
【LUNASEA】LUNATIC TOKYO 2025ライブレポート_2025/2/23
SE The Cureしばり
画面中央にLUNASEAロゴ
開演予定を過ぎた17:06に手拍子が始まる。
ちょうどその時流れていたJUST LIKE HEAVENに合わせた形で手拍子が鳴り響き、曲の明るさ、華やかさからパーティーでも始まるような明るい雰囲気に場内が染まっていることがありがたく感じられる。
17:12暗転。
「今夜、LUNASEAを終幕します」というかつてのRYUICHIの映像に、周囲から息を呑む声が聞こえた。
「終幕」とされたLUNASEAの解散を、リアルタイムで見届けた人たちは、どれほどの失意と悲しみだったのだろうかと想像に難くない。
副題にされていた「覚悟の夜」というものの意味も示されないまま、2024年に35周年の史上最大規模のツアーで全国を回ってきたLUNASEAのツアーファイナルとしての「覚悟」が、もしかしたら過去の悲しみと重なるものではないかと心配している人も多くいたと思う。
ERA TO ERA(時代から時代へ)と題されたLUNASEA最大規模のツアーは41本に及び、参加できた毎回で、私は彼らLUNASEAの「誠実な生きざま」を見て、胸を打たれる思いをした。
ツアーの毎回のライブで「ここにいる全員を連れて、東京ドームに行くから」と語られていたことを思い出す。ずっと目標地点にされていた日が、やっと来たのだ。
過去のドーム公演の映像が流れ続ける。
「ある意味ここから始まること、いっぱいあるけどさ、みんな自分の目を凝らして、見て行ってください。いいですか」
画面では1995からのカウントアップ。2024で止まり、2025へ遷移。
XXXV ERA TO ERA THE FINAL EPISODE
LUNATIC TOKYO2025 黒服限定GIG のロゴの表示。
暗転。
「覚悟の夜。その光を掴む」
LUNASEAのライブの開幕になじみの曲となっているベートーベンのピアノ曲「月光」。
ドーム全体に光が差し、スクリーンに5人の姿が映し出されると、割れるような歓声が上がる。
5万人からの手拍子を背景に、ひとりひとりの歩く姿が映し出され、サブステージからメインステージへ。
メンバーが円陣を組むところで歓声が上がる。
映像では見たことがあったけれど、目の前の光景として目撃するのは初めてだと息を呑んだ。
耳に馴染んだ音。ツアーの中で何度も耳にした荘厳な音の気配。
イントロに合わせて、七色のレーザーが、ドームの中の空間を切り裂いていく。
夢のような、永遠みたいな景色に思えた。
① LOVELESS
Eins twei drei vierというカウントアップ。
ツアー中に何度も聴いた世界の始まり。
ドラムが加わるタイミングで、視界に光が溢れた。
中央の画面では新録版のMVが流れている。
「東京ドーム!」
サングラスをかけたRYUICHIが5万人に正々堂々と正面から向き合って、呼びかける。
その姿に、覚悟と、気迫と、凄みを覚える。
アコギを爪弾くINORAN、
ケルベロスと呼ばれる三つ首のギターを従えるSUGIZO。
ひとつひとつの耳馴染んだ音を、噛みしめる気持ちで聴く。
キミよ キミよ あなたよ
この世界を救って
ドラミングからサビに入るところで光。
まぶしくて見えないほどの光に包まれたサビの景色。
真矢のドラミングが抜群だ、と体が震えるのを感じる。
思考停止で、口を開けたまま手を差し伸べることしかできない。
目の前の光景の意味を、ひとつひとつの情報を整理などできないまま、そのすべてが集約される目の前に展開される光にあふれた希望の景色に、涙腺が緩むのを感じる。
息ができないまま、「今、目の前で起こっていることは歴史に残ることなんだ」ということが頭に過る。
雲が割れて光の柱が立つ映像が中央のスクリーンに。
ひとつになったドームの空間へ鋭く線を引くレーザーが、左右の画面に七色に映り込んでいる。
俯いたまま、黙々と真剣に演奏する楽器隊。
RYUICHIの出し惜しみのない声が伸びる。
数えきれないほどの腕がその姿に伸ばされる。
魔法の様に訪れてしまった曲の終わり。拍手。ブルーの光。緑。ピンクの光。
② G.
