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【中村一義】「僕は死ぬように生きていたくはない。」という決意と祝福

今日は中村一義です。
2000年頃に、友人が好きで貸してくれたCD『ERA』がとても良くて、
ずっと聴いていたのがきっかけで知りました。

聴きなおしてみて、声と詞に、あまりに素直な祝福があることに改めて驚きました。
中村一義の曲のワンフレーズを、
知っている人生と、知らない人生と、
少し違ったものに見えて来るんじゃないかと思います。


◆中村一義とは

100sのバンドメンバーとの出会いまでは、一部のゲストミュージシャンを除いて、ほぼ全ての楽器を自分で演奏していた。自室[9]を中心にレコーディングを行うことから、当時、日本における宅録アーティストのはしりとして祭り上げられる機会も多かった。

◆中村一義を知らない人に1曲だけ薦めるなら

キャノンボール

僕は死ぬように生きていたくはない。
そこで愛が待つゆえに。

この二つの力強い決意と祝福だけでも、受け取ってもらえたらと思います。

◆代表曲たち

 君ノ声

 君の眼に映る僕を、僕は知れない。
そう、だから、君に会うのは、自分と会うみたい。
僕の眼に映る君を、君は知れない。
ねぇ、だから、いつだって、僕だって、君だって、
そう変わりはない。

いろんな声が広がる、この街にさ、
君の声が聞こえてくる。
出会う人は、その声かえす鏡のように。
だから、僕はうたえる、うたえるから…。 

個人的に印象が強いのはこの曲。
素朴で、素直で、慎重で、中村一義のイメージはこれです。
とても主観的ながら、目の前の「君」にむけた存在の肯定を通して
世界に向けての祝福まで内包しているような気がします。 

1,2,3

上には今も変わらずにある、排気の層が、
視界、ずっと、ずっと、ずっと、ボヤかしてさ。
ここは今も変わらない口論が、
視界、ずっと、ずっと、ずっと、狭くしてさ。

そんなねぇ、この先で、
出会う感動も、また、あるとして…、そう!

1, 急坂滑って、
1, 2, 確かめたいんだ。
1, 2, 3, 街のほうへ、
1, 2, 3, 4,真ん中まで。
このスピードからして、今日を越えれば、
君まで響きそう。

かき鳴らされるギターの強さにも
サビでのカウントアップでも、聴いてるこちらがエネルギーをもらえる曲。
全てを肯定して、前に向いて、力強く進んでいく気になります。

ショートホープ

「つまらねぇ」。そんな気分に呑まれちゃって、
つまんねぇヤローになんないで。

「変わらねぇ」。そればっか、まだ言うだけで、
君も変わらないんだねぇ。まぁ、こっち向いて、

あれがダメだ、これがダメだ、ばっかだったら、もうホント、
オレの全て、今の全て、カラッポさ。

飛び込んで行こうよ、その手をかして。
飛び込んで行こうよ、見えるから。

これ、何の気なく聴いて、毎度感動してしまうんですが、そんなことないですか。
言葉の表面以上に、歌になった言葉の強さ。
「君の奥の本当の声、聞かせてよ」
「飛び込んで行こうよ、その手を貸して」
「この一瞬が永遠というものだから」
人生ってこれだけの話だなって、思います。

セブンスター

見たい、見たい、見たい、見たい。
無茶な言い分だって? もう、いい。
本当の冒険を、見たい、見たい、見たい。
いたい、いたい、いたい、いたい?
そりゃ、そうだよ、当然、痛い。
心に本当でいたい…、約束だもんな。

素朴で素直な気持ちの結晶のような歌だと思います。
字面で歌詞を読むより、歌を聞く方が深く届く稀有な歌。

ジュビリー

真っすぐに背筋を正そうぜ。
病んだビール、開け放って。
すんげえ泥臭い日々にさ、ビート入れ、
街中にバラまこうぜ。

日々。
(祝え! 祝え! おぉ、祝え!)

そう、君ん中に溢れ出す世界に、決して消えない場所が。
それに光あて、赤く染め返せ! 君に出会いたいから。

「真っすぐに背筋を正そうぜ。」
「さぁ、流れ変えてやれ。」
「まぁ、サイズ合った服、着ようって。」
「息を吸え(真っすぐに)、息を吸え(今すぐに)、声を出せ。」
歌詞に散りばめられたリラックスとエンパワーメントな
言葉たちが耳に届くと、ハッと我に返るような気持ちになります。
人生を強くしてくれるお守りのような歌。


◆私は『ERA』がめちゃくちゃ好きです

ゲルニカ

真っ白と黒のゲルニカに、たくさん色を塗れたら。目の前に。
真っ白と黒のゲルニカに、たくさん色を見たいから。

あの人は今、捨てられた犬を焼いてる。
誰であれ独裁者になれる、その片隅で。

悲しく凄惨な歌詞の反面で、とても美しい歌だと思います。

グレゴリオ

この目に、その目に、
この手や、その手に、
そうだ、すべてはある。

歌詞、この三行だけなのですが、潔すぎませんか。

ハレルヤ

あの雑草も、雨浴びて、やがて祝える日があるとして。
傷、歓びも、明日の夢、ふわっと、みんな大空を舞うとして。

舞い上がれ、さぁ、上がれ、
舞い上がれ、願いを言え。

始まりはあった、なら歩きたいんだ、そう、最後まで。
なんだって、湧いてくる感情が、変えてゆくんだ。
この先の道を行こう、行こう、行こう。

晴れ、晴れるんだ、
そう明日は晴れ、ハレルヤ。

本当に祝福の歌。
「舞い上がれ、さぁ、上がれ、」
「この先の道を行こう、行こう、行こう。」のところが本当に良い。
心細くなることがあったとして、この歌は一生味方で居てくれます。

素晴らしき世界

犯罪者であっても、スヤスヤ眠る、
素晴らしき世界だね。

クロだったものも、シロに化かす、ホント
素晴らしき世界だね。

忌わしき世界だね

さようなら。ここで降ろしてくれ。
たださ、僕はこの両足でね、これで…、
歩きたいんだ…、わかるかなぁ。

「忌まわしい世界」と言っていても
自分の両足で歩く価値のある世界、と再定義しているところが本当に尊い。


◆近年の曲たち

ごめんなさい、ずっと追えていたわけではないのですが。
これをきっかけに聴けていない所を追いかけて行こうと思います。

愛にしたわ。

ねぇ、愛にしたわ。ねぇ、会いに行くわ。
ケーキ、全部は無理かも。今日は、いっこ。
愛を吹いた。ねぇ、愛は飛んだ。
この、暗い部屋の向こう。

この曲めちゃくちゃ好きです。
なんて愛らしい曲なんだろう。
若い頃の気が張っていた感じは抜けて、柔らかくなった素直なままの祝福。

春になれば

春になれば 春になればもう
つまらないウソを みんな吹き飛ばすんだろ?
ここに風を呼んで それだけ訊かせて
春になれば 春になればもう
涙の数よりも笑いたいんだろ?
二人風の中で 桜はいっぱい 目いっぱい

これ2024年の新曲なんですね。
青春期を支えてくれた中村一義が、2025年現在も音楽を続けていることが
すごくうれしい、というのが正直な感想です。

今の季節にちょうどぴったりなタイミングでこの曲を知れたこと
本当に良かったなと思います。
「春になれば」と思いながら、しばらく聴き続けようと思います。

◆公式とか


◆記事とか


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