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【SUPERCAR】2000年頃、音楽好きが総じて心臓を掴まれていたバンド

2000年頃に、同世代の音楽好きが総じて心臓を掴まれていたセンスが良すぎるバンドがSUPERCARでした。

2000年頃は、DTM(コンピューター打ち込み音楽)黎明期で、エレクトロニカやテクノが流行っていたという地盤もあるのですが、ノイジーなギターを主軸にしたロックバンドがこれほどセンスがよく美しい音像を描いて見せたということに、魔法をかけられたように憧れることしかできなかったことを記憶しています。


◆1曲選ぶなら

STORYWRITER

迷ったんですが、これ。
MVの映像と、鼓動のような音、一瞬の光のようなシンバル、波動のように体を横切るギター、そこから一気にドライブする宇宙に放り出される無重力感、手足を伸ばしても吸い込まれて行く重力、剥がされて行く衣服、周囲を飛んでいく隕石たちなど、魂を抜かれたように見惚れてしまいます。

高い高い空と、目くるめく色を変えて飛んでいく雲の層、全裸になって無防備な自分。

これを一曲通して見てもらえたら、現実の自分の周囲を飛んでいく万事から、魂を一瞬切り離せるんじゃないかと思います。


◆代表曲たち

AOHARUYOUTH

中期はロックバンドという一面の傍らで、エレクトロニカの面が強まった時期でもありました。
静かに空気を震わせるような響き、水彩絵の具を滲ませるような世界の描き方に、淡々とした声が乗って、ひとり暗い部屋の中ヘッドホンで聴くと、深呼吸をしているような世界の遮断を感じます。

重なる声が遠くへ響く「果てには」の部分は、直前からのチリチリした焦燥の音を纏いながら、どこまでも透明に遠く広がる光のように思えます。

YUMEGIWA LAST BOY

今聞くと少しレトロに思える打ち込みが、シンプルな音の構成に

夢際のラストボーイ 永遠なる無限 触れていたい無限
夢際のラストボーイ 永遠なる無限 揺れていたい無限
崇いサポートの礼に 崇いサポートを礼に 崇い未来への礼に

という言葉を乗せるのが天才的過ぎる。重ねられるミキさんの澄んだ声も美しい。
波紋の中の幻みたいな曲だと思います。
この曲がついていなければ、この詞はこんなに胸に届かないと思う。

Strobolights

長らく歌詞を(何言ってるんだろう?)と思いながら気にせず聴いてたんですが
Youtubeで乗ってる歌詞に二度見しました。

繰り返される秩序みたいなメロディーラインに、淡々と乗せられる声から

今、愛の灯のライト すべての日々が
今、愛の灯のライト すべてのひとが
今、愛の灯のライト すべての綺麗が
今、愛の灯のライト すべてのことが
今、愛の灯のライト “すべて”の意味が
今、愛の灯のライト 今、愛の灯のライト

と広がっていって、alrightに収束していくところまでをみていると本当に魔法にしか見えません。

LAST SCENE

この動画のコメントに「自分の葬式で流してほしい」というものがあり
秀逸だなあと思ったことを憶えています。本当にそんな感じ。
人生全部が長い夢だったような。
うとうとするような甘い音像で、まだ半分寝ているような暖かさで

静かに 静かに ただ静かに 夢を見ている

と言えるような人生だといいなと思います。
それと、声の質が本当に好い。

Lucky

デビュー間もない頃の、ロックバンド色が強かった時期のバンドのMVです。
本人たちの演奏シーンを出しているMVが少ないので貴重だと思います。
当時20歳そこそこのバンドが、これだけの幻を描けることがすごいと思う。本当に。

My Girl

愛の歌が 愛を歌うだけで間に合うなら
マイガール マイガール そのままでいよう
マイガール マイガール そう歌えるように
マイガール マイガール すぐそばにいよう
今はまだそう歌えるよ


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