立て続けに演奏が始まったのは、1曲目「LOVELESS」と対になった「G.」。
「Oh, Please help me GOD」で目を覚ますような強さで花火が上がる。
白いレーザーが空間を裂く。息が止まる。
腕を掲げることしかできない。
これ以上ない程に鋭いのに、耳に全く痛くないギターの音が空間を切り裂いていく。
悠々と歩きだすSUGIZO。
INORANが前日と違い、ドレッドヘアになっていることに気付く。
瞬間毎に息が止まるのを感じながら、見届ける気持ちを新たにする。
溜息に乗せて夢を吐く 退屈な夜を塗り変えて
INORANがRYUICHIの背に寄り添って弾く。
Ah 突き刺さる この胸に
Ah キミとなら 汚れなき愛を誓えそうさ
Ah のところで光が溢れて客席の腕の波が視界を埋める。
噛みしめるように弾かれる音たちを、伸ばした腕でひとつひとつ確かめているようだ。
SUGIZOソロ、左右にヘドバンをして髪を揺らすJ。
コーラスするSUGIZO。客席を指さすINORAN。
音のブレが全然ない。
5万人を包むドームの大きさで一体感しかない演奏に耳を疑う。
Jのアウトロの「God help us」という叫びに客席がうなりのような声を重ねる。
目が覚めるような瞬間。手を掲げるSUGIZO。
暗転。様々な方向からメンバーの名を呼ぶ叫び声が響く。
ステージ中央にスポットが差して、その下に立つRYUICHIが前を向く。
「2025年2月23日、東京ドーム。お前ら、会いたかったぜ」
「ERA TO ERAグランドファイナルに俺たちは覚悟をもって、この場所を選びました。
今夜はこの命尽きるとも、お前たち全員の顔を覚えて帰ります。
東京ドーム、行けるかー!」
③ Dé jà vu
中央スクリーンで流れるMV。
ぶれのない音に溺れるように、客席が一瞬にして理性を飛ばす。
あなたさえ あなたまで わからなくなる程
あなたさえ あなたまで 心を忘れた
激しく揺れる腕の波。
サビのフレーズで客席へマイクを向け、応えるように客席は大きな歌声を返す。
その様を見渡しながら上手へ花道を歩くSUGIZO。
下手に伸びる花道へはINORANが歩を進める。
未来 過去 今 人々のドラマ シナリオはいつもdé jà vu
傷つく事を出来ないあなたが 繰り返す
「繰り返す」に合わせて円を描くように回される腕の波。
ツアーの中、全国いろんな場所で何度見た光景だろうと思い出す気持ちになる。
SUGIZOソロの鮮やかさと透明感。
「あなたさえ」の部分で自然発生した合唱になる客席。
その景色を確かめるように見回して、真剣な面持ちのメンバーたち。
「東京ドーム、全員の声を聞かせてくれ」
RYUICHIの求めに応じ、叫びが一層深く強くなる。
万雷の拍手と、幻が消えた瞬間に、不意に息が抜けた気がした。
④ DESIRE
サングラスを外したRYUICHIと、その背景のスクリーンに映されるMVの昔の姿が対比されるように見える。
交差してゆく白い光が、織物の様に模様を落とす。
丁寧に、迷いなく、存在するドラム。
視界と、空間の全てを支える存在だと思う。
空間を切り裂く鮮やかなリードギター。
激しく刻まれるベースと、黙々と世界の色を染め続けるようなカッティング。
それらの音は中央に位置するRYUICHIの歌と声に集約される世界になる。
俯き、世界を作る魔法に集中するようなメンバーたちの姿を、息を呑んで見る。
RYUICHIとSUGIZOが向かい合って、笑顔をこぼし、空気が少し緩む瞬間。
うなずきあってからの「DESIRE」のコーラスを1つのマイクで歌う姿。
気付かないうちに焚かれていたスモークで、足元が白くなっている。
触れるだけの 恋もした 夜を刻んだ
Shadows of my LUV
「シャドウズオブマイラーヴ」の合唱。
RYUICHIの声が深い。
激しさというものを、真剣に、丁寧に、描き切る声と演奏。
曲の終わりに恍惚感にも似た息切れを感じる。
拍手の中にかき鳴らされるギターが、空気の色を変える。
⑤ JESUS
立て続けに重ねられた「Jesus, Don’t you love me」の声。
叫び声に、空気の密度が濃くなるのを感じる。
「東京ドーム!」の煽りに、すごい歓声で答える客席。
ひとつひとつの曲を大切に、丁寧に確かめながら、歴史に刻み付けている時間だということを実感して震えを覚える。
解き放たれる瞬間を 心の何処か願っている
解き放たれる瞬間に 本当の意味がやって来るはず
サビでゴールドの強い光が視界に満ちる。まぶしくて、目を細めてしまう。
冷静に、丁寧に、描き続けられる曲の世界。
スクリーンには、煙の様なものがモノクロの画面でゆるやかに渦を巻いている。
音のブレが微塵もない。
客席も見渡す限りの全員が、目を奪われたまま手を差し伸べている。
Jのベースソロですごい歓声が上がる。
SUGIZOのソロは、RYUICHIと背中合わせになったまま。
JESUS 秒読みを始めて (あなたに)全ての嘘を消して欲しい
JESUS 罪が消えるなら (すべてを)今 輝きに変えてゆけ
(あなたに)を叫ぶ客席。音の中に自分の叫びが解けて消えていく現実に
呆然としたまま、理性が飛ぶのを感じる。
アウトロのリフ。画面に映る笑顔のJに歓声が上がる。
低く、存在感のある、Jの声で明快に歌われる「Jesus, don’t you love me?」のコーラスにRYUICHIも声を重ねていく。
赤い静けさの後で、SUGIZOのギターで世界が集約される。
光。ドラムの存在の偉大さ。
暗転する視界。
ステージの上に赤い光が差す。
RYUICHIがおもむろに話し始める。
「東京ドーム、気分はどうですか?
