
【LUNA SEA】セルフカヴァ―アルバム『STYLE』全曲レビュー②G.③HURT④RA-SE-N⑤LUV U
◆『MOTHER』全曲レビューはこちらから
◆【LUNA SEA】セルフカヴァ―アルバム『STYLE』全曲レビュー⓪『STYLE』はどのようなアルバムだったのか
◆【LUNA SEA】セルフカヴァ―アルバム『STYLE』全曲レビュー①WITH LOVE
*
続けて書いていきます。
◆G.
セルフカヴァーアルバム『STYLE』の先行MVとして、「G.」がYoutube公開されてから、もう一か月半の時間が経過した。
MV公開当日、TwitterのTL上でSLAVEの方たちから悲鳴のようなどよめきが起きたことが記憶に新しい。
あまりにロックバンドとして、正々堂々とした凄みのある現在のLUNASEAを正面から捉えた映像であること。
27年も前から熟知している曲であるはずの「G.」が、これほどまで鮮烈に2023年の自分に刺さってきて、息をすることも忘れて見入ってしまったこと。
今までの人生で、一本のMVでこれほど魂を奪われたことは経験がなかった。
アレンジも音量のバランスも原曲に忠実に、それこそ音の一つ一つまで熟知しているはずなのに。それを現在のLUNASEAが演るだけで、これほど心臓を握られて、息ができなくなるなんて、正直想像もしていなかった。
発表から一か月半が経過した今も、まだ私はこの映像を平常心で流し見することができない。何の気なく再生すると、釘づけにされて体中の神経が耳と目に集中して動けなくなってしまう。
比較して聴いてみると、音の鋭さで言えば、原曲のほうが尖っていた。
音と歌に丸みと重さを帯びた新しい「G.」は、一つ一つの音を分解することができないほど一体となってひとつの曲として結晶しているということを感じる。
正面から演奏を映すMVのカメラワークによる各シーンの音に即したクローズアップの効果も大きいだろう。
ワンシーンごとに息が止まって、結果、口を開けたまま見終わってしまうのだけど、毎回グッとくるシーンをスクショで紹介したい。好き。格好良すぎて死ぬ。





これ書くために「G.」のMVを繰り返し見てるんですけど、体感として心臓がもたないです。一秒ごとに音と映像に心臓を掴まれ続けています。
(格好いいなあ、LUNASEA……)(私の人生にLUNASEAを知れて良かった)と半泣きになってしまう。
収集つかないので、「G.」は以上とさせてください。好きすぎる。
◆HURT
満たされないなら 壊してしまえ すべてを
印象的な冒頭のワンフレーズで、暗さを帯びた重厚なイントロが意味を帯びる瞬間、わかっていても毎回ハッとしてしまう。
原曲はギター先導だった曲展開が、今回はベース先導に変化しているように感じる。
また、サビ前のJの叫び「3.2.1 Break」が原曲と違い中央に大きく配置されている。
覚悟のような冷静さを帯びたRYUICHIの歌に対比して、熱を帯びたJの叫びはサビ直前の導入として最高の呼び水になっていると感じる。
ギターソロ前のドラムへのフォーカスも本当に好い。
ギターソロも繊細で華やかながら、どこか寂し気で趣があってとても好い。
愛し愛された日々よ
とどかない光の向こう
たとえすべて失っても
◆RA-SE-N
ドラムとギターのみの導入。曲名の通りの丁寧なアルペジオが絡みながら上昇していく。
誰も知らない 僕の心
キミは言った 「冷たすぎる」
背景色のように挿入されるベース。
間奏で初めて鳴らされる鮮やかな光のようなSUGIZOのギター。
悲しみの風が鐘の音を鳴らす
悲しみと諦念を帯びた独白のような歌が、突如感情の色に染まる。
その背景でエスカレートする様を描くようなドラム。
AH もっと傷ついても もっと深く傷ついても
瓦礫に咲く花のようにありのままに果てる日まで
和音を重ねて呼応するようなギター二台によるソロは珍しい。
録音としては、原曲よりも全体的な重みが増して、落ち着きを全体に滲ませている感触がある。速度も少し遅くなっている気がする。
RYUICHIの歌い方が、演出的だった原曲に対し、諦念や悲しみを吐露する説得力が格段に増していると感じる。これが歌のうまさと言い切れるかはわからないけれど、現在のRYUICHIの歌のほうが、私は格好いいと思う。
◆LUV U
私と友人の間で通称「Jさん(ベースライン)が格好いい曲」と呼ばれる曲です。
何もかも許されれば
キミよ 自由を捨ててくれないか
キミが欲しい 溶けてゆきたい
時よ止まれ 永遠が欲しい
LUNASEAで一番のラブソングはこれなんではないかと思う。
そもそもは『STYLE』先行シングル「DESIRE」のカップリングだった曲だ。
DESIREも情熱的なラブソングながら、LUV Uのほうがロマンチックであると思う。
繊細に重ねられるシンバルとベースラインを息遣いと鼓動に錯覚する。
珍しくきれいに左右に振り分けられたギターが呼応するように続いていく。
ギターソロも他曲のような華やかさ、鮮やかさというよりも、手の届かない夜の遠景に滲む光のような淋しさを帯びた音像に思える。
キミが欲しい 君のすべてが
*
続きます