横浜でミライの乗り物乗ってきたレポ
仕事で関東へ行き、移動日に時間を作って、横浜へ寄ってみた。
横浜駅のコインロッカーに荷物を預け、わざわざみなとみらい線で馬車道へ行って、そこから桜木町駅へ歩く。
少し蒸し暑く、でも気持ち良く晴れた、5月の終わり。
ここに以前来た時にはなかった「あるもの」が、私の目的だ。
ビルの谷間を行き交う繭。頭の上を音もなく掠め、濃い影を落としていく、あの乗り物。
日本初の都市型循環式ロープウェイ、YOKOHAMA AIR CABIN だ。
時は関東出発の一週間前に遡る。
実家にて親孝行をしていた折、もうすぐ関東に行く、という話をしたところ、父が妙に食い下がってきた。
「これに乗りたいんだが、コロナでなかなか行けなくてなー」
父のipadには、YOKOHAMA AIR CABINのトップページが表示されていた。
「なるほど、じゃあ私が代わりに乗ってくるわ」
私はすかさずスマホのカレンダーにメモを落とし、
羨ましがる父を尻目に、熊本くんだりからはるばる乗りに来た、というわけである。いえーい、いいだろー。
横浜はいい。古い歴史と新しい今がモザイク模様になっている街。ただ都会というだけでなく、日本の在り方を左右した運命が訪れた場所だ。
もちろん横浜も馬車道エリアも初めてではないが、何度来ても飽きない。もう少し時間があって涼しければ、一日中でも歩き回りたかった。
でも、そんな私でさえ、ここへ来るのはおよそ一年半ぶりで、その間にこんな立派な乗り物が出来てしまっていた。
時の流れよ……もうちょっと緩くていいんだぞ?
せっかくなので、往復チケットにプラスして観覧車のチケットも購入。
大人なのでね! ドカンと買いました! うひひ!
ロープウェイは、我が地元にもお山用のものがあったが、火山ガスや噴火活動で傷めつけられ、撤去され、なくなってしまった。いちばん最近乗ったロープウェイは、箱根のものが最後だったと思う。あれも火山の活動エリアのそばを通る。
ロープウェイの車窓の景色は迫力がある。どこで乗ってもぞくぞくと震えがせりあがるほどに感激する。
キャビンは一組につき1つが割り当てられるため、一人で来た私はキャビン独り占めだ。思う存分、はしゃげるぞ。
並んで待つこと10分ほどで、キャビン乗り場へたどり着く。
ピカピカに光る繭が扉を開いて、しずしずと進む。
自分の前にやってくるのが待ちきれなくて、係員さんの注意もそこそこに飛び込んだ。おぎょうぎわるい。
このロープウェイは、桜木町駅の乗り場から汽車道に並走するルートで運河パーク駅へと向かう。
キャビンの車窓には、横浜の古い歴史の痕跡も、現代の繁栄を支えるにぎわいも、等しく並び立っている。このこと自体が、すばらしい価値じゃないか。
日本で最初の鉄道が通った道の向こうに大観覧車がそびえ、過去と今が同じ景色におさまる。
胸が熱くなる光景だった。
いや、過去と今、だけじゃない。
この景色の中には、他ならぬこれ、エアキャビンも含まれている。
鳥にでもならないと見ることが叶わなかった景色を、片道たった1000円で見られることを、『未来』と呼ばずになんと呼ぶ。
過去と今、そして、ここにある『未来』のすべてが、このキャビンの外に広がり、中に詰まっているのだ。
あの汽車道を鉄道が行き交っていた頃も、きっとこんな晴れの日があっただろうなぁ。
そう思いながら、空を撮ってみた。
ひとりだからはしゃげるぞ、とか思ってたけど、なんか全然、そんなんじゃない。ただ、歴史の厚みに巻き込まれながら、静かに、静かに、空を漂っていただけだった。
YOKOHAMA AIR CABINは、横浜の過去と今、そして『未来』を感じることができる、唯一無二の乗り物だ。
ただの交通手段にとどまらず、横浜の歴史の流れをこの目にその身に焼き付けて、自分も横浜の歴史のひとかけらになれる。
この無機質にうつくしい繭が、あたらしい横浜のこれからをどう行き渡っていくか、これからも楽しみにしている。
大観覧車は待ち時間が少なかったので、透明ゴンドラに乗ってみた。
実は昼間に透明ゴンドラに乗るのは初めて。
せっかくなので、
「今これが止まって落ちたらどうなるかな……どうしよう……」
とコワイ想像をしながら楽しんだよ!
ときに私大昔にヘリコプター遊覧のお仕事してたんですけどね、ヘリは速度とか傾きとか体に感じるから、その場所に自分を連れてきた力のはたらき、というものに納得できて、だから高度上がっても角度変わっても怖くないんですよ。(これは飛行機も同じ。)
観覧車やロープウェイは、体に速度や重力を感じにくいから、微妙にコワイ……これ、私だけ?
観覧車からの眺め、遠くまで良く見えて、めっちゃよかった。これもこれで、堪能しました。
ちなみにウロウロ動き回っている間にまた桜木町駅のほうへ来てしまって、行きと同じルートでもう一回ロープウェイに乗っちゃったのは、ここだけの話です。
ヨコハマエアキャビンはいいぞ。関東に来たらぜひ。
特に、横浜なんて散々遊んだからなぁ、という方には、新しい驚きをもたらすと思います。
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