タイムリープの旅を一緒に続けてきたわけだけど、今日はそのファイナルにふさわしい日に、俺たちにしか作れないグランドファイナルを共に作りましょう。
昨夜もGLAYと盛り上がって、その天井をぶち抜いてみたいから、ついてきてください
2000年の扉を開けた曲。Next song GRAVITY」
⑥ GRAVITY
緑一色の光。
確かめるような演奏。
さよなら 揺れていた せつなくて ずっと
さよなら 君だけは 微笑んで ずっと
「さよなら」でピンク色の光が視界を照らす。
中央のスクリーンで流れるMV。
過去と向かい合う日なんだな、という実感が胸の奥に刺さる。
見回しながらも、丁寧に重ねられる音。
「せつなくて ずっと」で差し伸べられる手を見回すメンバーたち。
重なるSUGIZOのコーラス。
首を左右に振るINORAN。音に従うようにドレッドが揺れる。
このまま 目を閉じて せつなくて ずっと
このまま 君だけは 濡れないで ずっと
このまま 目を閉じて せつなくて ずっと
このまま 切り裂いて 抱きしめて ずっと
アウトロのRYUICHIの叫びが響く。
いつのまに、こんなに声が出るようになっていたんだろうと思う。
前日のGLAYとのライブの時は、GLAYを含めたメンバー全員がRYUICHIを守っているようだったことを思い出す。
重病や発声障害を、抱えたままの41本の全国ツアーを歌いきる勇気と覚悟。
前を向いて、東京ドームまで辿り着いたRYUICHIの、ヴォーカリストとしての矜持と誇りと自分への信頼、メンバーへの信頼、ファンへの信頼、自身を支える環境への信頼。
その乗り越えた歴史に残る日の姿で、聴いたことのない程の深さの声を響かせるRYUICHIの姿を、ただ見守る。
映像ではなく、記憶ではなく、今、目の前で起きている情景を、自分の経験として刻み込むために。
緑、ピンク、青の色がフレーズごとに切り替わる。
過去の様々なシーンがあったことを重ねているように見える。
シンバルの響きに続いて、ドラムのアップ画面がスクリーンに映し出される。
⑦ RA-SE-N
真っ赤な視界。うねるようなイントロリフを弾くINORAN。
ジャーンという音の強さ、鮮やかさにハッとする。
絶対性を帯びた音たち。
ひび割れた 地図の上
せめぎ合った 騎乗の夢
「せめぎ合った」のフレーズが高く、大きく叫ばれる。
赤い闇を切り裂くようなSUGIZOのギター。
鏡に映った 自分に叫んだ
鏡に映った 君が今欲しい
悲痛さの滲む声。命を象徴する鼓動のようなドラム。
命の証明のような演奏。
天を仰いで、揺れながらアルペジオを弾き続けるINORAN。
くいしばるような表情で音を生み続けるSUGIZO。
ああもっと 傷ついても
もっと強く 傷ついても
廃墟に舞う 蝶のように
ありのままに 羽ばたけるなら
重く黒い赤い視界から、青白く差し込んだ光が、救いの象徴に思える。
アウトロのリードギターを弾くSUGIZOの手元が大写しになる。
向かい合うRYUICHI。
青く染まる視界。限界を見届けるみたいな時間。
白いレーザーが交差しながら、ゆっくりと空間を旋回している。
宇宙みたいだ、と思う。
音が紡がれるSUGIZOの手元とそのメロディーの鋭さを見守る。
ドラムに収束してい行く幻。
誰も知らない ガラスの塔
自由と孤独 螺旋の様に
シンバルの響きと、音が消えた時、我に返るように冷静さを取り戻す。
暗転し、白い光。
SUGIZOがヴァイオリンを抱え、おもむろに弦を引く。
バイオリンの軋み、指先の軋みまでもが広いはずの東京ドームいっぱいまで広がる。
緩やかに導かれるメロディーにProvidenceを想う。
正面を向いたRYUICHIが手を前に差し出し歌い始める。
そこでやっと、これがProvidenceではないことに気付いた。
⑧ VIRGIN MARY
前面のスクリーン三面いっぱいに、ステンドグラスと天井が映し出される。
荘厳な教会の景色。ステージが大聖堂になる。
柔らかく広がる青白い光。
MARIA MARIA 答えて MARIA 今
その瞳には どう映そう 罪深き願い 叶えたまえ
RYUICHIの激唱。深く激しい声。凄み。
明滅する光で、影が天井に一秒ごとに刻まれる景色。
間奏で木漏れ日の景色がスクリーンに広がる。
森の中にあふれる光で、真っ白になる画面。
七色につくライト。
ステージ上はゴールド色の祝福から、再び大聖堂へ。
青白いレーザーと重なるようなリードギター。祈りの時。
爪弾かれるアコギの繊細さ。
ひとつずつ積み上げて行くようなベース。
RYUICHIの叫びが強くにじみ、真っ赤に染まる大聖堂の景色。
