろうな、と思う。
教科書的にも、小型株は不況がきて体力がない会社達が軒並み潰れたあと、その中で生き残った少数精鋭達が経済回復の中で伸びるものだし、タイミング的にも今ではないだろう。
となると、この先1年も今のままでメガキャップとAI・半導体銘柄主導の相場になるんじゃないかなと私は思う。これが私のブルシナリオ。
ベアシナリオの説明
6月のCPIは私個人的には投資ミーティングでも言ったけど、上振れて0.3%が出るんじゃないかと勘繰ってる。
それは緻密な分析に基づいたものではなくて、あくまで原油が6月に凄く上がったから。
今年は原油が1月2月3月と連続して上がって、4月5月と下がり、6月にはまた上がった。その動きがCPIデータのトレンドとマッチしてる。
でも一通りリサーチを読んでみたけど、その関連を指摘してるアナリストは見当たらなかったので、あんまり関係ないのかもしれないけど。
さらに興味深いのはこちらのデータ。
S&P500 やQQQは最高値更新しているのに、このラリーに参加しているのはどんどん狭い一部の銘柄達に集中している。
それはこのCNN Fear & Greed Indexの中にある2つのチャートがExtreme Fearを指していることで良く分かる。
指数は最高値なのに、両方とも4月の底の数値より悪い数字を出してる。これはかなり珍しいと思う。
この上のチャートは新高値を付けた銘柄の数から新安値を付けた銘柄の数字を引いたもの。指数が最高値なのにこの数字がゼロに近いのはかなり異常。
下のチャートのフォーミュラはややこしいんだけど、簡単に言っちゃうと、上げた株の出来高と下げた株の出来高を比べたもの。このチャートが今年の1月をピークに上げ下げしながら下がっているのは相場には良くない兆候と解釈される。
これらを見ると「そろそろサテライト個別株は少し整理しようかな」と思ってしまうのだ。
でも調整が来る、来たら買いだ!って言ってる人が多すぎるので、ならば、ソフトランディングではなく一気にスタグフレーションのハードランディング、がこのベアシナリオ。
私の意見・結論
私も頭で考えるとコンセンサスになってしまう。
コンセンサスとは今あるデータを元に、過去の事例と比べ合わせて、一番論理的に筋の通ったシナリオがコンセンサスになるので、勉強すればするほど、考えはコンセンサスに近くなる。
でも実際は株相場や経済がコンセンサス通りに動いた試しがない。2023年の年初、大多数が不況が来ると心から信じてたのに不況は来なかった。
2024年の年初、メガキャップは停滞して伸びるのは小型株だ、と多くが言っていたのに、今年前半は全くその逆だった。
だから今日はあえてコンセンサスではないシナリオを考えてみた。
私はどれか選べと言われたら私のブルシナリオに1票。
正直、どうなるのか全く分からない。でもベアシナリオでも倒産の心配がなく、ブルシナリオでも強いのはメガキャップだ。となると私は引き続き、メガキャップ推しとなる。
だから、今、メガキャップが強いのかもしれない。となるとこの異常な歪みを解消するためには指数も下がらないとだめなのかもしれない。うーん。
事実は小説より奇なり。1年後の答え合わせが楽しみだ。これもまた投資の醍醐味。