かきならされるSUGIZOのギターと共に青白いレーザーが左右へ大きく揺れる。
魂というべきすごみを帯びたRYUICHIの叫び。
白い羽の舞う映像。
救われたかのような白い光。雲を抜けて行くイメージ。
木漏れ日の静けさ。祝福。
最後まで響くギター。白い光。さざめきから響き始める拍手。
息を呑んで、すごい景色を見届けたという実感だけがあった。
時間は18:09。20分間の休憩がアナウンスされる。
休憩中のSEはDEAD CAN DANCE
De Profundis out of depths of sorrow
Song of Sophia
The wind that shalas the burley
Twilight highway
The carnival is over
Ariadne
Enigma of the absolute
18:29暗転
赤、青の光が明滅。
映像はなし、音、軋み。広がるレーザー。
真矢ドラムソロ
ステージ奥のドラムセットに姿がないのに、スクリーンにはドラムセットに座る真矢が映る。
サブステージ中央にドラムセットがあることを、人波越しに何とか視認する。
いつも驚いてしまう、息をしていなさそうな密度のドラミング。
ゴールドの光。白いエクステの付けられた髪。
東京ドーム中央に位置したサブステージから、四方にいる客席に向けてドラムスティックで煽り、コールを集める。
「本当にSLAVEのみんな、かっこいいよ
でも今日、覚悟の夜だからさあ
もっと、もっと、これんだろ、もっと来いよ」
割れるような真矢コールに合わせて、ステージでは炎が吹き上げられる。
「お前ら、サイッコーにかっこいいぜ」
ドームの一体感がすごいと感じる。本当にライブハウスのような空気。
花道でJとハイタッチして、ベースソロが始まる。
花道を歩きながら見回し、指をさして、颯爽と戻る姿。
「もっといけるだろー?東京ドームー!」
ベースの重さが華やかさと存在感を帯びて、客席のテンションがぶちあがる。
キラキラした上着と、ライオンの様に揺れる髪をドローンの空撮が映し続ける。
「聞こえるかー!」
問いかけに会場内の熱気が一段階上がる。ドラムとベースだけでこんなに強く華やか。
「もっと!」
ベースのリフが速度を上げる。ヘドバンする激しさからの収束。
拍手に包まれて、笑顔で四方を見回して、両手で耳を指し、コールを求めるJ。
スティックで拍手をする真矢。
「東京ドーム!35年分の思いを込めて、盛り上がっていこうぜ
行けるかー!」
RYUICHIの「お前ら行くぞ」の声でなだれ込むように曲が始まる。
⑨ IN FUTURE
中学生の頃から聴きなれている曲ながら、急な世界の変遷に息を呑んでしまった。
Jの「ルッボイ!」の叫びでハッと我に返る。
終わらない夢を見る この夜に包まれて
終末にSERENADE 新しい月の下で
「終わらない」の箇所から、RYUICHIのボーカルに重ねるようにJが強く歌いだす。
これまで何度か見たステージでは、一度もそんなことはなかったものの、JとRYUICHIのダブルボーカルの強さが、この曲の世界を一層色濃くするように思えた。
ギターソロでのワンフレーズごとのSUGIZOコール。
振り回されて理性が飛ぶのを感じる。
息を呑んで飲み込まれて行く緊張感。ヘドバンしたい衝動に駆られる。
空間を切り裂いていく白いレーザー。
メンバーの顔には、笑顔と安堵があり、うなずき合う満足感があるように見えた。
「最高だね、東京ドーム。
人間の一生なんか、時間、場所、仲間、意識して、意識して、覚悟をもって、どこでどの時間を最高のものにするかだから。
覚悟の夜、けじめの夜、いろんな言い方があるけど、選択をして、その未来に行こうとしていて、全国から集まった仲間が支えてくれる、これからの長い旅もともに5人から最大限の感謝と、愛をこめて、送ります。心から。」
⑩ I for You
左右のスクリーンに青い画面が映され、歌詞がワンフレーズごとに浮かぶ。
「意味を伝えたい」という意思を感じる。
歌っているINORAN。
客席から差し伸べられる手。
見回しているJ。
意味を噛みしめるように、RYUICHIの歌が、深く届くのを感じる。
景色を噛みしめるように見回すメンバーたち。
SUGIZOソロの金色のしぶきみたいな映像。
神々しさと、祝福と、愛と、優しさ、慈しみ。
中央のスクリーンのMV。重なる時間を想う。
過去の肯定。ネガティブな部分を丁寧に掬い上げて、抱き締めるような時間。
ゴールドから白い光になる景色。
「今夜、来ていただいて、本当にありがとうございます。
東京ドーム、親愛なるSLAVEたちへ、ERA TO ERA最後のピースを届けます。
Next Song FAKE」
⑪ FAKE
発表されてから30年、一度も演奏されたことのなかった曲FAKEが演奏されたことで会場内がどよめく。
目の前で起きていることをうっすらと理解して、息を呑む。
鳥肌が立つのを感じる。
嘘も真実もない こんな世の中で
その目で確かめて 今
マイクスタンドを抱えて前傾になり歌うRYUICHI。
弾いているところを見てみたかったSUGIZOのソロ。
音を確かめるように見守る時間。
愛するということも 自由ということも
真実ということも 嘘ということも
正面を見据えるRYUICHI。
ドラムソロは空撮で、多くのスネアやタム、シンバルが配置される中、真矢がそれを従えている姿が見える。
緑のレーザーが左右に交差して揺れている。
ブラウン管のバグのような背景。
アウトロのベースの重さと強さに息が止まりそうになる。
間髪を入れず、RYUICHIの「東京!」というコールからの
「Next song BELIEVE」
⑫ BELIEVE
呆気にとられる勢いと明快さ。
メンバーの表情が余裕を帯びて、緩んでいく。
光にあふれる景色。
慣れている曲だからこそ、丁寧に確かめるように誠実に弾かれる音たち。
金色の線の交差する、アラビア模様のようなイメージがスクリーンに映る。
両手をひろげて煽るJ。
光が溢れる景色。
切なすぎる 切なすぎる 思い伝えたら
愛しすぎた 愛しすぎた 僕が分かるはず
眩しすぎる 眩しすぎる 時を
あなたに伝えたい
INORANのコーラスは、客席と合わさって完成された。
力強いSUGIZOのソロ。鮮やかさ。
ドラムの強さ。
雲を割って青空をぐいぐい前へ進んでいくイメージが画面に映る。
遠い過去 遠い未来 あなたが 何処かにいたなら きっと
一人でも 凍えても 優しさ ときめき あふれて
RYUICHIの独唱に東京ドームの意識が集約される。
拍手と笑顔のある瞬間から、怒涛の様に畳みかけられる勢いで曲が再開される。
切なすぎる 切なすぎる の部分は客席が担当し、客席の歌がありきで、完成する設計だと気づいたとき、「6人目のメンバーはSLAVEのみんなだよ」という何度も繰り返される言葉が真実だったのだということに気付いた。
大団円の終曲。拍手と光。
ギターをかき鳴らすINORAN。真矢のドラムと、SUGIZOの音の集約。
それを背中に受けたRYUICHIが叫ぶ。
「アリーナ!スタンド!みんな、飛ばしていくぞ!Next song、ROSIER」
⑬ ROSIER
勢いが爆走して、ぐいぐいと速度を上げて行く感触がある。
息を吐く暇も、隙もない。
中央スクリーンに映し出されるMV。
一秒ごと、一音ごとを、丁寧に刻んでいく姿。
意識も、人生も、歴史も、今にすべてを集中させているという実感。
下手の花道から走って戻るSUGIZO。
Jの英詞朗読に一番の歓声が上がる。
「いくぜ、東京ドーム!」の叫びと共に、高く放り投げられるマイクスタンド。
笑顔に満ちて、丁寧に刻まれて行く時間。
叫ぶRYUICHIの表情。
Aメロで、SUGIZOと寄せあうRYUICHI。
天を仰いで一音ごとを刻んでいく真矢。
「スタンド!アリーナ!東京ドーム!お前ら全員で飛ばしていくぞー!」
激しさと熱気を一段階上げたラスサビで、かきならされるSUGIZOの指先が映る。
青いレーザーが明滅する。湧き上がる拍手と大団円。
真っ赤な画面。
「もういっちょ、もりあがっていこうか!行けるかー!」
⑭ HURT
真っ赤なマグマを思わせる雲の映像。
赤一色に染まる景色。
夢を見たのさ とてもキレイな 眩しくて 優しすぎて
寸分のズレなく刻まれていく音。
選んだのさ 壊れること 3.2.1.Break
カウントダウンからのBreakと叫ぶJの声。
愛し愛された日々よ 届かない光の向こう
これは悲しみだ、と改めて思う。
深い悲しみの景色。天井までもが真っ赤に染まっている景色。
SUGIZOソロの眩しさ、鮮やかさが光みたいに思える。
運指の美しさ。軋み。
恐れたのさ 壊れること
素晴らしい光の向こう たとえ全て 失っても
RYUICHIの声が完全なナビゲーターとして導いて、景色の深く深くまでを見せてくれている。
鮮やかな一瞬の幕切れからの、RYUICHIへのピンスポット
「今夜はこの旅を、ともに続けて行こう。
ファイナルにふさわしい黒服限定にふさわしいこの曲を贈ります。NIGHTMARE」
⑮ NIGHTMARE
(※公式動画がないため、ファンの方の動画を引用させていただきます。ご了承くださいませ)
ぎちぎちとした刻み。
まっくらな闇の中で、上から下へと5筋の光。
叫ぶRYUICHI。
俯いて演奏に集中するメンバー。
鮮やかに舞い踊る
深く包み込むようなRYUICHIの声。
ぎちぎちしているのは、ベースとタイトなシンバルだ、と気づく。
ドラムソロからのSUGIZOソロ。
5人いなければ完成しないということを浮かび上がらせる、一人ずつ消えて行く曲。
気付けばステージ上には、光で描かれた十字架が五本。
RYUICHIの声。
SUGIZOのギター。
アルペジオのINORAN。
背景の様に全てを支えた真矢のドラム。
最後に残されたJが、ベースリフを繰り返し、最後の十字架がふっと音もなく闇に溶ける。
格好良すぎて寒気がした。
真っ暗の中に響き渡る万雷の拍手。
休憩19:27
19:38 ライト灯り、メンバーが登場。
表情がだいぶ緩んだと感じられる。
「すごいね、東京ドーム。どうもありがとう。」
有志のファンの作成した寄せ書きの横断幕がステージ上に届けられ、メンバーがそれを嬉しそうに覗き込んでいる。
「結構大物だよ、横断幕。すごいよこれ、こんな大きいの初めて。本当にありがとう」
「一生の家宝だね、事務所に飾ろうか」
投げキスをするINORAN。
花道先のサブステージへみんなで歩くメンバーたち。
「次のナンバーはみんなにとって、いろんな思いがある曲だと思います。
でもこれからは、俺たちとみんなの未来に繋げていきたいな。
この曲は、悲しみの曲ではなくて、再会の曲です。
Next song、LOVESONG」
EN① LOVE SONG
SUGIZOがコード弾き、INORANがアルペジオ。
手持ちマイクで覗き込むようなRYUICHI。
中央の画面には歌詞。
サブステージの狭い場所で、身を寄せ合うように近づいて演奏するメンバーたち。
東京ドームの中央に来て、見回す姿を歴史に残す意思を感じる。
一音ごとに、悲しい過去や記憶を、現在の姿と未来で上書きしていくという意思。
力強い歌が、深く届くのを感じる。
そう 君と伝えたい LOVESONG TOGETHER
そう 君と居たかった
そう 君を愛してる LOVESONG TOGETHER
そう 君を この愛を忘れない
前回の終幕の象徴のような曲であり、ツアー中に演奏されるたびに客席で泣き崩れる人たちの姿を見る曲でもあった。
こんな優しい歌を残して消えてしまうなんて、なんて残酷なことをするんだろう、と当時を知らない私は思うけれど、当時を自身で経験した人生を歩んできた人たちは、悲しみの記憶と向き合って、現在のLUNASEAの誠実さを信じられることで上書きをしないと、前に進めないのだと、メンバーたちが決断したのだろうと思う。
ラララというところで、自然に左右にたなびく腕の波。白い光の揺れが東京ドームいっぱいに満ちる。
確かめて、安心して、笑みをこぼす。
肉眼で見えるメンバーの姿。
今日、この場所にいるということを、あらためて実感する。
明るくみんなで歌う光景。
最小限の演奏に音は絞られ、客席の合唱が空間を塗りつぶす。
柔らかい音。一人残さず全ての人が、風景の中で必要なものとされること。
中央スクリーンに示されたメッセージは、
WITH LOVE
LUNASEA
という文字。
笑顔で合唱されるLOVESONG。明るい景色。
終曲後、「どうもありがとう!」と叫ぶRYUICHI。
笑顔で、ハートマークを両手で作り、客席に飛ばすINORAN。
ギターを高く掲げるSUGIZO。
「見てるよ」のジェスチャーをするJ。
それぞれメインステージへ戻り、持ち場に立つと、SUGIZOがRYUICHIをバックハグする。
RYUICHI「ここでメンバー紹介をしたいと思います。ON DRUMS 真矢!」
手でシンバルを殴る真矢。
RYUICHI「ON BASS J! Jさんからひと言、あっ、まだ準備中なのにごめんね」
Jが大笑いしながらマイクに手を伸ばす。
J「35年間、全ての想いを刻み付けたくて俺たちはツアーをやってきました。
全国各地で、来てくれたみんな、今日来れなかった奴らも35年間のあいだにLUNASEAに触れてくれた沢山の仲間ら、そいつらの想いを全部連れてきたつもりです。
だからみんなで最高の夜にしましょう。ありがとー!」
RYUICHI「ギター、INORAN!」
INORAN、両手で×マークを作る。
RYUICHI「え、それってスギちゃんが時々手伝ってるやつ?」
INORAN「東京ドーム!ま、だいたいJが言ってくれたんで。
35周年ツアーやってきたんですけども、14年ぶり?
なんかさ、最初やったとき思い出したりして、この5人で、一生懸命バンドやって、誰にも負けないように気合入れて、東京ドーム来て、今回で10回目。もっともっとここでやりたい!本当に噛みしめて音楽を食べてます。こんな俺をここに連れてきてくれて、ありがとう。これからもこの5人をよろしくね!」
RYUICHI「ギター、SUGIZO!スギちゃんからも」
SUGIZO「東京ドーム!東京ドーム!東京ドーム!
本当に最高の瞬間をありがとうございます。
本音を言うとこれが、最後のドームかなって思って生きてきました。
これがLUNASEAの最後かな、って思ってました。
この世から、俺たちの誰かが居なくなったときかなって思ってました。
LUNASEAは今日から新しい扉を開いて、未来を作っていきます。
ここにいる全員と。
そして5人が生きているうちに、何回も、俺たちの聖地に帰ってきます。
この数年、苦難の連続でした。気が気じゃない。
いつまで命を保てるかわからない。最後までLUNASEAを先に進めたい。
みんなが大切で、必要としています。
未来を一緒に作ってください。
また必ず、この場所で会いましょう。みんな、最高に愛してます。
そしてボーカル」
RYUICHI「その前に真矢だね、先生一言!」
真矢「今さあ、SUGIZOの話で泣いちゃってて。40年前に知り合った時、わがままなロック野郎だったのに、こんないい話しできるなんてと感動してます。」
SUGIZOから真矢にバックハグ。
真矢「感動してるから、面白いこと言えないけど、SUGIZOが新しい扉を開くというなら、僕はヌードでも何でもやります。
40年前に知り合ってLUNASEAというバンドを35年も支えてきてくれて、昨日今日、ここへ立つためにバンドと音楽をやってきたんだと思います。
だからこれからもね、毎回言ってるけどLUNASEAのメンバーはきみたちだからね。そっちがステージ。俺たちは客席だよ。これからもずっとずっとずっとずっとずっとよろしくお願いします」
RYUICHIハグ。
SUGIZO「真っ黒のドーム、壮観だよ。そしてボーカル。不死鳥、LUNASEAの誇り。RYUICHI」
RYUICHI「杉ちゃんの語ってたように、初めての経験で傷を負っても、ホールツアー、立ち止まることなく、ラストまで行けました。
5人が町田プレイハウスで会って、一緒にいる時間、旅を続けること、覚悟をもって選ぶ瞬間がいくつもありました。
だけど41本、最大規模のツアーでパワー貰って、覚悟して今日ここに立てたのかなと。これから共の未来を掴む光しか見えてないからね。」
(マイクを外し、地声で)
RYUICHI「東京ドーム!愛してるよ!」
RYUICHI「ここからはLUNAPICの時間にしようと思います。2曲。
いいですか皆さん、まだまだいけるかー!」
真っ赤な画面。
EN② TONIGHT
奪いに行こう 欲しいものなら
夜空に散った あの星さえも
いつか見た夢 今取り戻せ 乾ききる前に
キミだけのメロディ キミだけの祈り
キミだけの夜に キミだけの夜に
客席の合唱がすごい。人生の祝福の結晶みたいな時間。
「お前ら全員でかかってこい」の煽りに続いて、WISH。
EN③ WISH
LUNASEAの象徴ともいえる曲。
全員が表情を緩めて、安心した顔で客席を見回している。
いつものLUNASEAの、特別な夜。
愛と、信頼と、誠実さの結晶のような曲だと思う。
RYUICHI「先のこと何も考えずに41本ツアーやって思った。俺たちはこのバンドを止めちゃいけない。この旅を、覚悟を持って続けて行こう。LUNASEAは止まりません。
格好いいことも、格好悪いことも、いろんなことがあるけど、俺たちらしい音楽、ステージを作れたら、みんなはついて来てくれるんじゃないかなと。ホール中心だけど史上最も動員が集まったツアーだったと思います。
ここから少し、未来の話をするよ。今年は5人で、新曲を作ろうかな。みんながぶったまげるようなロックナンバーを作るよ。集まってくれたみんなに素晴らしい景色を見せてもらったので、魂を込めて、この曲を贈ります。」
W-EN④ FOREVER&EVER
鳥肌が立つ。一番聴きたかった曲だ。
響く音の源泉のSUGIZOの手元が大写しになり、音が生まれる景色が見える。
昔のライブの姿がスクリーン中央に映され、左右のスクリーンには今日この日の姿が、同じ角度、同じメンバーで再現比較されている。
重ね合わせられる過去と現在。メンバーそれぞれの過去と今。
孤独な夜は僕を弱くする
RYUICHIの前を向く視線が決意に満ちたものだと思わされる。
この胸の奥深く 灯した炎は
探し続けている 未来を照らす
白い衣装に着替えた今のメンバーたち。
カメラアングル、スイッチングが完璧だと、息を呑んで見守る。
コーラスするINORAN。
ドラムからのJの独白。
噛みしめるような言葉。一言一言に重さと意味がある。
まっすぐ前を見据えるJ。目が潤んでいる横顔がスクリーンに映る。
So, remember
That body, soul, mind, blood,
tears, dreams, love, pain, and joy
Cause, they're all so precious, forever & ever
So bright 輝いて 信じ続けて
Tonight 旅立とう 光の中へ
So Bright で明るい光にあふれる光景。宇宙みたいだと思う。
ひとつひとつの音全てが、大切に奏でられたものだということがわかる。
噛みしめるように、刻み込まれる音しか存在しない。
手をひろげながら弾くSUGIZO。
JとINORANの「フーウーウー」と重ねられるコーラス。
“Out from my chaos to grace”
何処まで翔べるのか確かめたくて
涙腺に来るのを、息を殺して耐える。
Forever & ever いつの日も
Forever & ever 変わらない
Forever & ever
アウトロのINORANのアルペジオが、優しく頬を撫でる風に思える。
さざめくシンバル。拍手。光。
客席を見渡すJ。安堵の笑みを浮かべている。
胸に手を当てて、頭を下げるJ。
拍手するINORAN。
MOTHERを奏でるピアノの音。肩を組むメンバーたち。
「いつも夢を叶えるのは俺たちじゃなくて、夢を見させてもらっているのが俺たち。ライブに足を運んでくれてるみんなは、初めてでも、年齢も、性別も関係なく、仲間です。おんぶにだっこじゃ格好悪いから、これからもこの夢を、一緒に見ような。素晴らしい景色。何かが始まるぞ」
RYUICHIとSUGIZO肩を組む。
「世界には、戦争とか、苦しんでる人たちとかありますが、音楽はそういったものを壊すと信じています。これからの未来に、みんなに何を届けられるか。今もニヤニヤ5人で考えてます。どうもありがとう。」
「やらない人生より、やる人生。35年の中、メンバーが今一番仲がいい。始めたころはやんちゃだったしね」
「みんなと写真撮りたいんだけど、どう?俺たち越しに、みんな写ってるからね。」
THANK YOU DOME‼️
— LUNA SEA (@LUNASEAOFFICIAL) February 23, 2025
THANK YOU ALL‼️
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LUNA SEA
35th ANNIVERSARY TOUR
ERA TO ERA -THE FINAL EPISODE-
LUNATIC TOKYO 2025
-黒服限定GIG-
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Next
LUNATIC FEST. 2025
11月8日(土) , 9日(日)
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撮影を終えて、後ろ向きにおいでおいでとメンバーを引率してステージに戻るINORAN。
「最後に一つになりたいと思います。東京ドーム、愛してるよー!バイバイ」
MOTHERのピアノ曲でエンディングのスタッフロールが画面に。
キラキラ光る紙吹雪が降っている。ハグし合うメンバー。
エンディングロールでは、ツアーの日程と場所が一日ごとに表示されて流れていく。
今日の日付が表示されて、会場から拍手。
20:55頃。
LUNAフェス幕張2025/11/8.9が告知される。
10th Anniversary
— LUNA SEA (@LUNASEAOFFICIAL) February 23, 2025
LUNATIC FEST. 2025
開催決定!!
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11月8日(土) , 9日(日)
MAKUHARI MESSE
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詳細は順次発表!
要チェック!
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